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 「Hoshino Parsons Project」のブログ

本屋を併設した図書館の構想

2011年03月17日 | 書店業界(薄利多売は悪くない)
業界の人たちからは、なにを言いいだすかと叱られそうな話ですが、実は今、真面目に考えていることです。

ほとんどの都市部では、現実にはありえない話です。
それを前提に読んでください。

地方の山間部では、図書館がないばかりか、本屋もないという町がたくさんあります。

そうした町や村で図書館をつくろうという話が立ち上がったときに思いついた考えです。
現実には、行政の壁、業界の壁など様々な困難が予想されることです。
しかし、デジタル化の進むこれからの時代に地域に役立つ情報センター、公共の図書館とはなにかを考えた場合、小さな村の場合、ひとつの空間に必要な情報がすべて集まっていることの意義は、計り知れない効果があります。


図書館そのものも、これから新しく造られるようなものであれば、相当な新しいコンセプトで設計されなければなりません。

現時点で考えても、図書館そのものの課題もたくさんあります。

それだからこそ、と出てきた考えです。



図書館のなかに棚2本、もしくは5坪程度の書籍売場のコーナーをつくります。
取り扱いは、雑誌、コミックや学習参考書はのぞく書籍。
地域郷土関連の本が中心で、もちろん話題の本、ベストセラー本もおきます。

通常であれば、民業の圧迫になると反対されることですが、競合する書店は、外商で遠くからくる書店はあっても、その手間コストから反対される理由はそれほどありません。

本屋のない村の図書館ということで、貸し出しやリクエストを出すときに、もしそれを所有したいのであれば、あるいは順番待ちするのが嫌であるのならば、そのまま隣りのカウンターで注文することができます。

所有権の時代から利用権の時代に移ろうとしている今、その場で利用者自身がその選択が同じ場でできるメリットがあります。
 そのことで、批判の多いベストセラー本に偏った貸し出しから、図書予算を本来の図書館に求められる分野に予算をより集中させることが可能になります。

現代の「フリー」の考え方、無料の情報をより多く提供して情報の裾野を飛躍的に拡大することでこそ、有料の顧客を増やすことがが可能になることの立証する姿でもあります。


また、販売カウンターでは、貸し出しカードをそのまま販売のPOSレジに通すことで、購買履歴を残すことができ、地域の公共財に協力を申し出る会員には、その購買蔵書録が公開され、利用者同士の蔵書貸し借りのサポート機能も果たすことができます。

村民の個人蔵書が、村の図書館蔵書を補助するシステムができるということです。

個人情報公開に協力する会員は、図書館併設書店の本屋のPOSから図書館に蔵書のない本でも、村の誰々さんがその本を持っているか検索することもできます。

地域のひとたちのつながりを深めて公共情報の質を上げる相乗効果は、はかりしれないものがあるといえないでしょうか。



あくまでも、公共の図書館としてスタートするために、構想の実現には様々な困難が予想されますが、行政主導にならないしっかりとした図書館協議会をつくれるかが鍵です。
公務員の人事異動でまわされるような館長や職員ではなく、また実質的なスキルのない肩書きだけの司書を雇うこともない体制が、どのようにつくれるか、高いハードルがありますが、私はとても面白いことだと思います。

みなさん、どう思われますか?
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2 コメント

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本屋を併設した図書館の構想 (よこちん)
2011-03-17 21:38:00
素晴らしいアイデアだとすぐに思いました。私なりに理想図書館などと考えてみましたが、ここで述べさせていただくようなものは有りません。郷土史の様なものはその土地で見て手に入れる。もちろん他の本も図書館で本を借りて読むだけでなく気に入ったものは注文すれば自分の物になるなんて最高。過去に私は図書館で見てどうしてもその本が自分のものにしたくて本屋の店長さんにインターネットで調べてもらったり古書店を探し送ってもらったことが何度かありました。こんなこともたすけていただけたらいいですね。そして地元の作家さんの期間ごとのフェア―など。
でもその町なら出来そう今だってこの震災においていち早い行動を起こすほどの意欲、やる気のある町ですもの。思ったよりすんなり受け入れられるかも。
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Unknown (かみつけ岩坊)
2011-03-18 01:49:35
ありがとうございます。
この村で思いついたことが、今回の東北地方太平洋沖地震の被災地にも、復興の手がかりになるのではないかと思いました。
三陸沿いの小さな町や村で、図書館も公民館も本屋も無くなってしまったところは、たくさんあります。すべてを失ってしまった町の復興は、想像を超えた困難がともなうことと思います。そうしたところでは、出来るだけお金をかけずに、少しでも幸せを取り戻す知恵こそが求められます。
あわゆるものが不足し、あらゆるものが求められるところに、少しでも人のつながりと潤いを取り戻すために、この構想は被災地でこそ役立てることができるのではないかと思います。
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