大迫力!という前評判につられて、自分では一生拝むことのないだろう景色を3Dで愉しむのも良いかもしれない、と標題の映画を観て来た。
私は寒がりだし、今では“寒い→痛い→調子悪い”の一連のネガティヴ回路が出来上がってしまっているから、もう見ているだけで震え上がった次第。
「Why?」と訊けば「It's there!」と答える山男、山女たちがいるけれど、世界の殆どの人たちは実際にこの山に登ることとは無縁だろう。8,848メートル、まさしく酸素ボンベがなければ死に直結する“デス・ゾーン”である。
私は春・秋の季節の良い時期に出かけた小学校遠足の、高尾山レベルのハイキングでさえ顎を出していたクチだし、若かりし頃「私をスキーに連れてって」が流行った時分、ミーハーにも数回スキーに出かけたことがあったけれど、いざ天気が悪くなり、雪が舞い、寒さに震える事態になろうものなら涙と鼻水を流しながら、体中で「なぜ私はこんな所にやってきたのだろう・・・」と後悔しまくったものだ。
だから、たとえそこにあろうと、決して冬山に登ろう!などとは思わない。
もちろん、神の領域とも思えるその景色を目の前にしたら・・・ということなのかもしれないけれど、6週間にわたる6万5,000ドルという破格のツアー料金を捻出するために、仕事もかけもちして資金調達に励み、家族との人間関係を壊すことも恐れずに果敢に挑戦する登場人物たちには、頭が下がる、というよりもむしろ私の理解を超えている。
何より文字通り命がけなのである。延命のために3週に一度、3割負担で15万円の治療を続けている身としては、それだけのお金を払って自らの命を危険に晒す人がいるというのは微妙な気持ちになる。
これは1996年5月10日に登頂した人たちの実話に基づいたストーリーだけれど、登山ガイド会社を営む主人公を初め、別部隊の隊長を含む数名が命を落とすのである。アクシデントが重なり、ここまで来たのだから、これが最後のチャンスだから、と下山予定時刻を遅らせたばかりに・・・。
撤退する勇気、名誉ある撤退は絶対にあるのだと思う。とはいえ、その場に居合わせたら、登頂を請け負った主催者として、その決断が本当に出来るかどうか・・・自信がない。
パーティの中にワセジョの難波康子さんがいらしたことは、恥ずかしながら全く知らなかった。1949年の早生まれで当時47歳だから、今ご存命なら66歳。世界の6大陸最高峰を制覇し、7つ目、最後がこのエベレストだったという。日本人女性として2番目(1番目は田部井淳子さん)に登頂に成功はしたものの、下山途中の猛吹雪のため、キャンプまで僅か300メートルという所で、辿り着くことが出来ず、凍死されている。
ふと、なぜ、こんな大きな事件が全く記憶にないのだろうと不思議に思った。
1996年5月10日といえば、息子を出産して3ヶ月余り。産休明けの3月末に職場復帰し、朝も夜も24時間コンビニ状態の慣れぬ母業でヘロヘロ。社会情勢をキャッチする余裕すらなく、新聞を読み、ニュースを見る時間があればただただ眠りたかった、といったところか。それ以来やけに子ども番組に詳しいのもお笑いである。
3Dメガネをかけて観る映画はもともと好きではない。なんといっても暗い中で目が疲れる。「アバター」の時はあまりに綺麗で、これは3Dで観なければと思ったけれど(実際、テレビ放映された時にはこの感動は全くなかった。)、今回はなんとしても3Dでなければ、というほどの醍醐味はなかったように思う。と同時に、目の疲れもそれほどでもなかった。これは画像もメガネも進化したということか。
残念ながら、私にとっては猫に小判の映画だったけれど、山岳モノがお好きな方にはたまらない1本だろう。実写なのかCGなのか、本当に分からなかった。たとえ自分で登ることは出来なくとも、一緒に登頂追体験の感動は間違いないと思う。
私は寒がりだし、今では“寒い→痛い→調子悪い”の一連のネガティヴ回路が出来上がってしまっているから、もう見ているだけで震え上がった次第。
「Why?」と訊けば「It's there!」と答える山男、山女たちがいるけれど、世界の殆どの人たちは実際にこの山に登ることとは無縁だろう。8,848メートル、まさしく酸素ボンベがなければ死に直結する“デス・ゾーン”である。
私は春・秋の季節の良い時期に出かけた小学校遠足の、高尾山レベルのハイキングでさえ顎を出していたクチだし、若かりし頃「私をスキーに連れてって」が流行った時分、ミーハーにも数回スキーに出かけたことがあったけれど、いざ天気が悪くなり、雪が舞い、寒さに震える事態になろうものなら涙と鼻水を流しながら、体中で「なぜ私はこんな所にやってきたのだろう・・・」と後悔しまくったものだ。
だから、たとえそこにあろうと、決して冬山に登ろう!などとは思わない。
もちろん、神の領域とも思えるその景色を目の前にしたら・・・ということなのかもしれないけれど、6週間にわたる6万5,000ドルという破格のツアー料金を捻出するために、仕事もかけもちして資金調達に励み、家族との人間関係を壊すことも恐れずに果敢に挑戦する登場人物たちには、頭が下がる、というよりもむしろ私の理解を超えている。
何より文字通り命がけなのである。延命のために3週に一度、3割負担で15万円の治療を続けている身としては、それだけのお金を払って自らの命を危険に晒す人がいるというのは微妙な気持ちになる。
これは1996年5月10日に登頂した人たちの実話に基づいたストーリーだけれど、登山ガイド会社を営む主人公を初め、別部隊の隊長を含む数名が命を落とすのである。アクシデントが重なり、ここまで来たのだから、これが最後のチャンスだから、と下山予定時刻を遅らせたばかりに・・・。
撤退する勇気、名誉ある撤退は絶対にあるのだと思う。とはいえ、その場に居合わせたら、登頂を請け負った主催者として、その決断が本当に出来るかどうか・・・自信がない。
パーティの中にワセジョの難波康子さんがいらしたことは、恥ずかしながら全く知らなかった。1949年の早生まれで当時47歳だから、今ご存命なら66歳。世界の6大陸最高峰を制覇し、7つ目、最後がこのエベレストだったという。日本人女性として2番目(1番目は田部井淳子さん)に登頂に成功はしたものの、下山途中の猛吹雪のため、キャンプまで僅か300メートルという所で、辿り着くことが出来ず、凍死されている。
ふと、なぜ、こんな大きな事件が全く記憶にないのだろうと不思議に思った。
1996年5月10日といえば、息子を出産して3ヶ月余り。産休明けの3月末に職場復帰し、朝も夜も24時間コンビニ状態の慣れぬ母業でヘロヘロ。社会情勢をキャッチする余裕すらなく、新聞を読み、ニュースを見る時間があればただただ眠りたかった、といったところか。それ以来やけに子ども番組に詳しいのもお笑いである。
3Dメガネをかけて観る映画はもともと好きではない。なんといっても暗い中で目が疲れる。「アバター」の時はあまりに綺麗で、これは3Dで観なければと思ったけれど(実際、テレビ放映された時にはこの感動は全くなかった。)、今回はなんとしても3Dでなければ、というほどの醍醐味はなかったように思う。と同時に、目の疲れもそれほどでもなかった。これは画像もメガネも進化したということか。
残念ながら、私にとっては猫に小判の映画だったけれど、山岳モノがお好きな方にはたまらない1本だろう。実写なのかCGなのか、本当に分からなかった。たとえ自分で登ることは出来なくとも、一緒に登頂追体験の感動は間違いないと思う。