語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【食】塩酸処理と添加物多用 ~みかんの缶詰~

2013年07月07日 | 社会
 (1)缶詰は、19世紀、ナポレオンの指示で考案された、と伝えられる。
 みかんの缶詰は、製造工程で、薄皮取りに塩酸が使われる。
 塩酸は加工助剤のため表示義務がない。
 塩酸は、強い酸性を持つ。私たちの胃で分泌される胃液の主成分であると同時に、医薬や農薬などの合成に多岐にわたって利用されている。皮膚や体の組織を侵す性質があるため、濃度10%以上は劇薬とされている。希釈して使用することが勧告され、トイレ用の洗剤では含有量を10%未満にしたものが一般家庭用として販売されている。

 (2)塩酸のみならず、昨今のみかん缶には多くの添加物が使用されている。
 みかんは、そのまま食べれば原材料はみかんだけだ。これを保存性のある缶詰にするのだから、添加物が必要になるのは致し方ない。ここに安価という観点が入ってくると、価格に比例するように添加物がどんどん増えていく。

 (3)みかん缶は、次のような工程で作られる(はごろもフーズの製造工程)。
  (a)みかんの外皮に蒸気をあてて柔らかくし、皮むき器で外皮をむいた後、水圧で実をバラバラにする。
  (b)みかんの実を希釈した塩酸溶液に浸け、薄皮の成分であるセルロースを分解溶解する。
  (c)アルカリ性の水酸化ナトリウム溶液に浸け、中和し、よく水洗いし、残留塩酸を取り除く。
  (d)缶に詰め、シロップを入れて加熱殺菌する。

 (4)劇薬である塩酸が、希釈されているとはいえ、使用を認められているのは、塩酸は揮発性だからだ。
 みかん缶として完成する前に揮発し、水洗いで塩酸は除去される。ゆえに安全性に問題はない、とされる。
 しかし、完全に除去されていると言い切れるのか。

 (5)シロップに使用される甘味料のアセスルファムKは、砂糖の200倍の甘みを持つノンカロリー甘味料だ。動物実験では、発癌性が指摘されている。
 ぶどう糖果糖液糖は、安いでんぷんから作られ、清涼感のある甘味料だ。体内に大量の糖分を一気に取り入れてしまうため、急激な血糖値上昇が懸念されている。
 メチルセルロースは、みかん缶ではシロップの白濁防止剤として使用されているが、食料品のほか、医薬品や塗料などにも使用される増粘安定剤だ。
 香料は、一括表示が認められている添加物で、喘息発作、片頭痛、うつ症状の誘因にもなる、と指摘されている。

 (6)塩酸処理されたみかんの実と、添加物いっぱいのシロップ。
 表示ラベルからシロップの添加物を知ることはできても、塩酸処理の有無はメーカーに問わねば消費者は知ることができない。 

□沢木みずほ「塩酸処理と添加物使用で「みかんの缶詰」もあなどれない」(「週刊金曜日」2013年6月21日号)
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