英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

敗者復活が許される社会であってほしい     経団連の中西会長の「就活ルール廃止」意向に思う

2018年09月06日 21時59分47秒 | 時事問題
経団連の中西会長が大学生の就職活動に対する企業側の自主規制の撤廃を言い出した。安倍晋三首相はそれに反対する意見を述べ、「『採用活動は6月開始』を守っていただきたい」と自らの認識を示した。一方、大学生側からは「就活ルール廃止めっちゃ賛成だわ」「就活ルール廃止のやつ、いつから動けばいいのかわからず就活期間が長引くだけになりそうだしどうせなら在学中は禁止にすれば良いのにな」と賛否が渦巻いている。
 1953年に就職協定がスタートしてから、日本の新卒採用では、優秀な人材を早く獲得したいという企業の考えから、就職内定が早期化する傾向がある。そして、それを防止するためのルールづくりが繰り替えし行われてきた。
 この就職活動の前提にあるのが、企業側の「優秀な人材確保」と「敗者復活をみとめない」という論理だ。何らかの事情で大学を留年した学生や転職した卒業生は、新卒より能力のあるなしにかかわらず、不利な立場に置かれる。もちろんわれわれが学生時代だった半世紀前よりは緩和されているとはいえ、欧米並みではない。
 ネット上にこんな意見がある。「就活ルールを廃止するのであれば、新卒一括採用の慣習を見直してほしい。しっかりと4年間なり6年間なり大学で学んで卒業した後に、身につけた実力を見極めるような採用をしてほしい」
 わたしは理解できる。企業はチマチマせず、もっとおおらかになってほしい。経済のグローバル化の中で、日本企業の多くが海外に工場を移転し、ガバナンスを国際化するなどして企業体質を強めているが、こと新卒の人材については既成概念に囚われている。
 英国の大学院で国際政治を勉強した私が現在も交流している英国人の同窓生は卒業後、神学を別の大学で学び直し、牧師となった。そして再び大学院で勉強。神学の博士号を取った。
 日本でも、企業や社会が大学生の敗者復活を認め、22歳から28歳ぐらいまでは人生のやり直しを認めてもよいのではないのか。欧米のように、いつの日か、30歳ぐらいで会社から大学のキャンパスに戻り、研鑽を積み、そして再び企業に戻るなり、畑違いの仕事に就くなりしてもよいのではないかと思う。
 終身雇用がとっくの昔に崩れ、転職が半世紀前よりは許容されつつあるとはいえ、さらなる努力が企業側にも日本社会にも求められる。
 




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