(1)缶詰は、19世紀、ナポレオンの指示で考案された、と伝えられる。
みかんの缶詰は、製造工程で、薄皮取りに塩酸が使われる。
塩酸は加工助剤のため表示義務がない。
塩酸は、強い酸性を持つ。私たちの胃で分泌される胃液の主成分であると同時に、医薬や農薬などの合成に多岐にわたって利用されている。皮膚や体の組織を侵す性質があるため、濃度10%以上は劇薬とされている。希釈して使用することが勧告され、トイレ用の洗剤では含有量を10%未満にしたものが一般家庭用として販売されている。
(2)塩酸のみならず、昨今のみかん缶には多くの添加物が使用されている。
みかんは、そのまま食べれば原材料はみかんだけだ。これを保存性のある缶詰にするのだから、添加物が必要になるのは致し方ない。ここに安価という観点が入ってくると、価格に比例するように添加物がどんどん増えていく。
(3)みかん缶は、次のような工程で作られる(はごろもフーズの製造工程)。
(a)みかんの外皮に蒸気をあてて柔らかくし、皮むき器で外皮をむいた後、水圧で実をバラバラにする。
(b)みかんの実を希釈した塩酸溶液に浸け、薄皮の成分であるセルロースを分解溶解する。
(c)アルカリ性の水酸化ナトリウム溶液に浸け、中和し、よく水洗いし、残留塩酸を取り除く。
(d)缶に詰め、シロップを入れて加熱殺菌する。
(4)劇薬である塩酸が、希釈されているとはいえ、使用を認められているのは、塩酸は揮発性だからだ。
みかん缶として完成する前に揮発し、水洗いで塩酸は除去される。ゆえに安全性に問題はない、とされる。
しかし、完全に除去されていると言い切れるのか。
(5)シロップに使用される甘味料のアセスルファムKは、砂糖の200倍の甘みを持つノンカロリー甘味料だ。動物実験では、発癌性が指摘されている。
ぶどう糖果糖液糖は、安いでんぷんから作られ、清涼感のある甘味料だ。体内に大量の糖分を一気に取り入れてしまうため、急激な血糖値上昇が懸念されている。
メチルセルロースは、みかん缶ではシロップの白濁防止剤として使用されているが、食料品のほか、医薬品や塗料などにも使用される増粘安定剤だ。
香料は、一括表示が認められている添加物で、喘息発作、片頭痛、うつ症状の誘因にもなる、と指摘されている。
(6)塩酸処理されたみかんの実と、添加物いっぱいのシロップ。
表示ラベルからシロップの添加物を知ることはできても、塩酸処理の有無はメーカーに問わねば消費者は知ることができない。
□沢木みずほ「塩酸処理と添加物使用で「みかんの缶詰」もあなどれない」(「週刊金曜日」2013年6月21日号)
↓クリック、プリーズ。↓
みかんの缶詰は、製造工程で、薄皮取りに塩酸が使われる。
塩酸は加工助剤のため表示義務がない。
塩酸は、強い酸性を持つ。私たちの胃で分泌される胃液の主成分であると同時に、医薬や農薬などの合成に多岐にわたって利用されている。皮膚や体の組織を侵す性質があるため、濃度10%以上は劇薬とされている。希釈して使用することが勧告され、トイレ用の洗剤では含有量を10%未満にしたものが一般家庭用として販売されている。
(2)塩酸のみならず、昨今のみかん缶には多くの添加物が使用されている。
みかんは、そのまま食べれば原材料はみかんだけだ。これを保存性のある缶詰にするのだから、添加物が必要になるのは致し方ない。ここに安価という観点が入ってくると、価格に比例するように添加物がどんどん増えていく。
(3)みかん缶は、次のような工程で作られる(はごろもフーズの製造工程)。
(a)みかんの外皮に蒸気をあてて柔らかくし、皮むき器で外皮をむいた後、水圧で実をバラバラにする。
(b)みかんの実を希釈した塩酸溶液に浸け、薄皮の成分であるセルロースを分解溶解する。
(c)アルカリ性の水酸化ナトリウム溶液に浸け、中和し、よく水洗いし、残留塩酸を取り除く。
(d)缶に詰め、シロップを入れて加熱殺菌する。
(4)劇薬である塩酸が、希釈されているとはいえ、使用を認められているのは、塩酸は揮発性だからだ。
みかん缶として完成する前に揮発し、水洗いで塩酸は除去される。ゆえに安全性に問題はない、とされる。
しかし、完全に除去されていると言い切れるのか。
(5)シロップに使用される甘味料のアセスルファムKは、砂糖の200倍の甘みを持つノンカロリー甘味料だ。動物実験では、発癌性が指摘されている。
ぶどう糖果糖液糖は、安いでんぷんから作られ、清涼感のある甘味料だ。体内に大量の糖分を一気に取り入れてしまうため、急激な血糖値上昇が懸念されている。
メチルセルロースは、みかん缶ではシロップの白濁防止剤として使用されているが、食料品のほか、医薬品や塗料などにも使用される増粘安定剤だ。
香料は、一括表示が認められている添加物で、喘息発作、片頭痛、うつ症状の誘因にもなる、と指摘されている。
(6)塩酸処理されたみかんの実と、添加物いっぱいのシロップ。
表示ラベルからシロップの添加物を知ることはできても、塩酸処理の有無はメーカーに問わねば消費者は知ることができない。
□沢木みずほ「塩酸処理と添加物使用で「みかんの缶詰」もあなどれない」(「週刊金曜日」2013年6月21日号)
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