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よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

和製漢字の話

2005年01月10日 | よもやま話、雑談
札幌で北海道看護協会の会長さんと名詞交換したときのことが忘れられない。

会長さんは垰さんという方だ。大変めずらしいお名前にこちらは感動した。「たお」と読み、珍しい国字であること、「垰」と同義の国字で「峠」という国字がありますね、という講釈めいたことを話すと垰さんもびっくりされていた。いままで30年以上名刺交換してきたが、垰さんの苗字が国字で峠と同義であることを言ったのは僕が初めてだとか。

まあ、それはおいて、国字とは、丼、串、躾、鰯、鱈、裃、俥、凪、噺のようにシナからもたらされた漢字を日本が独自に改修、変形させてつかってきた字のことをいう。なので漢字ではなく国字という。国字には日本人独特のユーモア感覚、造形美意識、エスプリがただよう。山をへだてて下界とその上の世界を隔てる峠。風が止んだら凪になる。口から出る新しいものが噺。きれいな身のこなしが躾というように。

漢字にはへん、つくりそのものに意味があり、それらから連想されるイメージを組み合わせて新しい文字を作ってしまうのが国字のエスプリだ。

このエスプリにはまった人がいる。国字研究者の大原望氏だ。愛媛県の県庁の職員の氏は、十数年前に国字研究が手薄なのを知って、この分野に入りこんだそうだ。

明治書院の『漢字百科事典』(1997)には、国字研究は江戸時代から今日に至るまで目立った進展はなく、いまだ総論の域を出ないとして、220字程度しか挙げられていない。

漢学者からは本来のシナ伝来の漢字とは無縁ということで一切注目を集めず、また国語学者からも正当な研究対象とはみなされてこなかったのだ。その間隙を突いて、大原氏はなんと2700字にもおよぶ国字を用例つきで丹念に調べ上げ、氏の「和製漢字の辞典」で公開している。

アカデミックな出版ビジネスのエコノミーには合わないかもしれないが、このような在野の研究成果、知恵がネット上で公開されることの意味ははかりしれないものだ。












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