語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【震災】原発>食品>いまだにやまぬ産地・銘柄の偽装

2011年09月06日 | 震災・原発事故
 都内のある米穀店は、4年前に産地・銘柄偽装で農林水産省から業務改善命令を受けた。その時と同じ場所、同じ屋号のまま、今も営業している。店頭には、産地・銘柄偽装したと同じ銘柄のコシヒカリが並んでいる。新潟県産と新潟県魚沼産のコシヒカリだ。
 この店の主は、業務改善命令によって店名が公表されたとき、開きなおった。
 「産地・銘柄偽装なんて、スーパーだって、ディスカウントストアだって、みんなやっている。そんな安売りのコメに対抗しなきゃいけないから、ウチもやったんだ」

 この米穀店も、同時に業務改善命令を受けた千葉県の米穀卸も、「三つ星お米マイスター」を店頭に掲げていた。これは、日本米穀小売商業組合連合会がコメの専門職経験者に与える「博士的称号」だ。ネット通販でも、この称号を掲げて「安心のお店」とうたう店は少なくない。
 そんなプロが開きなおるほど偽装は蔓延していた。
 新潟県魚沼産コシヒカリは、実際の生産量の30倍以上流通していた(業界の公然の秘密)。取り締まりが厳しくなっても、産地を表記する必要のないブレンド米に仕立て上げれば何でもできる(業界の常識)。業者のあいだでは、偽装は「あって当然、なくて不自然」。【吾妻博勝・食品ジャーナリスト】

 新潟県産コシヒカリは、現在、遺伝子「コシヒカリBL」をもつ新種に切り替えられた。DNA検査をすれば、偽装を見破ることができる。
 昨年度、新潟県による調査では、スーパー、ディスカウントストア200店の「新潟県産コシヒカリ」のうち3分の1は「コシヒカリBL」をもたない従来のコシヒカリだったり、他のコメが混入していた。

 警察や地方自治体による摘発はさて措き、07年以降、農水省はコメに係るJAS法の品質表示基準違反による業務改善命令は出していない。
 違反が見つかっても、業者が直ちに改善の意思表示をしたり、常習性のない一時的な過失と判断された場合は「指導」で終わる。この場合、内容も企業名も公表されないのだ。
 改善の意思がなかったり、悪質犯と判断されたとき、初めて「指示」が行われ、企業名が公表される。
 それでも事態が改善されない場合のみ、業務改善命令が出される。

 11年1月から、過失であっても「指示」の内容を顧客/購入者に情報提供しなければならなくなったが、抑止効果のほどは疑問だ。
 原発事故、水害による相場上昇は、悪徳業者にとって天佑だ。すでに福島県に他県の「一空袋」【注】が集まっている。
 偽装米を防止する決め手はない。

【注】「【震災】原発>食品>汚染米のチェック機能不全/消費者側の対策」参照。

 以上、記事「いまだにやまぬ産地偽装・銘柄偽装 コメロンダリングの呆れた実態」(「週刊ダイヤモンド」2011年9月10日号)に拠る。
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