旅行3日目。いまだ時差ボケとはいうものの、草臥れた所為か、昨夜は4時間近く連続して眠ることが出来た。その後再び軽く寝直して、6時モーニングコールより大分前に目覚める。
部屋の窓を開けると、渓谷の絶景が目に飛び込んでくる。朝の光に照らされた雲が、何ともいえない色をしていてとても神秘的だ。
ダイニングルームでビュッフェの朝食を済ませ、予定通りホテルを8時に出発。天気予報では雨ということだったが、曇ってはいるがなんとかもっている。
まずは遊覧船の発着場所であるグドヴァンゲンへ向かう。一番乗りである。混雑していたら席を取るには・・・との添乗員さんのアドバイスもあったが、実際には私たち一行と数グループのみ。1階から3階のデッキまで選り取り見取りだ。
360度の圧倒的な風景に息を飲む。同じ地球にこんな場所があるのだ、これがあの地理で勉強したフィヨルドなのだ、と思うと身震いまでしてくる。黒々とそそり立つ断崖絶壁はまさしく“魔の山”の風情。トロルたちが出てきてもおかしくない感じ。ああ、地球の4億年を考えれば、生き長らえても僅か80~90年の人間が、日々あれこれ悩みながらジタバタ暮らしていることがなんだか不思議に思えてくる。生きているだけでめっけもんだな、と実感する。
8時45分、定刻にソグネフィヨルド遊覧船が出航。まずはデッキへ登る。ノルウェーの船旗が棚引く。風は冷たいが、水面はとても静かでどこまでも澄んでいる。全長約204㎞の世界最長・最深部約-1,308mの世界最深の雄大なソグネフィヨルドを船は静かに進んでいく。途中、人口20人の村、人口3人の村等を通り抜けながら船は静かに進む。
黒い岩盤を垂直に落下する沢山の滝はあたかも白い帯のように見える。「のこぎりの滝」というサーグ滝は、1962年に東山魁夷画伯が描いているそうだ。船はアウランフィヨルドから世界遺産のネーロイフィヨルドの奥にあるフロムに向かう。ネーロイフィヨルドはソグネフィヨルドの奥深い部分で、幅が250mと最も狭く、鏡のように静かな海面に切り立った急峻な峡谷が映り素晴らしいの一言に尽きた。
今日の気温は14度。ニットのアンサンブルに厚手のストールを巻き、裏地のついたレインコートを羽織っているが、風に当たると体感温度がどんどん奪われ、寒さとの戦いである。それでも雨が降って来なくて本当にラッキー。船内のカフェでお茶をして、体を温め態勢を立て直す。2時間の遊覧はあっという間。
下船地である人口450人の小さな村フロムには、大型客船も停泊している。賑やかな港町で可愛い建物が並んでおり、船の上からはおとぎの国のように見える。
鉄道大好きな息子は下船するや否や、これから乗車するフロム鉄道とまずツーショットの写真を撮りに走る。駅前にある鉄道博物館もなかなか楽しい。30分ほど散策して、皆でレストランへ向かう。
お昼はホワイトアスパラガスのスープとサーモンのレモンソース。添乗員さんが気を利かせて醤油のミニパックを分けてくださり、日本人好みのほっとする美味になった。
1時間ほどお土産屋さんを冷やかしたりした後、長閑な谷間の村フロムから終点のミュールダールまで、急勾配をゆっくり上る山岳鉄道に乗車。驚くことに自由席と指定席がゴチャゴチャだそうで、席取りが至難の業。皆であたふたと乗り込み何とか席を確保する。フロム鉄道はベルゲン鉄道建設資材運転の為にフロム渓谷に沿って作られたそうだ。全長20.2㎞、高度差900m、最大斜度は5度だそうだ。18m進むごとに1m上がる計算になる。途中20か所のトンネルを通ったが、うち18は機械を使わず掘られたそうで、実に20年の歳月を要したという。山の急斜面を貼りつくように走り、流れる滝の水の轟を聴き、車窓からの美しい景観からは片時も目が離せない。
中間地点では対向列車とすれ違い、海抜630mのショースの滝では5分間下車して写真撮影タイム。一気に93mを下る滝は、降りた途端に水しぶきが凄い勢いで飛んでくる。近づくともうびしょ濡れである。最後には赤い衣装をまとった“滝の妖精”が出てきて踊りを踊って見せてくれてサービス満点。聞けば普段の水量の2倍はあった模様。こうして鉄道の旅1時間はこれまたあっという間。
終点ミュールダールからはベルゲン鉄道で、ソグネフィヨルドに続く渓谷美とノルウェーの農村風景を車窓から眺めながら1時間弱の旅。到着時間が遅れ、オスロ行の特急が先に到着したり、席取りでドタバタしたが、無事発車。草臥れ果てて座った途端舟を漕ぎ、車窓の風景も記憶にないほどの体たらくだ。
気づけば、ヴァンクス湖の湖畔の町で、ソグネフィヨルド観光の拠点であるヴォスに到着。立派な駅舎でしっかり写真撮影。ベルゲンに向かってそのまま走っていく電車を見送ると、駅前には私達のバスがお迎えに来てくれていた。
ヴォスからは途中“ツヴィンデの滝”で下車。ここでは若返りの水を汲むことが出来るという。カラのペットボトルを持って、我が家の代表として息子が汲みに行く。夫と私は水しぶきに濡れながら待つことに。皆で一口ずつ水を頂き、10歳ずつ若返ったことになる。
再び、バスでホテルに戻ったのは17時少し前。昨日より早い到着で、テラスからの眺めは素晴らしかった。こんなに暖かくお天気が良いのは珍しいという。晴れ女、ここにあり、である。
夕食を済ませ、明日は出発が4時。モーニングコールは3時である。いやはや強行軍の旅も、明日で折り返しである。
部屋の窓を開けると、渓谷の絶景が目に飛び込んでくる。朝の光に照らされた雲が、何ともいえない色をしていてとても神秘的だ。
ダイニングルームでビュッフェの朝食を済ませ、予定通りホテルを8時に出発。天気予報では雨ということだったが、曇ってはいるがなんとかもっている。
まずは遊覧船の発着場所であるグドヴァンゲンへ向かう。一番乗りである。混雑していたら席を取るには・・・との添乗員さんのアドバイスもあったが、実際には私たち一行と数グループのみ。1階から3階のデッキまで選り取り見取りだ。
360度の圧倒的な風景に息を飲む。同じ地球にこんな場所があるのだ、これがあの地理で勉強したフィヨルドなのだ、と思うと身震いまでしてくる。黒々とそそり立つ断崖絶壁はまさしく“魔の山”の風情。トロルたちが出てきてもおかしくない感じ。ああ、地球の4億年を考えれば、生き長らえても僅か80~90年の人間が、日々あれこれ悩みながらジタバタ暮らしていることがなんだか不思議に思えてくる。生きているだけでめっけもんだな、と実感する。
8時45分、定刻にソグネフィヨルド遊覧船が出航。まずはデッキへ登る。ノルウェーの船旗が棚引く。風は冷たいが、水面はとても静かでどこまでも澄んでいる。全長約204㎞の世界最長・最深部約-1,308mの世界最深の雄大なソグネフィヨルドを船は静かに進んでいく。途中、人口20人の村、人口3人の村等を通り抜けながら船は静かに進む。
黒い岩盤を垂直に落下する沢山の滝はあたかも白い帯のように見える。「のこぎりの滝」というサーグ滝は、1962年に東山魁夷画伯が描いているそうだ。船はアウランフィヨルドから世界遺産のネーロイフィヨルドの奥にあるフロムに向かう。ネーロイフィヨルドはソグネフィヨルドの奥深い部分で、幅が250mと最も狭く、鏡のように静かな海面に切り立った急峻な峡谷が映り素晴らしいの一言に尽きた。
今日の気温は14度。ニットのアンサンブルに厚手のストールを巻き、裏地のついたレインコートを羽織っているが、風に当たると体感温度がどんどん奪われ、寒さとの戦いである。それでも雨が降って来なくて本当にラッキー。船内のカフェでお茶をして、体を温め態勢を立て直す。2時間の遊覧はあっという間。
下船地である人口450人の小さな村フロムには、大型客船も停泊している。賑やかな港町で可愛い建物が並んでおり、船の上からはおとぎの国のように見える。
鉄道大好きな息子は下船するや否や、これから乗車するフロム鉄道とまずツーショットの写真を撮りに走る。駅前にある鉄道博物館もなかなか楽しい。30分ほど散策して、皆でレストランへ向かう。
お昼はホワイトアスパラガスのスープとサーモンのレモンソース。添乗員さんが気を利かせて醤油のミニパックを分けてくださり、日本人好みのほっとする美味になった。
1時間ほどお土産屋さんを冷やかしたりした後、長閑な谷間の村フロムから終点のミュールダールまで、急勾配をゆっくり上る山岳鉄道に乗車。驚くことに自由席と指定席がゴチャゴチャだそうで、席取りが至難の業。皆であたふたと乗り込み何とか席を確保する。フロム鉄道はベルゲン鉄道建設資材運転の為にフロム渓谷に沿って作られたそうだ。全長20.2㎞、高度差900m、最大斜度は5度だそうだ。18m進むごとに1m上がる計算になる。途中20か所のトンネルを通ったが、うち18は機械を使わず掘られたそうで、実に20年の歳月を要したという。山の急斜面を貼りつくように走り、流れる滝の水の轟を聴き、車窓からの美しい景観からは片時も目が離せない。
中間地点では対向列車とすれ違い、海抜630mのショースの滝では5分間下車して写真撮影タイム。一気に93mを下る滝は、降りた途端に水しぶきが凄い勢いで飛んでくる。近づくともうびしょ濡れである。最後には赤い衣装をまとった“滝の妖精”が出てきて踊りを踊って見せてくれてサービス満点。聞けば普段の水量の2倍はあった模様。こうして鉄道の旅1時間はこれまたあっという間。
終点ミュールダールからはベルゲン鉄道で、ソグネフィヨルドに続く渓谷美とノルウェーの農村風景を車窓から眺めながら1時間弱の旅。到着時間が遅れ、オスロ行の特急が先に到着したり、席取りでドタバタしたが、無事発車。草臥れ果てて座った途端舟を漕ぎ、車窓の風景も記憶にないほどの体たらくだ。
気づけば、ヴァンクス湖の湖畔の町で、ソグネフィヨルド観光の拠点であるヴォスに到着。立派な駅舎でしっかり写真撮影。ベルゲンに向かってそのまま走っていく電車を見送ると、駅前には私達のバスがお迎えに来てくれていた。
ヴォスからは途中“ツヴィンデの滝”で下車。ここでは若返りの水を汲むことが出来るという。カラのペットボトルを持って、我が家の代表として息子が汲みに行く。夫と私は水しぶきに濡れながら待つことに。皆で一口ずつ水を頂き、10歳ずつ若返ったことになる。
再び、バスでホテルに戻ったのは17時少し前。昨日より早い到着で、テラスからの眺めは素晴らしかった。こんなに暖かくお天気が良いのは珍しいという。晴れ女、ここにあり、である。
夕食を済ませ、明日は出発が4時。モーニングコールは3時である。いやはや強行軍の旅も、明日で折り返しである。