語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【政治】「第三の矢」の実態 ~アベノミクスの末路~

2014年07月18日 | 社会
 6月13日、
   「経済財政運営と改革の方針(骨太の方針)」【政府の経済財政諮問会議】
   「岩盤規制」を壊す答申【規制改革会議】
 同月16日、
   「日本再興戦略」新版の素案【産業競争力会議】
を競い合うように発表した。内容は、国民生活の万般にわたり、
   財界とグローバル資本に大きな支配力と権益を許し、
   他方、国民には隷従と犠牲を強いる・・・・
とんでもないブラックなものだ。
  ・内部留保を貯め込んだ大企業の法人税は20%台にまで下げる。
  ・混合医療を導入し、健保適用外の高度医療や保健会社の医療保険の発展を促す。
  ・成果主義の賃金制度を広げ、残業代なしを目指す。
  ・農協を解体し、農協事業への企業参入を促し、農地の所有・転用も認める。
  ・小中一貫校で成績優秀な生徒を優先的に教育する。
  ・個人情報保護法を「改正」し、個人データを「ビッグデータ」として経済活性化のために活用する。
など、社会公共のための制度を食い散らかし、国と大企業に都合のいいものに買えようとする提案が満載だ。

 見逃せないのが、年金積立金の運用方針転換だ。
 2014年現在、積立金は129兆円だが、こえを預かる厚労省管轄下の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に、これまでの国債中心の運用を転換させ、株式を積極的に購入させ、運用利益の増大を追求させる、というもの。
 やがて投機筋が売りで儲けようと株価を下げる方向に動いたら、積立金に大穴が空くこと必至だ。
 日本の国民皆年金制度は戦時下の1942年、労働者年金保険法を母体として発足した。制度発足直後は年金受給者はほとんどいない。集まった金は戦費に充当された。ナチ政府のやり方の真似だ。
 しかし、ドイツでは敗戦後、それが本格的な社会保障制度として育てられていった。
 これに対して日本では、育ってきた厚生年金制度を1966年に大企業の要請を容れて法改正で変更した。各個の区政年金基金組合設立を認め、積立金の自主運用を許した。だが、バブル崩壊と園生の金融危機で多くの基金が立ちゆかなくなった。
 年金改革は、この悪しき歴史に学び、根本から検討し直すべきものだ。

□神保太郎「メディア批評第80回」(「世界」2014年8月号)の「(1)戦後最大の曲がり角へ--国民とメディアの「共犯関係」」
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 【参考】
【政治】先の見通しを持たない新成長戦略 ~鎖国的政策~