ちょっと前に、近畿中央病院から依頼があり講演に招待された。いただいたテーマは「看護ケアサービスシステムと看護師長の役割、コンピテンシー」というもの。とある専門誌に寄稿した拙論をご一読いただいたことが縁となって呼ばれた。有り難いことだ。
医師も看護師も、当然、顧客である患者に対して診断、治療、看護に関わるケア、キュアのサービスを提供している。だから一括して、医療サービスなんていう言い方が一般的だ。
さて、診療部門や看護部門には管理職やマネージャがいる。彼ら彼女たちの仕事は、現場でケアやキュアのサービスを患者=顧客と共創する医療チームへのエンパワーメント、マネジメント、リードが中心。換言すれば、サービスへのサービス、あるいはサービス・オン・サービス。
医療崩壊がさかんに喧伝される昨今、現場の医療サービスを支えるサービス・オン・サービスが、今こそ力を涵養し発揮する必要がある。そのためには、医療という振る舞いをサービス・マネジメント・システムとして捉えてゆくべきだ。
しかし、医療の現場では、病歴管理、安心安全マネジメント、リスクマネジメント、人事管理、資財管理、財務管理、システム部門、etc...というように、サービス・マネジメント・システムはタテに部門ごとに割りつけられていて、バラバラな状態。そして、専門化も進み、学会もおおむねこのタテ割構造の延長線上にある。
これではマズイ。保健・医療・看護・介護などのサービス・オン・サービスをヨコ方向に結び付ける、サービス・マネジメント・システムの一般理論のようなものがぜひとも必要だ。そんなことをみんなで一緒に考えて談論風発する機会だった。
談論風発は研究の触媒、起爆剤みたいなものだ。研究をある種のサービス活動を見立てれば、フィールドでの談論風発は、研究者にとってサービス・オン・サービスのようなものだ。
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