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広東語市場に進出

2007年10月06日 17時33分01秒 | 香港芸能

 最近、北京語圏で活躍する歌手が、広東語曲を出すことがとても多くなっている。
 以前にもなかったわけではない。麗君(テレサ・テン)はしばらく香港を拠点にしていた時期があって、「忘記他」などのヒット曲がある。台湾のアイドルグループ小虎隊のメンバーだった呉奇隆(ニッキー・ウー)は、香港映画にも数多く出演、広東語アルバムも出して、「最後の雨」のカバーなんか歌っていた(蘇永康のバージョンとは別)。同じく台湾のバラード王子・張信哲(ジェフ・チャン)も「深情」「到処留情」と広東語アルバムを出している。シンガポールの音楽人・Dick Leeもアルバムに1、2曲広東語を入れたことがあり、香港にプロモーションに来ていた。
 ただ、どのくらい香港のファンに受け入れられていたのか、というところが微妙 香港に拠点を置いている間はそれなりでも、台湾に帰ってしまうと、もう広東語で歌ってたことなんか忘れられてしまう感じ。何より、香港人は“ガイジン”の広東語発音にうるさいので、どこか際物扱いされてる印象があった。
 そのあたりが少し変わってきたのが返還後。社会全体で、少々下手でも広東語話してくれると嬉しい!という受け止め方になってきた。同時に、北京語圏の人気歌手が香港で売れるようになり、続々とコンサートを開催。片言でも広東語でMCをすれば受け、広東語曲を歌えればもっと受け、、、。
 そこで便利なのが、北京語のアルバムに1、2曲広東語曲を入れるというパターン。元々は陳小春(ジョーダン・チャン)など香港出身の歌手が台湾を拠点にして北京語アルバムを出すとき、香港でも売れるようにということで始めたと思われるが、広東語が母語でない台湾の歌手もするようになった。たしか王力宏(ワン・リーホン)も1度やっている。
 その点、シンガポールやマレーシアなど、広東語人口がそこそこある地域出身の歌手は有利だ。自分の母語ではなくても日常的に聞いて育っているせいか、多少話せる人が多く、発音も比較的きれいだと思う。梁靜茹(フィッシュ・リョン)の「現來你也唱過我的歌」は、香港でのコンサートの時期にヒット、コンサートで大合唱になったとか。つい最近では、JJこと林俊傑(リン・ジュンジエ)が「江南」広東語版を出した(「西界」江南版にAVCDで収録)。この人は北京語の発音もぷつぷつしているので、切る音の多い広東語には合ってるかも?!
 最近、香港に腰をすえて広東語アルバム制作にかかっている曹格(ゲイリー・ツァオ)もかなり広東語が上手い。TVB娯楽直播のインタビューで、「ニュージーランド留学中に香港人の友人がたくさんいたので覚えた」と言っていた。そして前述の張信哲も9年ぶりに広東語アルバム「雪國八月」をリリース。Yahoo!のインタビューで、これまた流暢な広東語で話していてびっくり。北京語圏の人が広東語を話すと、入声(音節の最後が-k, -p, -tで終わる音)がはっきり出せないことが多いが、二人ともきれいに出ていた。
 北京語圏の人たちにとって、広東語はまた別の魅力があるのだろうか。香港を中心とする広東語マーケットに、発展の可能性を感じているのだろうか。いずれにしても、広東語好きの私にはうれしい傾向注目してみたい。

コメント (4)
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