alternativeway

パリ、カフェ、子育て、サードプレイス、
新たな時代を感じるものなどに関して
徒然なるままに自分の想いを綴っています。

フランス式子育て

2015年08月13日 | 日仏子育て事情
 フランス人の子供達ってなんて静かなんだろう、
どうしてこんなにいい子にしていられるんだろう?
それは私が息子を連れて3ヶ月パリに滞在した時に
強く感じたことだった。

 どうしてこんなにも違うんだろう?
私は一体どこを間違えてしまったんだろう?
自分がしていることの中で何よりも子育てが苦手な私は
日々自問自答を繰り返していた。
一体どこで?何がいけなかったのか?
それとも全部?もうやり直しはきかないのか・・・

 育児の本はなんだか怖くて避けていたけど
相談できる機会があるごとに私なりには相談してきた。
そして答えはあいまいだった。
まあ子育てなんて大変なものよ、小学生になったら
ちょっとは楽になるんだから。それまであなたも頑張りなさい、
そんなトーンが多かった。

 日本では子育てというのは相変わらず大変で
我慢するもの、自分の人生の数年間を捧げるものというニュアンスがある。
私も子供を7年育ててきた訳だけど、これまでの
大変さを考えたなら、やはり同じ年齢の人たちに
「是非とも子供は生んだ方がいいよ!」と声を大にしては言えないだろう。
あなたがいいと思うなら・・・大変だけどね。
母親の責任や重圧は大きいし。
日本で上手に子育てしようと思ったら働くなんて
やめた方がいいんじゃない?子供にきめ細かく
教育をしてあげるなら、やっぱり専業主婦が一番だ・・・
それが最近の結論だった。
でもやっぱりフランスは違うらしい。


 以前からタイトルに非常に興味をもっていた
"Bébé Made in France"という、パリで3人の子供を
育てているアメリカ人ジャーナリストが私とほぼ
同じ疑問を抱き、パリで子育てするアメリカ人やフランス人達に質問を
重ねて書かれた本には彼女が見つけたフランス式子育ての秘訣が載っている。
「どうしてフランス人の子供達はあんなにいい子でじっとしていられるの?」
「どうしてフランス人の子供は生後3ヶ月もたたないうちに
一晩中寝れるようになってしまうの?
アメリカではそうはいかないし、パリ在住の
アングロサクソンたちも同じ意見なのに!!
そんな彼女の嘆きはまさに息子が小さいころの私の嘆きそっくりだ。
「どうしてフランス人の子供達はバカンスにきても
静かにしていられるの?うちの子供は思いっきり
ご飯を床にこぼしてばかりで、二度とバカンスなんて
家族でいかないって誓った程なのに!」その気持、本当にわかる。。。
だからもう外食なんてするもんかってピクニックを始めたわけで・・・

 そうそう、どうして??と共感しながら読み進めていくと
見えてくるのはフランス人の親たちの毅然とした、大人な態度。
私は正直これを読むまで、フランスの親達は表向きは
美しいけど、実は家の中ではすごく怖くてたまに
鞭でも持ち出しているのでは?と思っていた。
それくらい、フランスの子供はじっとしてだまるということを
継続的にやっていられる。よくフランスで言われるのは
「これは大人の時間なの。あなたはだまっていなさい。」
だから夕食に招かれた時、大人はずっと大人同士の会話をして
子供は(同席した場合)ほとんど口をはさめない。
日本だったら子供が話の主役になって、「ねえねえ僕ね!!」
「うん、なになに・・・?」最終的には
「ごめんね、結局まともに会話できなかったね。子供いるから
しょうがないようね。今度は子供抜きで話せるといいね(遠い目・・・)」
になってしまう。

 私はフランスにいた時も「毅然とした態度」について
説明されたことがあったけど、いまいちピンとこなかった。
それはダメといったら絶対だめで、どんなに子供が駄々をこねても
大人も譲らないことだ、と説明されはしたものの、泣き叫ぶ子供を
前に私はぐらぐら揺れ、結局「わかったよ・・・」と
なってしまった。この本を読みながら、結局子育てがうまく
いかなかったのは私が子供だったからなんだなあ・・・と痛感。

 フランス人たちの子育ては大人というリーダーが
子供という新しいメンバーを導いてくれる感じに映る。
その根本には「こどもに説明する」という、よく
フランス人達の口から聞こえたキーワードがあるのだろう。
「赤ん坊でも説明すればわかってくれる。本当だよ?」
そしてそれを信じることだ。私はこの言葉のお陰で
日本で魔の2歳児といわれる「イヤイヤ期」を5日くらいで終えてしまった。
そのかわり、どうする?どうしたい?と聞きすぎたせいで
(これが子供の自主性を育むのかと思ってたんだけど・・・)
逆に子供に振り回され、あとで結局イライラするはめに
なってしまったのかもしれない。

 子供が泣いたらすぐに走ってあやしにいって母乳をあげて
夜中寝れずにゾンビのようになってしまい、日中はふらふらしたまま
生きている・・・私の人生返して、と京都時代に心底思っていたけれど
そうやって子育て鬱になるのと子供の睡眠時間とは相関関係があるらしい。
フランス人は夜中に子供がないても飛んでいかず(そもそも
赤ん坊は大人とは違う部屋でベビーベッドで寝かされている)
数分間放っておいて眠るならそうさせ、おむつや着替え、
どんなことを試みても泣き止まない時、最終手段として母乳を
与えたりするらしい。日本でよくある「私こんなに眠れなくて・・・」
という我慢大会のようなママトークはほとんど存在しないという。
子供に「夜しっかり眠ることを教えること」が親としての
教育の第一歩だったのだ!とその本には書いてある。
そういう教育があったとは・・・そこでボタンをかけちがえると
お互い眠れず、母親は日中のイライラ、旦那も仕事中に眠気に襲われ、
赤ん坊はどこへいってもおっぱい頼み、そうすれば子供は落ち着くからと
どこでもおっぱいをあげる母。そしてふりまわされてゲッソリ
という、かつての私のようになってしまう。誰か、もっと早く教えてくれていたなら
こんなことにならなかったかもしれないのに・・・と思っていたら
この本にもまさに同じことが書いてあり、睡眠の省では
「これらのことを知ってから私と旦那は試してみた。まず1日目は
子供が12分泣いたがそれから寝た。2日目は5分泣いた。3日目の
夜中に起きたのは私と旦那だけだった。それから子供は
毎晩続けて寝るようになってくれた・・・」と締めくくられている。Bravo!


 母親の人間としての幸せがあってこその家庭、そして子育てがあるという
フランス。私が息子に振り回されていた頃にフランスで言われたことがある。
"Qui décide? C'est vous où c'est lui?" 「誰が決めるの?彼が決めるの?
(あなたでしょ!)」親があって子供がある。母の余裕があってこそ
子供にも笑顔が生まれていく。そういうスタンスが強い国では
大人のやることを邪魔する子供は愛されない。そして至るところで
「シーッ!(静かに!)」っとされ、子供も自分で学んでいく。
(我が子はさんざんこれをされたのでこの発音だけはうまい)
はじめはドタドタとしか歩けなかった息子も3ヶ月たったころには
すり足で歩けるようになり、ほぼ抱っこ一点張りだったのも
相当な脚力がつき、公共空間ではいい子にするということを
しっかりと覚えてくれ、帰りの12時間くらいの飛行機では
隣にいることを忘れる程静かに過ごしてくれた。
日本に帰国して傍若無人な子供を目にして
浦島太郎のような気持になったのを覚えている。(もとに戻っちゃったけど)

 結局のところ、日本では「どうせ子供なんだから・・・まだ子供だし・・・
(理解できないし、そんなこと無理よ・・・仕方ないじゃない)」
という諦めがあると思う。フランスはそうはいかない。
「子供だから?うちの子供はできたわよ!(あんただってそうしなさいよ)」
という雰囲気がある。その土壌があればこそ、子供にも
美術館に行かせ、素晴らしいものに小さい頃から触れさせようとするのだろう。
子供だって本当はできる、そう、本当はできるのだ・・・
けれどしなくてもいいと思った瞬間、子供は図にのってくる。
どちらがいいのかわからないけど、子供は意外と厳しい環境でもやっていける。
5歳で百銘山を全部登った子供もいるし、うちの子だって鈍行に3時間揺られても
ほとんど文句なしに旅行ができる。
最近子育てについて思うのは、一番大切なのは親の根気じゃないかということだ。
子供に振り回されるのではなく、それなりの物の見方をもって
諦めずにそれを子供に伝えていくこと。
もはや遅すぎるかもしれないけれど、なんとか諦めずに
根気をもって、子供に向き合えたらいいなと思う。


ーーー
Pamela Druckerman
"Bébé made in France Les secrets de l'éducation à la française"
2012年にニューヨークで出版された本のフランス語訳です。日本語訳すべきだと思う!



フランスに行くなら

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