いか@ 筑豊境 寓 『看猫録』

Across a Death Valley with my own Distilled Resentment

「体制のせいだ」、といった25年前のチェルノブイリ事故

2011年05月17日 20時38分06秒 | その他
― さよなら、キエフは緑の六月 ― 「ふたり」、大貫妙子 [You can enjoy here!⇒YouTube]



スペインに行く途中乗り換えたミュンヘン空港でみたドイツ語の新聞。欧州では25周年というのは特に意味があるのだろうか?四半世紀だからか? そうとしても、今回のFukushimaの事故がTschernobylを時間を遡って照射したに違いない。

チェルノブイリ事故は覚えている。ゴールデンウイークの頃だった。岡田有紀子が飛び降り自殺し、ひろひとさんが在位60年を祝ったのがこの前後一カ月の間だったような気がする。そして、時代は保守化へまっしぐら。

おいらの生涯で、ただ一度新聞を購読した期間が、この頃から半年。産経新聞。当時はサンケイ新聞かな。北海道になかった。内地にやって来たお祝いに、サンケイ新聞。当時からおいらは、左翼を嫌悪する心情に満ち溢れていた。この年、1986年に中曽根・自民党300議席。うれしかった。ついでに、おいらは小泉・郵政選挙にも熱狂した。喜ばしかった。おいらって、こんな奴だ。単細胞なおいらは、左翼嫌悪からウヨになったのだ。その底の浅さには、ずぶんでも、驚く。

1986年当時、「保守」的論調は、チェルノブイリ原発事故は、ソ連という体制のせいだといったもの。

穏健な高坂正堯センセも、講演で「最近ソ連でインフラ関連の大事故が多いでしょう。あれは老朽化を更新できていないからです。そして、それは体制の弱体化を示すものです」といっていた。

おいらも、特に異義はなかった。とにかく、アカが嫌だったので。もっとも、戦争なしにソ連が解体するとは思わなかったが。

この左翼忌避の日本の風潮は「新しい教科書をつくる会」や小泉改革を絶頂としたが、「格差社会」の進行、サブプライム恐慌と今度の原発事故で、潮目が決定的に変わったのであろう。

今の"18君たち"は、保守忌避の心情といったところか?(⇒ 曽野綾子「東電に責任はない」

そして、1986年には知らなかったよ、チェルノブイリってウクライナだって。キエフだってしらなかった(おいらが見たウクライナ人の話⇒愚記事)。

●でもさぁ、広瀬隆センセって、原発推進に一番貢献したんじゃないかなぁ?少なくとも、原発容認派を原発懐疑派へと変えることには全く貢献していないと思う。だって、左翼忌避の日本人信条には、あーいう物言いはむしろ逆効果だったのではないだろうか? この左翼忌避、"反原発"忌避の典型が、例えば、"「スイシン」VS「ハンタイ」の対立構造"を超えるという立場の武田徹。表には出さないが、左翼忌避、"反原発"忌避が感じ取れる(Amazon;私たちはこうして「原発大国」を選んだ)。事故前には無難な立ち位置ではあったが、実際に事故が起きたという、多くの人には"想定外"の事態では、「ハンタイ」派のぼこりは必至だ。具体的には、事故後でも武田徹はやってしまっている;

 たとえば、当初、福島第一原子力発電所の二〇~三〇キロメートル圏内は、政府から屋内退避区域に指定されました。あるジャーナリストはその場所で高い放射線量をガイガーカウンターで計測し、その数値を示していた。後の放射線調査から総合的に推測して、それはなんらかの理由で瞬間的に記録された高い数値だった可能性が高い。確かに警告を鳴らす行為の重要性は認めます。危険の可能性を指摘し、あらかじめ避ける「予防原則」が大事だということも分かる。しかし、いたずらに不安を煽ること、警告を鳴らすこととは、やはり異なるはず。(2011年4月4日の文章)

今となっては地震後すぐに「メルトダウン」していたことがわかった。武田はその本の中で、「政府や電力会社はウソをついており、現状はもっと危険な状態なのだ(2011年4月4日の文章)」という立場を相対化した。今となっては....。

日本の今の悲劇は何か? 今の日本のジャーナリストが、イズベスチア(←20年ぶりに思い出した単語)の記者であることを強いられることなのだ。そして、庶民は政府の大本営発表を、-それは100%嘘というものではなく、むしろ嘘はゼロであるが、不都合なことは隠すとかやっかいな情報郡であるのだが-、解釈して了解しなければいけない。当時のソ連の庶民のように。外国の報道の受信も重要だ。当時のソ連の庶民のように。

-体制の失敗;日本社会主義の瓦解、あるいは日本「黒い」貴族たちの危機 -

チェルノブイリ原発事故が起きた時のソ連は赤い貴族と揶揄される官僚が支配層。庶民を食いものにしていた。

ところで、東京電力の株式を 社会主義銘柄 と揶揄するのを見て、にこにこできた(山崎元、電力株は「社会主義銘柄」だ! )。穿っている。

つまり、現在の日本はソ連崩壊前のような腐食崩壊寸前の体制なのだ、と信じたい。

ところで、上記山崎元さんって、経済はネオリベばりばり、お金を拝して何が悪い!って信条らしいんだけれども、軍事・外交は"社民"なんだよね。