仕事でホテルの部屋の内装や料理メニューなどにかかわっている都合で、手頃な箱膳をいろいろ探していました。
ところが、市販のものだとサイズが小さめであったり、高価であったりして、なかなか納得のいくものがみつかりませんでした。
ならば・・・
自分で作るに限る!

最近の本棚やブロック棚などのパターンでの制作ですが、
高さ 30cm 幅 45cm 奥行 A:38cm B:33cm C:28cm
の3種類 4つを作成しました。
毎度のことながら図面も引かず、材料の現物合わせの制作ですが、ほぼ納得のものが出来上がりました。
テーブルのように足を隙間に出せない難点はありますが、ひとりの食事を演出するには、この方がずっと楽しく感じられます。質素な食事でも充実した「食」の時間を味わうことができるだけでなく、豪華な食事の演出としてもとても効果があるように思えます。

これは、箱膳の配置、レイアウトが自由に変えられることで、人数に応じて、会話の距離感なども自由に調節できることも大きな利点です。
夫婦で隣りあわせて食べる配置、
お客さんと向き合って食べる配置、
もてなす側ともてなされる側にわかれる配置など、
こんな実用的なものはないと思います。

さらに箱膳の中は収納として十分なスペースがあります。
ホテルでは、お客さんの滞在中のすべての食器がこのなかに収納できます。
夕食を出すときに、このなかには明日の朝食で使う食器もすべて入っているんですよ、と説明する。
もちろん、それなりの食器であればですが・・・

加えて、
並べた箱膳の上にこの写真のような板をのせれば、通常のテーブルの台としても使えます。
この写真の天板テーブルは、二枚の板を蝶番でつないだもの。
使わないときは、二枚を折りたたんでしまっておけます。

また、箱膳の幅 45cmをタテに使用すれば、正座仕様のテーブルが、低い椅子で使えるテーブルにすることもできます。
実際には、低いテーブルであっても、膝の高さ50cmくらいはテーブル下の寸法は必要で、それは次のアイデアで解決します。
その後、天板のデザインを替えたものも作りました。

シチュエーションに応じて、違った雰囲気にして使うこともできます。

上の写真左上の衝立は、箱膳の上にあった天板を立てて屏風にして飾ったもの。

仕事の提案のための試作品でもありますが、これでわが家の毎日の暮らしが一段と楽しくなったことは間違いありません。

といっても、これが活きるのは、相方のこの料理の腕あっての世界ですが・・・

箱膳のフタ部分は、お盆としても使用できます。

たまには、家庭料理でもお品書きをつくってみる。

と、ここまでは、箱膳のある新しい暮らしが楽しくて、ハレの日の食卓のみを掲載しましたが、
日常は、こんなにキレイに整理されているわけではありません。
しかしこうした箱膳の暮らしを、本来の姿にさらに強く後押ししてくれたのが、
土井善晴さんの『一汁一菜でよいという提案』です。

一汁一菜を日常食スタイルにすることが、どれだけ豊な暮らしを実現することになるか、土井さんが軽い語り口でありながら極めて深い洞察をしてくれています。
「忙しいからコンビニ」
ではなく、
「忙しいからこそ、一汁一菜」なのです。

季節の食材でつくる具だくさんの味噌汁だけで、
どれだけ、健康的で豊な暮らしが実現できるか、
実に多面的角度から解き明かしてくれていいます。
お陰さまで、そうした一汁一菜の食生活こそ、箱膳の暮らしが最もふさわしスタイルになることを気づかせてくれました。

現在、部屋には3つの箱膳を置いていますが、そのうちの一つは、まさに一汁一菜の食事用として使い、その箱膳の中には調味料などが収納されています。
またある時は、晩酌用として。

またある時は、コーヒーのスペースとして。

コーヒーミルなども一式、箱膳のなかに入れたかったのですが、残念ながらミルの取手が箱膳の深さに収まらず、断念しなければなりませんでした。
箱膳は縁が高くなっているので、鍋敷きなしで熱い鍋やフライパンを直接置くこともできます。

二つ目の箱膳は、ノートパソコンをおいて、仕事などの作業用として使用し、箱膳のなかに利用頻度の多い資料や文房具類が収容されています。

そして3つ目の箱膳は、ひとつの箱膳でスペースが足りない場合や、来客があったときの予備として使用しています。

基本は、食事や仕事など日常のあらゆる活動を箱膳ひとつに収めるということです。
このおかげで、絶えず本や書類で散乱する日常空間を、ガムシャラに頑張って片付け作業をすることなく、一箱分に収めて片付ける習慣がつきそう・・・
と言いかけたら、たちまち遠くから冷たく嘲る視線が飛んできた(汗)

高価なものを買わずとも、自分の暮らしにあったものを手軽につくることでこそ、日常が豊になる幸せを実感することが出来ました。
#箱膳 #手作り箱膳 #一汁一菜 #箱膳のある暮らし
関連ページ
毎週一度の食事のため「お品書き」をつくる
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