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この事故をきっかけにして

2014年11月11日 14時00分29秒 | スポーツ

 「頭部挫創、下顎挫創、腹部挫傷、左大腿挫傷、右足関節捻挫」
 ・・・満身創痍・・・
 治療に2、3週間必要という怪我を負った、羽生結弦。まず治療に専念し、NHK杯出場も回復の状態を見て決めるという。それがいい。

 フィギュアスケート・グランプリシリーズ(GPS)中国杯、男子フリー後半グループの6分間練習中、羽生と閻涵(Han YAN)(中国)が衝突。二人とも棄権かと思われたが出場、フリーを滑りきった。
 この事故とその後の出場から、さまざまな問題が浮き彫りになってきた。

<出場の是非決定>
 脳震盪を起こしている可能性が高いのに、出場を止めるべきではなかったのか?という声。柔道やラグビーの指導者たちは、セカンドインパクト症候群など、命に関わる危険性を訴えている。
 選手本人が「大丈夫だ」と言っても、ドクターのチェックをクリアしなければ出場を許可しないシステムが、ラグビーやJリーグにはあるそうだ。
 フィギュアスケートの男女シングルは演技中、ほかの選手と接触することはないので、こうした事故が起こった場合の対策について、真剣に考えられてこなかった。
 しかし、練習中の接触や衝突はこれまでもしばしばあったし、通常の演技の中でもジャンプ転倒やフェンス激突などで、脳震盪を起こす可能性はある。
 出場・演技再開していいかどうか、本人ではなく、ドクターが決定するシステムにしたほうがいい。ドクターストップであれば、選手も諦めがつく。
 どこの国のドクターでも同じ判断ができるように、ほかのスポーツの場合も参考にして手順を決めておくべきだろう。

<救護体制>
 倒れてなかなか立ち上がれない羽生が、しばらくそのままにされていた映像に、なんで早く助けにいかないのか?と思った方も多いだろう。
 解説の佐野稔氏が週明けの番組で言っていたが、「救護班の人たちはスケート靴をはいていない。よちよち歩きだから、ほかのスケーターが滑っている状態では危険。いったん練習を止めてからでないと難しかった」。たしかに、、、
 脳震盪の可能性を考えれば、自力で立ち上がらせたことも本来は望ましくないらしい。担架の用意がなかったことも批判されたが、スケートができる人でないとこれも難しい。
 雪の上を滑って遊ぶボードみたいなのに乗せて引っ張るとか? 表彰式ではカーペットを敷いてプレゼンターが歩けるようにするから、救護用にもカーペットを用意しておくとか。
 ほかのスケーターへの影響が少なく、迅速にできる方法を考えないといけない。

<ドクター>
 羽生の応急処置と診察をしたのはアメリカの、閻涵の診察をしたのはカナダのチームドクターだったという。
 日本は出場選手が3人と少なめだったため、チームドクターを帯同していなかった。中国チームは開催国なのに?と思うが、逆にいつでも病院に搬送できるから医師が会場にいなかったのか。
 いずれにしても、大会全体で何かあったときに対応する、オフィシャルのドクターというものはいないのだった(という事実にびっくり)
 ISUが派遣するか委託するかして、前日の練習から会場にドクターを常駐させて、そのドクターが応急処置をしたり、病院搬送の判断をしたりするようにしたらどうだろうか。出場や演技再開の可否判断も、そのドクターが行うようにする。
 ギャラなど経費は増えるけど、選手たちのために惜しんじゃいけない。
 また、公式ドクターが常駐するようになったとしても、日本チームはドクターを帯同したほうがいいかも。若い選手は外国語で診察されることに不安があるかもしれないし。

<再発防止>
 以前に比べて男子は滑走スピードが上がり、衝突したときの危険性が高くなった。事故を防ぐにはどうしたらいいのか。
 6人が同時に滑るのが危険なら、人数を減らしてはどうかという声がある。昨季のグランプリシリーズは、男女シングルの出場人数を10人にしていたので、1グループ5人だった。
 ただエントリーが10人だと、直前の欠場や棄権があったとき補充できず、実際の出場が9人とか8人になる場合がある。これはちょっと、あまりにも寂しい そして若手の出場チャンスが少なくなる。
 12人に戻ったのはいいとして、同時に滑る人数を減らすには、4人ずつの3グループにするなどの措置が必要。今季から時間短縮のために、名前をコールされてから30秒以内に開始位置につかないと減点というルールになったくらいなので、競技全体の時間が大幅に延びるこの方法は難しいか
 元選手で現コーチの中庭健介氏は、ウォーミングアップを6分から10分にすることも提案している。時間に余裕があれば、周囲にもっと注意を払ってできるのではないか?という意見だ。
 チャレンジャーシリーズなど、どこかの大会で何かの方法を、まず試してみてほしい。それから真剣に議論していってもらいたい。

参照:羽生結弦が見せた王者の誇りと、男子フィギュア最悪の事故の背景

コメント
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