英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

中国の富の蓄積は開発途上国をいっそう貧しくさせている 2014年版清潔度(汚職)指数を読んで

2014年12月08日 23時02分07秒 | 国際政治と世界の動き
 腐敗/汚職に対して取り組む非政府組織のトランスペアレンシー・インターナショナル(本部・独ベルリン)は3日、世界各国/各地(175カ国)の腐敗を数値化した「2014年版清潔度指数(腐敗認認知指数)」を発表した。
 筆者は昨年7月25日に2012年清潔度指数を半年遅れてサイトに掲載。2013年の清潔度指数を掲載しなかった。
 トランスペアレンシー・インターナショナルが発表した2014年版清潔度指数の特徴は、中国が2012年、2013年が80位だったが、ことしは100位に大幅に後退したことだ。
 経済成長が著しい国は、ますます腐敗が広まっている、と英紙「ガーディアン」は報じている。
 中国、アフリカのアンゴラ、トルコは昨年4%以上の経済成長と遂げたが、トルコは174位中64位、アンゴラ161位。2013年にはトルコは53位、アンゴラは153位だった。三国には申し訳ないが、その国の人々の文化的背景があるように思う。
 贈収賄事件や汚職意識など13のデータや、腐敗をめぐる経済人の意識、世界各国の専門家の分析などを基にして順位を決めている。
 最近会長に就任したトランスペアレンシー・インターナショナルのホセ・ウガズ氏は「国家経済が成長すればするほど、国家指導者や高級官僚はまます多額の公金を懐に入れる」と英紙に語る。
 またウガズ氏は「腐敗にまみれた経済大国は最貧国の基本的人権をブロックするだけでなく、最貧国の統治能力を弱め、不安定な社会をつくる。経済成長が著しい国家が腐敗に寛容だと刑罰を免れる文化を創造し、それが腐敗を加速させる」と述べた。
 ウガズ氏の発言は中国を想定して話しているのかもしれない。それは私の想像の域を出ないので、「当てはまる」と話しておこう。
  中国のアフリカ経済支援はアフリカ支援諸国の官僚や指導者の腐敗を助長している。中国の派遣労働者と被支援国の官僚の富を増やしているだけであり、大衆はますます貧しくなっている。
 中国政府・外交部の華春瑩報道官は「事実に合致していない」と述べた。「中国が反腐敗運動で、世界が目をみはる成果を達成している現実と、完全に相反しており、ひどく間違っている」、「中国の反腐敗により顕著な成果を上げているというのは、人民群衆の公正な評価によるものだ。国際的な“清潔度指数”によるものではない。トランスペアレンシー・インターナショナルは国際的に一定の影響力を持つ組織だ。“清潔度指数”の客観性や公平さを真面目に見直すべきだ」
 BBCによると、トランスペアレンシー・インターナショナルのアジア太平洋地域責任者のスリラク・プリパト氏は、中国のランクダウンについて「(中国が今後)挑戦せねばならない問題を明確に示している」と説明。 同氏は「情報の透明度、政府に対する問責、報道の自由、公民社会がみな欠乏している状況では、上から下までを挙げての反腐敗の効力が、どの程度のものかということだ」と述べた。
 プリパト氏の話に同感だ。一言で言えば、中国共産党の独裁と法を軽視する中国国民の姿勢が腐敗社会の改善を拒んでいる。面子を重んじる中国人の華春瑩報道官は苦しい言い訳をしている。
 ちなみに日本はどうか。2013年が18位、2014年が15位である。今年も昨年もデンマークが一位(最も腐敗のない国)で、2位がニュージーランド、3位がフィンランド。1-3位は不動の順位だ。
 2014年度の主なランクを取り上げると、ドイツ12位、英国14位、米国17位、韓国43位、インド85位、フィリピン85位、ソマリアと北朝鮮が最も腐敗にまみれた国(共に174位)になっている。
 昨年、2012年のトランスペアレンシー・インターナショナルの腐敗指数を掲載したとき、筆者は、腐敗指数はぞれぞれの国の文化や伝統、習慣を表していると書いた。現在もこの考えは変わらない。
 日本人の国民性の一端を筆者は批判しているが、腐敗の少ない日本人に心から誇りを持っている。この意味で日本に生まれてほんとうによかったと思う。素晴らしい日本文化の側面だ。筆者はそのような土壌文化を育ててくれた祖先の人々に心から感謝する。

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