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 「Hoshino Parsons Project」のブログ

「お米」本来の味で、日常の幸せをしみじみ味わう酒

2019年11月20日 | 暮らしのしつらえ

日本酒の分類というと、以下のような見方があります。

1989年に制定された「清酒の製法品質表示基準」で、造り方によって次の9種類に分類されています。このうち、「一般酒(または普通酒)」以外の8種類を、まとめて「特定名称酒」と呼んでいます。

 

・精米歩合70%以上:一般酒(または普通酒)...

精米歩合70%以下、醸造アルコールを添加:本醸造酒

 ・精米歩合60%以下、醸造アルコールを添加:特別本醸造酒

 ・精米歩合の規定なし、醸造アルコール添加なし:純米酒

 ・精米歩合60%以下、醸造アルコール添加なし:特別純米酒

 ・精米歩合60%以下、若干の醸造アルコールを添加:吟醸酒

 ・精米歩合60%以下、醸造アルコール添加なし:純米吟醸酒

 ・精米歩合50%以下、若干の醸造アルコールを添加:大吟醸酒

 ・精米歩合50%以下、醸造アルコール添加なし:純米大吟醸酒

 

精米歩合とは、原料の米をどれだけ削り、使用する部分が何%残っているかを示す値です。
米の中心まで削っていくほど、香りがよい、雑味の少ない清酒になりますが、その分使う米は小さくなります。

この精米歩合の差がそのまま価格の差、グレードの差になりますが、 当然のことながら味の差というのは、このような価格、グレードの差に比例して変わるものとは限りません。

そのことをあらためて教えてくれたのがこのお酒です。

 

 

 

これまで大利根酒造さんのお酒で熱燗に向いているのはこのお酒ですよ、とのおすすめの言葉の方にとらわれて飲んでいたのですが、酒米本来の味わいを引き出すために精米歩合を88%におさえてつくった酒という特質を侮っていました。

88という数字自体にどれだけの意味があるのかはわかりませんが、通常のお米の精米度合いが90くらいなわけですから、酒米としてはほとんど磨いてないに等しいレベルです。

大利根酒造さんでは2年前より「扁平精米法」を取り入れて酒を醸しました。

ある酒屋さんの説明によると、

扁平精米とは、お米の形にそって精米する方法で、低い精米歩合でも心白部分を多く残すことができる精米方法です。厳選した群馬県産酒造好適米「あさひの夢」を88%に精米し、尾瀬麓の伏流水と「ぐんまKAZE酵母2号」でゆっくりと低温発酵させました。

左大臣 純米生原酒 米(精米歩合88%)」は低精白酒ならではの「米の味」を堪能いただける骨太の味わいです。

 

   参考 精米歩合をおさえた酒 幻の日本酒「七田」

 

 

もちろん、88%というのは、八十八で「米」の字になるわけですが、漢字の意味と言葉あそびと蔵元の心意気で、これほど愉しめるお酒もありません。

しかもお手ごろ価格で!

しかし私はそう感じてからも長い間、この味はいったい何なのだろうかと、ずっとうまく言葉で表現することができないままいました。

実際、初めて呑んだときから飲むたびに、味の印象が違うようで、毎回考え考え味わっていたお酒です。

それが大利根酒造さん自身も、今年になってやっといい仕上がりにできたというのです。

多くの知人に薦めているお酒でありながら、この魅力をとんな言葉で伝えたら良いのか、私はずっと迷っていました。

 

そんな気持ちをある日、大利根酒造の阿部社長にぶつけてみました。

私にとってその味わいは、決してお酒のラベルや説明書に書かれたようなスペックで表現できるものではありません。
かといって「深い」とか「浅い」といったことではなく、
また「重い」とか「軽い」といった比較軸でもはかれません。

それにもかかわらず、紛れもなく決して薄っぺらな量産品のような味ではないのです。

すると社長もしばらく考えて言葉を探しているようでした。

しばらくの間をおいて社長は、うまく表現が浮かばない時は、どのような思いでつくった酒なのかを伝えるようにしていると言い、次のように語ってくれました。

このお酒は300年前のお酒をイメージしてつくったものであると。

 

300年前のお酒、それは精米そのものが現代ほどの技術はありませんでした。

また使用するお米は、まだ酒米などと区別されたものは使用されていませんでした。

そして現代のような温度管理もできなかった時代です。

 

私も、よく時代劇の蕎麦屋で酒を飲む雰囲気にあこがれて、それに近いロケーションを家で再現しようとしていますが、まさにそのようなお酒を目指してつくられたのがこのお酒だというらしいのです。

 

つまり、このお酒は、純米大吟醸などとといった精米度合いだけでなく、
考え方自体が対極に位置するようなもので、

日常の幸せをしみじみと味わうために造られたお酒

ということができるのではないかと思いました。

これはただの量産品では決して味わうことはできないもの。

なおかつ、ほとんどお米そのままということで、

そこはかない味わいを愉しむことができるお酒なのです。

 

 

これを写真の松尾昭典さんにつくってもらった盃「月香盃」と徳利でのむ至福の時間。

 

 

 地元でもおいてる酒屋さんはとても少ないので、
ぜひ、品質管理のきちんとできている取り扱い酒店、もしくは白沢の大利根酒造さんで、お求めください。 

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