よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

ソースコードつきオンデマンド・サービス=SugarASP開始でSaaSは進化!

2007年05月14日 | オープンソース物語
SugarCRM日本語版のオンデマンドサービスSugarASPをアナウンスさせて頂きました。

この件に関するニュースではSalesforce.comと比べて劇的に安価な価格に注目が集まっています。ムリもありません、Salesforce.comなど今までのオンデマンド・サービスが高すぎたのです。しかし、今回発表させていただいたサービス価値の隠し味、真骨頂は、お客様が手にされる運用オプションという価値であることにぜひ、お気づき頂きたいと思います。

すなわち、SugarASPオンデマンドサービスを利用いただくお客様には2年目以降にソースコードをまるごと提供いたします。そのままSugarASPオンデマンドサービスをご利用いただいても結構ですし、社内サーバに切り替えていただいても結構です。

このように、お客様が運用スタイルを変更して頂けるようにしたことが今回の挑戦ですが、これはすべてお客様のナマの声にもとづいて戦略立案されたものです。

・SFDCなどオンデマンドサービスはある程度ID数がまとまると費用が高くなる。
・オンデマンドサービスではキメ細かなカスタム化ができないか、高くつく。
・オンデマンドサービスにロックインされるのはコリゴリだ。

例えば、運用1年目はある部署がCRMを体験したりプロトタイプを運用しながら足りない機能や連携機能を洗い出し、2年目に本格的に自社運用されることを望まれるお客様が多いのです。

いままでのオンデマンドCRM業界にあるようでなかったサービス。それはズバリ「運用スタイルの変更オプションの提供」というサービスです。SaaSとオープンソースと仮想化が交わる領域には、新しいサービスが花開くと以前から言ってきました。そして、このようなテクノロジーをマッシュアップすることによって生まれるサービスをデザインするサービスサイエンスのあり方にも注目が集まることでしょう。今後もサービス・サイエンティストの集団としてさまざまな価値の提案をさせていただく予定です。

オープンソースを楽しくするアット驚く、@エクスチェンジ

2007年04月18日 | オープンソース物語
かねてから準備を進めてきたSugarCRMを中心とするソフトウェア、モジュール、連携ソリューション、eラーニング、集合研修などのモノやコトを自由に売ったり、買ったりできる楽市楽座サイト@エクスチェンジが本日オープンしました。

リアルな場ではすでに日本コマーシャル・オープンソースフォーラムを立ち上げ大変大きな反響をいただいてきました。その場での参加者、出展者の皆様方、社内外、クパチーノのSugarCRM(というか、ケアブレインズでは会社の内外の境はあってないようなものですが・・)を巻き込んだ熱いディスカッションを経て生まれたのが、@エクスチェンジです。

開発者、消費者、販売者がネットの場で一体化して、開発して、売って、利用するプロセルシューマ"producer-seller-consumer"が現れてきたら面白い。web2.0を眺望するオープンソース、コマーシャル・オープンソースの世界こそ、プロセルシューマが活躍する場ではないでしょうか。と言いながらも、すでに弊社のパートナーからは、そのような面白いモノゴト好きなプロセルシューマが登場しつつあるのは頼もしい限りです。

このところ、ケアブレインズにはアメリカ、カナダ、イスラエル方面から、多くのオープンソース系企業がとほうもなくワクワクするようなソリューションを提案してきています。ウオッと驚嘆する企業とは、グダグダせずに即決でアライアンスを決めています。そのようなワクワク系商材をマッシュアップさせた驚天動地の仰天ソリューション!?も逐一@エクスチェンジで紹介してゆきます。

とはいえ、eコマースサイトは開設するのはカンタン、発展させるのは汗、知恵、労力、共感がぜひとも必要であることも、まぎれもない真実です。ご声援のほど、よろしくお願い致します。






京都で宗教とオープンソースを語らう

2007年03月10日 | オープンソース物語
関東あたりに住み慣れている人間にとっては京都は特別の意味を持つ。古代から現代までの歴史が堆積されて地層を形作り、表層にはいまなお無数の神社仏閣、陵墓、森林などの歴史的遺産が現存するからだ。

多少なりとも日本の歴史や文明比較史に興味があるアメリカ人の目から見ると、京都は強烈なワンダーランドに見えるようだ。京都へいっしょに遊びに行ったSugarCRM社長ジョンロバーツも例外ではない。意表を突かれる質問とそれらへの答え、そして楽しい議論が延々と寺や神社の境内で、庭園で続いた。

「ヒロ、さっきから気になるんだが、なぜジンジャには動物をいっぱいかかげているの?なぜ日本人は動物を神として崇めるの?」

「ジョーモンあたりに淵源を発するジャパニーズ・アニミズムは時を経て、シントーという経典を持たない独自の多神教へと発展したのさ。地中海東岸から乾いた中近東から生まれてきたヘブライ教、キリスト教、回教などは一神教で唯一絶対のGodを崇拝するよね。でも日本の神道では、そのあたりに生えている木々、草、苔、岩、山、鏡、動物などみんなカミなんだよ。もちろん、スサノオやヤマトタケルのような古代の英雄もカミになる。なんでもカミになれる。なんでもカミとして崇拝する。とくに自然界の美しいものはすべてカミなんだ。

だからそもそも、英語でいうGODと日本語のKAMIはぜんぜん違うんだ。ニッポンのカミはどこにでもいる。そしてなんでもがカミになりうるのさ。なんで、動物がカミになるのは朝飯まえなのさ。

でこんな考え方が、6世紀はじめごろに日本に伝来されたブッキョーにも影響したのさ。とくにミッキョウとよばれるブッキョーのひとつのスクールでは、この影響は強い。テンダイのホンガクロンという考え方では、そのへんの原っぱに生えている草も木も、クニの土地も、全部ことごとくホトケさまになれる(草木国土悉皆成仏)って言っているわけだ。ブッキョウのアミニズム化みたいなもんさ。

考えてみれば、ニッポンはカミをオープンソース化したのさ。なんでもがカミになれる。でもキリスト教など一神教ではGODはクローズドでプロプライエトリね。キリスト教の文明から西洋の科学技術が生まれたのは認めるが、一神教ではニンゲンのみがGODの似姿である理性をもつことによって、他の動植物より優れているので、動物や植物の殺生与奪の特権があるとしているよね。近代になってからは、デカルトやベーコンなどの合理主義によってこの考えたかは強化されたね。そしてGODと直結したニンゲンが都合よく自然を支配しちゃう。

しかも教会が現れてからはプロプライエトリなシステムとして、やれカソリックだのプロテスタントなどとクローズドな派生ソフトがやたらでてきているじゃない?

レリジョンをニンゲンを動かすメタなソフトウェアととらえると、シントーのようなオープンソース系多神教のほうでみんなが仲良くやってけると思うんだけど・・・どう?」





COSF大盛況にて終了

2007年02月22日 | オープンソース物語
さて出展社のソリューションはすべて切れ味溢れる素晴らしいもので、このフォーラムの趣旨が現実のものとなったと感じています。来場者の方々は多くを学び、知り、また出展企業の方々も多くの商談や連携構想を得られました。

主催者として大変うれしく思います。開催報告はこちらのサイトにて公開させていただいています。

コマーシャル・オープンソースの牽引役、旗手のSugarCRM社長のジョンが、コマーシャル・オープンソースのビジネスモデルについて、その本質に迫る非常に濃度の濃い講演を行いました。コマーシャル・オープンソースのビジネスモデルに関する、当事者による日本初の講演は、そこまで言っていいの?と思われるくらいのプラクティカルかつ知的に非常に充実した内容でした。基調講演にふさわしい内容でした。

コマーシャル・オープンソースの雄、SugarCRMとケアブレインズは業務提携をしています。さらなる両社の提携関係の強化と日本市場での戦略的連携を推進してゆくことになりました。

OSSとSaaSを止揚して見えてくる使用者のための仕様

2007年01月29日 | オープンソース物語
SaaS(Software as a Service)の利点は、ソフトウェアの生み出す価値をソフトウェア管理の煩雑性から切り離してユーザに提供することにある。しかし、ソースコードをユーザが持たないため柔軟性には欠ける。かたやオープンソースの利点は、ソフトウエアそのものの開放性、柔軟性にある。しかし、これらの利点の反面、ソースコードの取り回しは煩雑になりがちだ。

ようは、オープンソースとSaaSとでは、その出自、性質、特徴、そしてそれらを担ぐ勢力の主張が異なるので厄介だ。さて、こんなときに便利な思考方法が哲学者ヘーゲルによって彫琢された弁証法。つまりオープンソースとSaaSをテーゼ、アンチテーゼと見立ててアウフヘーベン(止揚)してみると面白い。その先に、これら2つのトレンドが、どのように相乗効果(ビジネスでは止揚とは言わない 笑)をあげてゆくのかを予見してみる。

ひとつめの方向は、SaaSベンダーが業務アプリケーション・オープンソースをSaaS方式でユーザに提供するようになる。プロプラなソフトではなく、オープンソース、またはオープンソースに手を加えたソフトウェアをマルチテナント・アーキテクチャでSaaS展開するという行き方だ。

プロプラなアプリケーションを扱うよりは、まずコスト構造で優位に立てる。しかも、煩雑になりがちなライセンス管理、ソースコードの保守などからユーザは解放されることになる。これはこれで、オープンソースとSaaSを繋ぐことで実現される組み合わせ型のイノベーションだろう。具体例でいえば、SugarCRM on SaaSやSugarCRM on Demandのようなものだ。

二つ目の方向は、新タイプのSaaSで「ソフトウェア・アプライアンス」とも呼ぶべきものだ。ソフトウェア・アプライアンスとは、業務アプリケーションとそれを走らせるために必要にして十分な程度に簡素化されたシステム・ソフトウェア(OS、ファイルシステム、アプリケーションサーバなど)が合体されたもの。ソフトウェア・アプライアンスによって、ユーザはソフトウェアベンダからあらゆるサービスや保守を受け、複数の保守系列、ライセンス、契約管理にともなう煩雑さからユーザを解放する。言ってみれば、ソフトウェア・アプライアンスは通常、サブスクリプション・サービス(pay-as-you-go)という形で提供され、SaaSのひとつの形態といえなくもない。でもSaaSというビジネスモデルにオープンソースをあわせ技で活用するので、新しいタイプのコマーシャル・オープンソースとも言える。

サーバー仮想化技術(server virtualization technology)を活用することにより、アプリケーションのインストールは、iPodのようなプレーヤー感覚に近いくらい簡単簡潔なものになるだろう。こうなると、もはやアプリケーションの敷居はぐっと低くなり、吉野家の牛丼のように「早い、うまい、安い」に加え、「いつでも、どこでも」の新天地が近くなる。

新タイプのSaaSまたは新しいタイプのコマーシャル・オープンソースで活用されるアプリケーションはオープンソース、またはコマーシャル・オープンソースのものを使う。基盤、ミドルウェア、言語の組み合わせは、LAMP、WAMPでもなんでもよくなる。スパーマーケットで板の上に乗ったまぼこを買うとき、主婦の目はかまぼこに向き、板には向かない。それとおなじように、ユーザはスタックを気にせず、アプリケーションのみに気をつかえばよいのだ。OSSとSaaSを止揚して見えてくる使用者のための仕様が、この新手のSaaSと見立てるのだが、さて。

新タイプのSaaSやコマーシャル・オープンソースは、「いいモノを、安く、早く、手間ひまかけずに、気軽につかいたい」ユーザにとっては福音だろう。ただし、旧来型のプロプラなソフトに十年一日のごとく依存し続けるベンダーにとっては地獄の黙示録となるだろうが。


日本コマーシャル・オープンソース・フォーラム (2)

2007年01月14日 | オープンソース物語


僕が発起人をつとめる日本コマーシャル・オープンソース・フォーラム詳細企画が決まりました。

ちなみに、第1回日本コマーシャル・オープンソース・フォーラムのスローガンは、

        「コマーシャル・オープンソースを知る、考える、使う」

にしました。

ローカライゼーションやソフトウェア開発はモノづくりですが、今回のフォーラムはコトづくりです。そして、このコトづくりは、フォーラム(楽市楽座)という「場」を経てモノ作りへと再帰的に循環してゆきます。モノゴトの柔らかな循環構造こそが、オープンソースを媒介にする場づくりの妙味であると思います。知識経営風にちょっと難しく言えば、コマーシャル・オープンソースに関わるナレッジクリエーション、ナレッジ・フュージョンの場を目指したいと思います。

さて出展企業は以下の通りです。

* ゼンド・ジャパン株式会社 (PHP、Zend Platform)
* 日本スケーリックス株式会社 (WEB2.0メール(Ajax)+グループウェアScalix)
* ソフトバンク・テクノロジー株式会社 (SugarCRMエンジンのコールセンタ、ASP)
* 富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(GroundWork OpenSource社、OpenLogic)
* 株式会社イージフ(Alfresco)
* 株式会社アルマス(Compiere)
* 株式会社野村総合研究所 (SuagrCRM+OpenOLAP)
* 株式会社ケアブレインズ(SugarCRM)

各社がデモやプレゼンテーションで発表するソリューションは、好奇心を掻き立てられるものばかり。オープンソース・ソフトウェアならではの組み合わせによるプロダクト・イノベーションやサービス・イノベーションが期待されます。さて、上記の企業名とソリューションを一瞥するだけで、ある種の動きが見て取れます。

(1)コマーシャル・オープンソースの動向は業務アプリ分野まで浸透しつつある。CRMのみならずCMS、ERP、Webメールのアプリ領域にまで浸透しつつある。
(2)コマーシャル・オープンソース系ベンダは、コミュニティでの共同開発と運用に注力している。
(3)これらのコマーシャル・オープンソース系のソリューションがエンタープライズの世界でも費用対効果の高いイノベーションを起こす素材として正当に評価されつつある。
(4)オープンソース・ソフトウェアが実現する機能品質部分だけをASPで提供しユーザを管理コストから解放する「オープンSaaS」が進展している。

「コマーシャル・オープンソースを知る、考える、使う」というテーマをみんなで分かち合って面白いモノゴトづくりにいそしみたいですね。これこそがオープン・イノベーションだと思います。

日本コマーシャル・オープンソース・フォーラム(cosf.jp)2007開催

2007年01月06日 | オープンソース物語
謹賀新年。

日本で初めてのコマーシャル・オープンソースに関する産官連携の国際フォーラムを来る2月22日13:00より幕張新都心で開きます。

名は体を現す!
なぜコマーシャル(Commercial)なのか?
ここが一番のポイントです。

そもそもコマース(commerce)とは、財、サービス、貨幣、情報、時間などの資源を効率的に配分し、かつ円滑な流通を図ることを通じて、人々の社会生活を質量ともに豊かにすることを目指すもの。このフォーラムの名称に「コマーシャル」つまり「商用の」とあえて入れているのは、ビジネス界では市場原理に即して、オープンソースを提供する側も、活用する側も、分かち合いをサポートする側も、それぞれの役割分担に応じて、責任の明確化とコストと利益の配分がなされなければいけない、という考え方をこめているからです。そして、この種の考え方の普及と実践こそが、オープンソースの、そして、ソースコードを扱うコミュニティ、ユーザ、ソフトウェア産業のいっそうの発展と進化に寄与するからです。

伝統的なオープンソースの弱点(その特徴と表裏一体ではあるが)をいくつか。ソフトウェアの品質保証体制が不明、ソースコードの保守の窓口が不明、一貫したロードマップがあるようでない、不安定な草の根型コミュニティ、GPLのためにビジネスで使いづらい、などなど。よってオープンソースをもっと効果的にコマースして、その弱点(特徴)を補強して進化させる「コマーシャル」という道がある。この道をいっしょに走りませんか?

こんなフォーラムの企画をSugarCRM社長で畏友のJohn Robertsに話したところ「ヒロ、そりゃ、エキサイティングだ!行くよ」ということで即決。ということでJohnもシリコンバレーから太平洋をまたいで幕張新都心まで駆けつけ、衝撃的な基調講演を行います。Johnのほかにも、コマーシャル・オープンソースのベンダ社長諸氏、COSのステークホルダ企業、千葉県のパブリックセクターの方々が僕たちの考え方に賛同してくださったのはうれしい限りです。こうして、このフォーラムは国際的な産官連携の様相を呈することになりました。

詳細説明と申し込みははこちらからです。

フォーラムとはもともとはラテン語で、古代ローマ時代で商取引・市に使われた大広場のことで、地中海世界を中心とした自由闊達でオープンな経済活動とイノベーションを下支えした仕組みです。当面、cosf.jpのfはこのようなforumを目指してゆきたいと思います。このような方向感覚をわかちあう有力COSベンダー、開発者、実践者、オピニオンリーダーの方々をお招きし、新時代のIT産業の情報発信基地=幕張新都心にて、「第1回日本コマーシャル・オープンソース・フォーラム2007」を開催いたします。

僕はオープニング(前座)で軽めの話をしてからは、会場を回遊しています。ぜひ会場でお会いしましょう!!

SugarCRMプラットフォーム上で生み出される楽市楽座的サービス・イノベーション

2006年12月25日 | オープンソース物語
ときとして面白い出来事は、またべつの面白い出来事に繋がってゆくものだ。最近の出来事でいうと、それは、日本スケーリックスと技術提携をしたという話だ。Scalixは,Ajaxを活用しMicrosoft Outlookライクなユーザー・インタフェースを実現したWebメール・ソフト。ドラッグ&ドロップでメールをフォルダに移動させたり,マウス操作でスケジュールを設定したりできる。SugarCRMというプラットフォームにうまく乗れば、Scalixは、ヒューマンレイヤに対して面白いサービスを実現してくれるだろう。

形式的なプレスリリースはさておき、ここではもうちょっと今回のイシューの構造的な背景について考えてみたい。

業務アプリ領域のオープンソース化運動の特徴のひとつがコマーシャル・オープンソースによるデュアル(セパレート)・ライセンスの動向である。デュアル(セパレート)・ライセンスはSugarCRMが嚆矢であり、その後、続々と業務アプリ領域ではコマーシャル・オープンソース・モデルを採用するベンダが参入してきている。Scalixと提携している日本スケーリックスもそのひとつである。

2003年くらいまでは基盤、言語、ミドルウェアという階層がオープンソース化の波に洗われてきたが、それ以降は業務アプリ領域がコマーシャル・オープンソース化してきている。そして、汎用性が強く強大なコミュニティの支持を受ける業務アプリは文字通り、プラットフォームを志向することになる。

無償で提供されるコミュニティ・エディション、有償で提供されるコマーシャル・エディションともに目的合理的なSOAに準じてプラットフォーム化すれば、その場の上にさまざまなテクノロジーが乗り、多様なサービスが生み出されることになる。これはサービス・オリエンテッドなアーキテクチャを志向するプラットフォームの必然だ。

問題は、多様なサービスの生み出しかただ。このあたりのテーマは、コマーシャル・オープンソースにおけるMOT(Management of Technology)という視点から鳥瞰すると面白い。新しいテクノロジーを活用するサービスがコミュニティ内で独自に創られることもあれば、コミュニティ外のリソースとの組み合わせによって創造されることもある。Scalixとの技術提携は後者よりだ。「後者より」という微妙な表現を使ったのにはワケがある。実は、英語(もはや世界に近似)コミュニティでは、SugarとScalixのコミュニティ・エディション同士の連携がホットトピックになって久しく、その活発な動きが、有償版(コマーシャル・エディション)に転移・循環したという側面があるからだ。このようにコマーシャル・オープンソースにおいては、コミュニティがMOTの起点でさえある。

これらのサービスが生み出されるのは、コミュニティ・エディションとコマーシャル・エディションが入れ子構造のように連携・循環した同時多発的なチェーンリンクドな開発モデルからだ。いずれにせよ、ソフトウェアというプロダクト・イノベーションとソフトウェアが実現するサービス・イノベーションが行き交うオープンな「場」づくりは、おもしろいモノ(What)コト(How)づくりである。さしずめ、SuagrCRMはおもしろいモノゴトが行き交うプラットフォーム楽市楽座みたいなものだ。

今回の提携は、このような視点に立って見てみると、コマーシャル・オープンソースのひとつの必然であると言ってよいだろう。


コモディティの気品溢れる風景

2006年11月26日 | オープンソース物語
決して贅沢ではない。まして華美でもない。でも気品に満ちた光あるれる風景がテーブルクロスの上にひろがっている。どこにでもあるようなフランスパン、ワイン、そしてグラス。ただそれだけのコモディティ=汎用品の風景だ。

小奇麗なテーブルクロスのうえに決して高価ではない日用品が端正に配列され、燦燦とした明るい陽の光を受けて、今にも楽しそうに笑う人々がテーブルに着きそうな、そんな気配に満ちている。

作者との創作意図とは別に、この絵にはオープンソースのひとつの姿を見る思いがする。かつては高価だったプロプラなソフトウェアがオープンソース運動によってコモディティ化し、どんな組織の日常でも利用可能なものとなる。ファインチューニングされたスタックのは、さながらコモディティを置きしつらえるテーブルのようなものだ。そんなテーブルの上には決して贅沢ではないが、趣味のいい品々が並ぶ。

食卓に並べる品々を選びメニューを作るのは食事をする人々の責任だが、この絵のように安いながらも安全でおいしい食物を選び、ならべるサービスがあればなおいいだろう。どのお店で買えばいくらするのか、お店の評判はどうなのか、品々に対する世の中の評価はどうなのか。

スタック・サービスが米国では急伸長しているが、成長の原動力となるユーザニーズは、案外この絵に象徴されるような素朴なものである。

予想外!SugarCRMコールセンター・ソリューション=サービス・サイエンスの実践

2006年11月15日 | オープンソース物語
コールセンターをサポートするソリューションは、機能のわりに値段が高すぎるという批判が根強い。なぜコストが高くなるのかは、簡単な理由からだ。高い人件費を払って作り込み、それらを占有するためだ。

SIerのビジネスは、高機能のプロプラ・ソフトウェアをできるだけ多くの労働力を投入して作り込むことが基本である。能力主義、成果主義に足元を洗われているとはいえ、まだまだ日本企業に雇用されているSEの賃金体系は、終身雇用と年功序列を前提にしている。SEの稼動率を高めなくてはならないSIerの人件費コスト構造がプロプラ・ソフトのライセンス料金、保守・メンテナンス料金に転嫁されるのである。

このような事情により、高額になりやすいコールセンター・ソリューションだが、コマーシャル・オープンソースのSugarCRMをエンジンにしたら、どうなるのか?

結論。従来品に比べ予想外にリーズナブルなコストで、高品質のコールセンター・ソリューションを実現できる。もはやコールセンター・ソリューションはコモディティ(汎用品)となった。

証明。ソフトバンク・テクノロジーとケアブレインズが連携してSugarCRMをエンジンとするコールセンター・ソリューションを開発した。

コールセンター・ソリューションのエンジン部分はCRMの基本機能で行ける。このエンジンはソースコードまるごと提供される日本語版SugarCRMを使う。コールセンター・ソリューション独自に必要となる機能をアドオンすれば、格安で高品位なコールセンター・ソリューションができる。さらに、ターボエンジン=日本語版SugarCRMベースのコールセンター・ソリューションをASPで提供すれば、もっと面白いコトになる。

コマーシャル・オープンソースを活用することによりコールセンター・ユーザを高額なコストから解放する。ゆえに、コマーシャル・オープンソースの活用は、コールセンター・サービスのイノベーションであり、その方法はコールセンターにおけるサービス・サイエンスの実践である。

ともあれ、これらの面白いモノゴトづくりの経緯をまとめた記事もある。高額、プロプラなコールセンターの世界から見れば、目からウロコだろう。こんな面白いモノゴトづくりの成果を明日から開催されるコールセンタCRMデモ&カンファレンスで展示する。ご興味のある向きは、ぜひ会場へ。