生き生き箕面通信

大阪の箕面から政治、経済、環境など「慎ましやかな地球の暮らし」をテーマに、なんとかしましょうと、発信しています。

生き生き箕面通信396 ・新しい時代に対応する社説を望みます

2010-01-02 08:08:09 | 日記
おはようございます。今日は、読売新聞の元旦の社説について、真のジャーナリズムを問う立場から、検討します。
生き生き箕面通信396(100102)をお届けします。

・新しい時代に対応する社説を望みます
 読売の元旦社説のタイトルは「『ニッポン漂流』を回避しよう―今ある危機を乗り越えて」でした。タイトルから判断する限り、極めてまともな問題意識と見えました。ところが中を読んで、著しい認識の差を感じました。

 社説はいいます。「日本が進むべき道は何か。どんな国造りを目指すのか。新しい国家像をどう描くのか。危機を乗り越える具体的な処方箋とともに、骨太な国家戦略を示すこと、それが政治に課された責任である」と。全くその通りと思う指摘です。日本の安全保障政策、医療・介護などの福祉政策、それを実現可能にする経済政策。いまの連立政権は、その骨太の戦略を国民に見える形で示す義務があります。

 ただ同時に思うのは、ではこのような時に果たすべきジャーナリズムの役割は何か、です。社説は「日米機軸が国益に沿う」として、「日米同盟は日本の安全保障の生命線だ」と断言しています。そして”仮想敵国”という語こそ避けたものの、北朝鮮と中国の国名を挙げ、脅威としています。ここまでは、少なからぬ人が同じような考えを持っているのかもしれません。

 しかし、「それなのに、東アジア共同体構想を掲げ、米国離れを志向する鳩山首相の言動は極めて危うい」と断定する段にいたっては、時代の捉え方の大きな差を感じます。ぼくは、これからはアジアが成長のセンターであり、中国を含む地域との交流の中にこそ「日本の生きる道」があると信じます。

 アメリカは、財政が行き詰まり、ドルの弱さが示すように、凋落傾向をたどらざるを得ない。いわば”ドロ舟化”しつつあります。そこにしがみついているのは危険でさえあると思います。長期的には、東アジアの相互安全保障体制をこそ模索する時代になってきているのではないでしょうか。

 「55年体制には功罪があるが、日米同盟に基づいて日本の平和を確保し、自民党一党支配による政局の安定と、それに伴う経済成長の基を築いたことは間違いない」と、55年体制を高く評価し、それから抜け出る発想を欠いているのも、社説の特長です。

 「公共事業は『土建国家』の悪玉施策と言わんばかりである。吟味は必要だが、地方が疲弊しているときに、即効性が高い公共事業の活用も大切だ」とも強調しています。しかし、過去10年、20年、自民党政権のもとで、その政策をやってきた結果、経済は疲弊し、借金ばかりが積み上がったのではないか、と思います。まだ公共事業に頼って、借金を増やし続けろというのでしょうか。

 昨年の政権交代は、時代の変化になんとか間に合った「チェンジ」です。菅直人・副総理が言う「革命」なのです。革命的変化をするためには、それも無血で進めるには、時間がかかります。ときにはマヌーバー的優柔不断も高度な政治手法となります。

 ジャーナリズムには、世界の時代の流れを見極めた言論の展開をお願いしたいと思います。