早く寝たため、4時頃起床。窓の外が真っ赤な朝焼けになっている。
今日の気温は31度の予報か。暑くなりそうだな。東京最終日なので、荷物を全部持って歩かなければならないのも面倒である。ぶつぶつ言いながら、9時少し前にホテルをチェックアウト。京急蒲田の駅からスタート。大門で乗り換えて六本木へ。
■国立新美術館「ルーヴル美術館展 肖像芸術-人は人をどう表現してきたか」。開館30分前に着き、先に荷物をロッカーに預け、トイレに行ってからチケット売り場に並ぶ。この作戦はお勧めである。チケット待ちの人は、私の前にはざっと20人くらいだろうか。10時販売開始という話もあったが、9時45分にはチケットが売り出され、美術館内の展示会場入り口へ移動。こちらは私の前に200人くらいかな?
10時少し前に入場が始まる。予想よりちょっと前倒しというのはストレスがたまらなくていい。ところで、行列にグループメンバーが並んでいるからって、横入りしてくる人がいるよね。あれ、世の中的にはOKという見解が多数派になったのだろうか? 今回特に、行列整理の係員がわざわざロープを外して入れてあげていたので、とても疑問が湧いたのであった。
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ジャック=ルイ・ダヴィットと工房「マラーの死」:この作品が見られるとは! 非常に嬉しい。
「トガをまとったティベリウス帝の彫像」:トガが少し透き通ったような感じさえしてくる傑作。
「胴鎧をまとったカラカラ帝の胸像」:市民からは暴君との評判、軍人には人気のあった皇帝らしい顔をしている。
ジャック・サラザン「5歳のフランス国王ルイ14世」:真鍮で出来た彫刻作品。英明そうな顔をしているな。
フランチェスコ・マリア・スキアッフィーノ「リシュリュー侯爵ルイ・フランソワ・アルマン・チュ・プレシ」:国王でもないのにこのゴージャスな像はやってくれている。
アントワーヌ=ジャン・グロ「アルコレ橋のボナパルト」:人間らしさのある青年ボナパルト。髪も長くバサッとした自然な感じだ。
アンヌ=ルイ・ジロデ・ド・ルシー=トリオゾンの工房「戴冠式の正装のナポレオン1世の肖像」:円熟味を出したナポレオン。
クロード・ラメ「戴冠式の正装のナポレオン1世」:レース飾りの透かし彫りなど、服装の繊細さをも表現し、いわゆる神格化された像。
フランチェスコ・アントンマルキ「ナポレオン1世のデスマスク」:そして誰にでも死は訪れる…。
ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル「フランス王太子、オルレアン公フェルディナン=フィリップ・ド・ブルボン=オルレアンの肖像」:描写の隙の無さと、手の妙なカーブはまさにアングル。
ディエゴ・ベラスケスの工房「スペイン王妃マリアナ・デ・アウストリアの肖像」:膨らんだスカートと面長の顔はベラスケス調だ。よく見ると、服の細かい描写は適当に見えるのもベラスケスっぽい。
マリー=ヴィクトワール・ジャトコ「「国王の嗅ぎ煙草入れ」のためのミニアチュール48点」:18~19世紀のフランスの君主として、ルイ15世、16世、アントワネット、ナポレオン1世の肖像が取り上げられている。うーん、激変の時代だ。
サンドロ・ボッティチェリ「赤い縁なし帽をかぶった若い男性の肖像」:ヤマザキマリ風の表情。現代に通じる肖像だ。
レンブランド・ハルメンスゾーン・ファン・レイン「ヴィーナスとキューピッド」:神話の人物だが、実は妻子をモデルにしたものらしく、人間味あふれる姿になっている。しかしこの作品、あまり取り上げられていないせいか、注目している人がとても少ない。
エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン「エカチェリーナ・ヴァシリエヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人の肖像」:伯爵夫人34歳の時の肖像だそうだが、全くそうは見えない愛らしい顔。これは描いてもらいたい人、多かっただろう。
オーギュスタン・パジュー「エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン」:こちらは本人のテラコッタだが、確かに美人さんだよね。
「女性と子供の肖像」:大仏パンチパーマでエリマキトカゲ状の襟をつけた服を着る女性。これは怖い。
フランツ・クサファー・メッサーシュミット「性格表現の頭像」:口にテープを貼り、顔をしかめた男の象。芸術から外れた方向に踏み出しているかも。
他にゴヤ、アルチンボルドの作品も出品されており、なかなか面白い展示であった。混雑度合いは1室の最初の部屋だけ諦めると、かなり快適に見ることができた。展示会場の一番最初にある展覧会解説を真剣に読む人たちがあれだけいるというのも不思議である。
歩いて根津美術館に行こうと思っていたが、道に迷う。途中の道路壁にあった、北川純「ジッパー」。他にも数点作品があった。
ものすごく迷走して、根津美術館到着。やたらに人が多いと思ったら、今回の企画展の最終日のようだ。
■根津美術館「はじめての古美術鑑賞」。
「堆朱楼閣人物文大香合」:図柄の彫だけでなく、地の文様が実に細かい。
「嵯峨山蒔絵硯箱」:大太鼓をデザインし、その周りは漆黒という洗練ぶり。
「石山寺蒔絵源氏物語箪笥」:源氏物語を入れる専用の箱。優雅である。
飯塚桃葉「百草蒔絵薬箪笥」:一つ一つの箱に文様を入れる、その力の入れようったらなかなか無いかも。植物表現で繊細さではアルチンボルド越えと言っても過言ではないかも。
澤田宗沢斎「秋海棠蒔絵盆」:トンボの羽根のふんわりした表現が素晴らしい。
「はじめての」と言うだけあって、蒔絵や螺鈿の技法を丁寧に紹介していた。まあ、そんなに覚えようとも思わないのだが。
この他の作品としては、以下。
「油滴天目」「堆朱花文天目台」:13世紀中国のもの。これは重文ですらないのか。
「釈迦多宝仏並坐像」:2体の仏像が並んで座り、片方が右手てツッコんでいる風景。
「刷毛目茶碗 銘 八重葎」:修復の接ぎがあるのと、色が好みである。
暑さの中を歩いたせいで気力がなくなり、ここから新橋へ移動。そろそろ帰る準備だ。