今日から7月。早いもので今年も折り返し地点である。先週の土曜日出勤の代休を頂いた。黙って家にいるのももったいないといういつもの癖で、当初は阿蘇、別府の温泉巡りの旅を予約していた。ところが、その後すぐの熊本地震。ツアーキャンセルにならなければ、応援の意味も込めて中止にはしたくないと思っていたのだけれど、残念ながら催行中止となってしまった。
そこで諦めないのが、私たち。夫と息子は10年前に男二人旅で訪れたけれど、私はお留守番だった四国の旅を計画することになった。
最寄駅からリムジンバスで空港へ。渋滞もなく予定通りに空港到着。スムーズにチェックインした後はラウンジで一服。定刻の離陸とあいなった。1時間ほどのフライトではお天気が良く、下界がよく見えること。無事予定通りに着陸し、リムジンバスで高松駅に向かった。終点まで小一時間乗ったのは私たち夫婦2人だけ。予報通りの晴天である。かなり蒸し暑い。既に30度はありそうだ。
高松は父の生まれ故郷である。今を溯る30数年前、大学の友人と2人で、宇高連絡船で生まれて初めて降り立った四国の地。その時、連絡船で頂いた讃岐うどんの美味だったこと。本当に何も入っていない(父はこれを“素うどん”と呼ぶ)温かいシンプルなかけうどん。それはつるつるしこしこ、お出汁が効いていてお腹に染み渡る美味しさだった。
瀬戸内海で育った父は、東京の魚も濃い口醤油の真っ茶色な汁のうどんも、最初はとても食べられなかったそうで、東京育ちの母は随分苦労したようだったが、いつの間にかそんなことも言わなくなった。
駅周辺はすっかり再開発されて、モダンな駅舎やホテルが立ち並んでいて驚いた。駅ナカを見学しているうちに腹時計が鳴る。ちょうどお昼。朝が早かったのでお腹もペコペコ。
地元のビジネスマンらしき人たちが列をなしている、駅前のうどん屋さんに入った。スダチをぎゅっと絞って大根おろし、青ネギと生姜のトッピング。それだけのおうどんが実に美味しい。地元の方たちも思い思いに好みのランチタイムだ。お腹一杯になって元気になったところで、街歩き開始。
立派なアーケード街を、お店を冷やかしながらブラブラ。平日だからか、セール初日の看板が目立つが人通りはそれほどでもない。東京では銀座にあたるのだろうか。百貨店やブランドショップが軒を連ねている。いつもお世話になっている紅茶専門店を見つける。香川県限定の青蜜柑の爽やかな紅茶「空と海と」というネーミングのものを試飲してゲット。ちょっと歩くだけで汗が滲んでくる。カフェでお茶をして涼み、百貨店でも小休止。エントランスでは七夕飾りの短冊に願い事を書いてきた。
続いて史跡高松城跡である玉藻公園へ。暑さのせいか、平日のせいか、殆ど園内は誰もいない貸し切り状態。旭橋を渡り、旭門から入る。重要文化財指定の艮(うしとら)櫓を望み、園内へ。さすがに高松というだけあって公園内は松の木で溢れている。砂利道を通り抜けると桜の馬場。桜の季節はどれ程お花見の名所だろうと思う。と、そこには「お城内ヨガ」ののぼりとマットが。
毎週金曜日の早朝“朝日を浴びて深呼吸、お城ヨガで始まる新しい週末”というイベントの名残である。どなたもいないことをいいことに、ずうずうしくポーズをとって記念撮影。さすがにじりじりとした暑さで長く続けることは出来ず退散。陳列館や披雲閣を見学し、さてもうすぐ出口というところで、「城舟体験」というのぼりを見つける。
船頭さんがお二人、「どうぞ、今ならすぐ乗れますよ」とおっしゃる。見れば5分ほどで次の便が出るという。チラシによれば“天守台の迫力と真鯛とのふれあい、和船「玉藻丸」で楽しむ30分のタイムトラベル”というキャッチフレーズ。では、とお願いしてチケットを頂くと、乗船記念の缶バッジまでついてくる。さらには傘を被って法被まで着せて頂けるという。
舟は5人乗り、1日15便しかないので、最大でも75人しか乗れないそうだ。土日は数時間待ちもざらとか。それを私たち2人が貸し切りという贅沢さ。船頭さんもノリノリで親切この上ない。鯛の餌もついてきて、ちょっと撒けばとんでもない数の黒鯛、真鯛が姿を現す。これは楽しい。思いもかけず大満足の体験だ。舟から鯛に餌をあげることができるのは、千葉の鯛の浦とここ玉藻公園のお濠だけだという。鯛の浦は半世紀前の子供の頃、家族旅行で行ったことがある。あまりに沢山の鯛がやってきて怖かったっけ・・・と懐かしく思い出す。鯛の歯はとてもきついので、餌をあげる時に近づきすぎて手を噛まれて大けがをした方もいたらしい。
そして、もう一つラッキーだったのは、白蛇を拝めたこと。お濠の石垣から出てきたと思ったら、いきなり水の中をスイスイと泳いでいるではないか。船頭さんも「こんなのは珍しい、きっといいことがありますよ」と嬉しいことを言ってくださる。いや~凄い体験をした。きっといいことがある、信じたいと思う。
公園を出てすぐの高松築港から、ベージュと黄色のツートンカラーの2両編成の琴平電鉄(琴電)に乗り込んで、特別名勝・栗林公園まで。こちらにも30数年前に友人と訪れているのだけれど、赤い太鼓橋で写真を撮ったこと以外殆ど記憶はない。
園内は一千本もの様々な種類の松の緑で溢れている。緑深い紫雲山を背景に、6つの池と13の築山を巧みに配した、400年近い歴史を誇る江戸初期の回遊式大名庭園である。ちょうど園内の松は剪定中で、沢山の職人さんがハサミと梯子を片手にお仕事中。石段を登り芙蓉峰から見降ろした朱色の梅林橋の美しさは、それは素晴らしかった。
暑さの中、延々とお散歩したので園内に設置された香川県のアンテナショップで一休み。小原紅早生みかんのジュースが乾いた喉に染み入る美味しさ。冷房の効いた店内で再び英気を養って、琴電で終点まで。小一時間の電車の旅である。これが揺れること揺れること。ウトウトすると椅子から落ちそうになって目が覚めるといった次第。緑濃い可愛らしい山々と溜池と田園風景を楽しみながら琴電琴平駅に到着。
ホテルに電話をしてお迎えに来て頂く。ロビーでチェックインして冷たいお茶と和三盆のお菓子を頂き、ほっと一息。夕食前には自慢の温泉へレッツゴー。大浴場で歩き疲れた足を思いっきり伸ばすこの贅沢な金曜日。生きていてよかったと思う瞬間である。女性用の露天風呂には数えきれないほど沢山の薔薇の花が浮かんでいる。3つのお風呂、すべて貸し切り状態。サウナで汗を絞って出てくると、数人の方たちが入ってきて貸し切りは終了。それでも3つのお風呂に2回ずつ入って、お風呂から出て体重を計ったら普段より2キロも減っていてちょっとびっくり。マッサージチェアでだらりとして、夕食に向かった。
暑さと、早起きの寝不足と歩き疲れで、それほどお腹がすいていないなあと思ったけれど、あれこれ趣向を凝らした懐石料理に思わず舌鼓。桜をモチーフにしたお料理や器を愛でつつ、お腹がはち切れそうになるまで頂いて、余は満足じゃ状態でレストランを後にした。
夫はもうお風呂は十分入りましたから、ということで、せっかく頂いた別棟の湯めぐり券は無駄にしそう。せめて明日の朝、一人だけでも朝風呂を楽しんでおきたいと思う私である。
明日は金比羅様をお参りした後、隣の県へ移動して、再び温泉三昧の予定である。
そこで諦めないのが、私たち。夫と息子は10年前に男二人旅で訪れたけれど、私はお留守番だった四国の旅を計画することになった。
最寄駅からリムジンバスで空港へ。渋滞もなく予定通りに空港到着。スムーズにチェックインした後はラウンジで一服。定刻の離陸とあいなった。1時間ほどのフライトではお天気が良く、下界がよく見えること。無事予定通りに着陸し、リムジンバスで高松駅に向かった。終点まで小一時間乗ったのは私たち夫婦2人だけ。予報通りの晴天である。かなり蒸し暑い。既に30度はありそうだ。
高松は父の生まれ故郷である。今を溯る30数年前、大学の友人と2人で、宇高連絡船で生まれて初めて降り立った四国の地。その時、連絡船で頂いた讃岐うどんの美味だったこと。本当に何も入っていない(父はこれを“素うどん”と呼ぶ)温かいシンプルなかけうどん。それはつるつるしこしこ、お出汁が効いていてお腹に染み渡る美味しさだった。
瀬戸内海で育った父は、東京の魚も濃い口醤油の真っ茶色な汁のうどんも、最初はとても食べられなかったそうで、東京育ちの母は随分苦労したようだったが、いつの間にかそんなことも言わなくなった。
駅周辺はすっかり再開発されて、モダンな駅舎やホテルが立ち並んでいて驚いた。駅ナカを見学しているうちに腹時計が鳴る。ちょうどお昼。朝が早かったのでお腹もペコペコ。
地元のビジネスマンらしき人たちが列をなしている、駅前のうどん屋さんに入った。スダチをぎゅっと絞って大根おろし、青ネギと生姜のトッピング。それだけのおうどんが実に美味しい。地元の方たちも思い思いに好みのランチタイムだ。お腹一杯になって元気になったところで、街歩き開始。
立派なアーケード街を、お店を冷やかしながらブラブラ。平日だからか、セール初日の看板が目立つが人通りはそれほどでもない。東京では銀座にあたるのだろうか。百貨店やブランドショップが軒を連ねている。いつもお世話になっている紅茶専門店を見つける。香川県限定の青蜜柑の爽やかな紅茶「空と海と」というネーミングのものを試飲してゲット。ちょっと歩くだけで汗が滲んでくる。カフェでお茶をして涼み、百貨店でも小休止。エントランスでは七夕飾りの短冊に願い事を書いてきた。
続いて史跡高松城跡である玉藻公園へ。暑さのせいか、平日のせいか、殆ど園内は誰もいない貸し切り状態。旭橋を渡り、旭門から入る。重要文化財指定の艮(うしとら)櫓を望み、園内へ。さすがに高松というだけあって公園内は松の木で溢れている。砂利道を通り抜けると桜の馬場。桜の季節はどれ程お花見の名所だろうと思う。と、そこには「お城内ヨガ」ののぼりとマットが。
毎週金曜日の早朝“朝日を浴びて深呼吸、お城ヨガで始まる新しい週末”というイベントの名残である。どなたもいないことをいいことに、ずうずうしくポーズをとって記念撮影。さすがにじりじりとした暑さで長く続けることは出来ず退散。陳列館や披雲閣を見学し、さてもうすぐ出口というところで、「城舟体験」というのぼりを見つける。
船頭さんがお二人、「どうぞ、今ならすぐ乗れますよ」とおっしゃる。見れば5分ほどで次の便が出るという。チラシによれば“天守台の迫力と真鯛とのふれあい、和船「玉藻丸」で楽しむ30分のタイムトラベル”というキャッチフレーズ。では、とお願いしてチケットを頂くと、乗船記念の缶バッジまでついてくる。さらには傘を被って法被まで着せて頂けるという。
舟は5人乗り、1日15便しかないので、最大でも75人しか乗れないそうだ。土日は数時間待ちもざらとか。それを私たち2人が貸し切りという贅沢さ。船頭さんもノリノリで親切この上ない。鯛の餌もついてきて、ちょっと撒けばとんでもない数の黒鯛、真鯛が姿を現す。これは楽しい。思いもかけず大満足の体験だ。舟から鯛に餌をあげることができるのは、千葉の鯛の浦とここ玉藻公園のお濠だけだという。鯛の浦は半世紀前の子供の頃、家族旅行で行ったことがある。あまりに沢山の鯛がやってきて怖かったっけ・・・と懐かしく思い出す。鯛の歯はとてもきついので、餌をあげる時に近づきすぎて手を噛まれて大けがをした方もいたらしい。
そして、もう一つラッキーだったのは、白蛇を拝めたこと。お濠の石垣から出てきたと思ったら、いきなり水の中をスイスイと泳いでいるではないか。船頭さんも「こんなのは珍しい、きっといいことがありますよ」と嬉しいことを言ってくださる。いや~凄い体験をした。きっといいことがある、信じたいと思う。
公園を出てすぐの高松築港から、ベージュと黄色のツートンカラーの2両編成の琴平電鉄(琴電)に乗り込んで、特別名勝・栗林公園まで。こちらにも30数年前に友人と訪れているのだけれど、赤い太鼓橋で写真を撮ったこと以外殆ど記憶はない。
園内は一千本もの様々な種類の松の緑で溢れている。緑深い紫雲山を背景に、6つの池と13の築山を巧みに配した、400年近い歴史を誇る江戸初期の回遊式大名庭園である。ちょうど園内の松は剪定中で、沢山の職人さんがハサミと梯子を片手にお仕事中。石段を登り芙蓉峰から見降ろした朱色の梅林橋の美しさは、それは素晴らしかった。
暑さの中、延々とお散歩したので園内に設置された香川県のアンテナショップで一休み。小原紅早生みかんのジュースが乾いた喉に染み入る美味しさ。冷房の効いた店内で再び英気を養って、琴電で終点まで。小一時間の電車の旅である。これが揺れること揺れること。ウトウトすると椅子から落ちそうになって目が覚めるといった次第。緑濃い可愛らしい山々と溜池と田園風景を楽しみながら琴電琴平駅に到着。
ホテルに電話をしてお迎えに来て頂く。ロビーでチェックインして冷たいお茶と和三盆のお菓子を頂き、ほっと一息。夕食前には自慢の温泉へレッツゴー。大浴場で歩き疲れた足を思いっきり伸ばすこの贅沢な金曜日。生きていてよかったと思う瞬間である。女性用の露天風呂には数えきれないほど沢山の薔薇の花が浮かんでいる。3つのお風呂、すべて貸し切り状態。サウナで汗を絞って出てくると、数人の方たちが入ってきて貸し切りは終了。それでも3つのお風呂に2回ずつ入って、お風呂から出て体重を計ったら普段より2キロも減っていてちょっとびっくり。マッサージチェアでだらりとして、夕食に向かった。
暑さと、早起きの寝不足と歩き疲れで、それほどお腹がすいていないなあと思ったけれど、あれこれ趣向を凝らした懐石料理に思わず舌鼓。桜をモチーフにしたお料理や器を愛でつつ、お腹がはち切れそうになるまで頂いて、余は満足じゃ状態でレストランを後にした。
夫はもうお風呂は十分入りましたから、ということで、せっかく頂いた別棟の湯めぐり券は無駄にしそう。せめて明日の朝、一人だけでも朝風呂を楽しんでおきたいと思う私である。
明日は金比羅様をお参りした後、隣の県へ移動して、再び温泉三昧の予定である。