昨季は全て中止になってしまった、フィギュアスケート・ジュニアグランプリシリーズ。今季2021/22シーズンは、現在のところ予定通り開催の見込み。ただし、日本スケート連盟はコロナ禍の状況を見て前半3大会には派遣しないことを決定している。
選手個人をアサインするシニアのグランプリシリーズと違って、ジュニアグランプリシリーズは国・地域に出場枠を割り当てる。昨季2020/21シーズンは世界ジュニア選手権も中止だったので、その前の2020世界ジュニアの結果によって、各国の出場枠が決められている。
国・地域ごとに最上位の順位を比較、何番目に相当するかによって、いくつの大会に何人/組出場させられるかが決まり、さらにどの大会にどの国が出場するかも一覧にして提示される(Announcement)。
男子及び女子は、1~3番目の国:7大会に2名、4~6番目の国:7大会に1名、7~10番目の国:6大会に1名。2021-2022シーズンフィギュアスケート国際競技会派遣選手選考基準には、“男女シングルは 7 月末に開催する派遣選手選考会において、選考会課題・演技・国際競技力を総合的に考慮して選考する。”と書かれている。
<男子>
鍵山優真2位でロシアに次いで2番目の国、全7大会に2名ずつエントリーできることになっていた(P.15 Table A)。後半4大会x2名で計8枠、4名を2大会ずつ出場させてもいいし、2大会出場の人数を減らして1大会で経験を積ませる人数を多くすることも可能だ。
本田ルーカス剛史、三浦佳生あたりはファイナル進出できそうな力があるので、2大会派遣されそう。例年だと前半の大会で上位に入った選手を後半の大会に優先して派遣するが、今回は時間的な余裕がないので 国内選考会の内容で予め決めることになるのではないだろうか。
<女子>
日本女子は河辺愛菜11位で、ロシア・アメリカ・韓国・ポーランド・カナダ・アゼルバイジャンに続いて7番目、6大会に1名ずつ。エントリーできる大会は(P.16 Table B):
赤線のところ、つまりロシア大会・ポーランド大会・オーストリア大会の3つだけになる。フランス1・2とスロバキア大会をスキップするのは日本の都合なので、エントリーしないスロバキアの分を勝手にスロベニアに移動させるとかは、おそらくできないと思われる。
たった3枠となると、、、1大会x3名にするか、1名は2大会に出すか。どうせならファイナルが狙える選手を2大会出したいが まず国内選考会が凄いことになりそう
ペアは1~4番目の国:4大会に3組、フリーに進んだ国:4大会に2組、ショート落ち:4大会に1組、それ以外(不参加):3大会に1組。
日本は2020世界ジュニアに出場していないので、3大会に1組エントリ―となる。割り当てはスロバキア・ロシア・ポーランド大会(P.17 Table C)。
アイスダンスは1~3番目の国:7大会に2組、4~6番目の国:7大会に1組。日本は吉田唄菜/西山真瑚が12位で、アメリカ・ジョージア・ロシア・フランス・カナダに続いて6番目。全7大会に1組エントリ―可能(P.18 Table D)だったので、後半4大会x1組で計4枠ある。
しかし、、、2021-2022シーズンフィギュアスケート国際競技会派遣選手選考基準に、“ペア・アイスダンスは前年度の実績と国際的な競技力を考慮し、派遣しない。 ”とある。
えええ~~~~
ペアで競技に出場することを明らかにしている櫛田育良/森口澄士組は、森口選手の年齢によりジュニアに出られるのは今季と来季の2シーズンのみ。貴重な最初のシーズン前半を国内大会だけに限定するんだろうか? 1組だけだと、西日本ジュニアでは開催されず、全日本ジュニアの1大会だけになるおそれも
世界ジュニアに出場するなら、どのみちミニマムテクニカルスコアが必要になるんだから、ジュニアグランプリシリーズに1大会でも出せばいいのに・・・ 年明けの大会でジュニア・ペアのカテゴリがあって、派遣実績があるのはババリアン・オープンくらい。チャンスは1回だけ❓
さらに納得できないのはアイスダンス。全7大会に1組をゲットしたのは“うたしん”吉田唄菜/西山真瑚組の実績による。その吉田唄菜が新たなパートナー浦野誓二と組むカップルを出さないというのは、自分で取ってきた枠を使わせてもらえないということだ。
ノービスのカテゴリとはいえ、全米選手権2020 U.S. Ice Dance Final出場の実績がある浦野誓二選手の実力が、結成1年目時点の西山真瑚選手より大きく劣るとは考えにくい。2019年11月のフリーで技術要素ごとに見ても、リフトでレベル4、ツイズルでレベル3、スピンでレベル4が取れている。ミッドラインステップもレベル1だがGOEが1に近く、決して悪い出来ではない。多少ブランクがあったとしても、今年5月には一緒の練習を始めていて、公開された動画を見る限り、リフトは“うたしん”より難しいことをやっている
“うたしん”は結成後わりとすぐに競技会に出られて、連盟側もプログラム全体を見ていた。今季は三笠宮杯が9月に延期となり、それまでプログラムを通して見る機会がないのが理由なのだろう。しかし、出られる競技会が少ないからこそ、出られるものには出していったほうがいいのでは
そして、せっかく例年より多くある枠で、ジュニア最終年になる佐々木彩乃/田村篤彦組とか、木下アカデミー期待の來田奈央/森田真沙也組に経験させる気もないんだろうか。
年明けてからミニマムテクニカルスコアを獲得するには、トルン杯かババリアンオープンしかない。ジュニアグランプリシリーズで10位以内に入ればISUポイントがついて、ワールドスタンディング/シーズンランキングに載る。世界ジュニアの滑走順でも有利になるのに
頑張って練習している選手たちが、がっかりしているのではないだろうか。オリンピックシーズンでジュニアは“後回し”なのかもしれないが、サポートしてあげてほしい