英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

「今を生きる」ことを訴えた山口弘子さん       5月6日付朝日新聞を読んで思う

2018年05月09日 20時29分55秒 | 時事問題
 がんのため19歳で余命半年と宣言されてから、一生懸命「今を生きて」今年3月25日に25歳で亡くなった神戸市の山口弘子さんについての5月6日付朝日新聞の記事を読み考えさせられた。
 弘子さんは生前「人生は一度きり。長くても短くても、笑って過ごす人生がいいんじゃない」と語っていたという。ご主人の前田朋己さんは「がんだけでなく、病気やいじめ、経済的な問題で苦しんでいる人もいるが、今を生きてほしい。それが彼女へのはなむけになる」と話す。
 がんで入退院を繰り返しながら海外旅行や富士登山などに挑戦し、生命保険会社「アフラック」のCMでアイドルグループ「嵐」の櫻井翔さんと共演した。著書「雨上がりに咲く向日葵(ひまわり)のように~『余命半年」宣告の先を生きると言うこと』」を書いた。
 がんは肺などに転移し、肝臓や肺の手術は20回に及んだ。「なぜ自分が」と泣き叫んだり、物にあたったりすることもあったという。それでもただ一度の人生を力一杯生きた。そしてブログを通して同じ病気に苦しんでいる人々や健康な人々に勇気を与えた。
 山口さんだけでなく、志半ばにしてこの世を去った人々はたくさんいる。私の回りにも志し半ばで交通事故死した24歳の青年がいた。彼は2年半前に亡くなった。東日本大震災の津波で亡くなった宮城県石巻市立大川小学校の生徒74人もいた。
 20世紀の英国の宰相ウィンストン・チャ-チルは警護官のウォルター・トンプソン警部に「人間は死ぬ時が来れば死ぬのだよ」と死について達観したような口ぶりで話し、人生を通して勇気を示し、リスクをいとわなかった。そして彼は「皆人生は一度だけ」と話し、90年の生涯を力一杯生きた。いつも何かしていたという。
 人間の一生は一度だけ。権力ある者もない者も、富める者も貧しい者もみな同じだ。死は万人に到来する(生き物はみな同じ)。ただ人生は早いか遅いかの違いだけである。山口さんは若くして亡くなった。無念だったと思う。しかし「人生は一度きり。長くても短くても、笑って過ごす人生がいいんじゃない」と語り、人生を力いっぱい生きた。いくら長命であっても、無為に過ごす人々もいる。このような人生ほどもったいないことはない。
 人生の中で、不遇のときもあろう。経済的に恵まれない時もあろう。なかなか結論は出てこないが、その不遇の人生であっても、一生のうちでキラリと光ること、楽しいことがあるのではないのか。
 私は幸運にもことし古希を迎える。経済的にも並の人生だ。山口さんの記事を読み、今までを振り返り、無為に過ごしはしなかっただろうかと自問する。残りの人生はせいぜい15年前後だろう。25歳で亡くなった山口さんや大川小学校の児童に思いをはせれば、今を有意義に生き、無為に過ごさないようにしたいものだ。何歳になっても何かしらの夢を持ち、前向きに生きるたいと思う。チャーチルも生前、無為に生きることほど罪深いことはないという主旨のことを述べていた。25年の生涯を一生懸命生きた山口さんを思い、今一度これからの人生の生き方を考えたい。

 写真:アフラックの「生きるためのがん保険Days」のCMに出演した山口さんと櫻井さん。

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