英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

学生時代の親友との本音が言える語らい 

2013年10月06日 11時58分41秒 | 交友
 昨夜は大学時代の友人3人と1年ぶりであった。もう一人の友人は所用で欠席。1年に一度、会うことが定例になった会だ。岐阜県から毎年、旧友に会うことを楽しみに上京するM氏が音頭を取ってこの会を初めてどれぐらいたっただろうか。5年は過ぎたように思う。
 Mは司法書士で、息子さんも数年前に司法書士試験に合格、事務所で見習いをしてから、昨年Mの事務所で働き始めたという。Mは言う。「何かにつけて頼りなく、人生に取り組む姿勢も甘いと思っていた息子と一緒に仕事を始めてみると、一生懸命やっている。驚き、なかなかやると思った。自分の息子を他人の前で褒めるのは気がひけるが、よくやっている。俺も数年後に引退して、老後をどうするか思案している。いままであまりにも忙しく、自分のために時間を使うことがなかった。手始めに1カ月ぐらい独りで海外旅行をする計画を立てている。学生時代、休学して半年ヒッチハイクで欧州、北アフリカ、インド、東南アジアを巡ったが、60歳すぎてヒッチハイクとはいかんだろう」。Mは笑っていた。
 もう1人のOは51歳で大手企業を早期退職。東京都心でマンション経営をしている。生涯独身で、企業に勤めているときに貯めた資金を利用してマンション経営に乗り出し成功、初老生活を満喫しているようだ。「一日の日課はフィットネスクラブや図書館に通うこと。夜は自炊してテレビを見て寝る。好きな本を読めて幸せだ」と話していた。
 話がどうしても老後のことになり、葬式についても話題になった。関東圏では骨壺に亡くなった方の骨を全部入れるが、関西では一部を入れて、残りは火葬場が処分するという。Oがこんな話をすると、Mは「そうだ」と返答した。岐阜県は関西圏に入るそうだ。
 Mが「おいO、独りだろう。そんなに金を貯めてどうするのか」と聞いた。Oは「妹や甥に墓に入れてもらおうとお願いしようとも思わないし、どうするかなあ」と思案顔。するともう一人の同席者のSが「慈善団体や非営利団体に寄付でもしたらどうだ」と助言していた。Mは「金はあるところにはあるがないところにはない。Oのように金が貯めることが可能なよい時代に俺たちは生まれたわけだ」と皆を見まわしながら、真剣な眼差しで語っていた。
 筆者は合図を打ち「そうだなあ。俺たち団塊の世代は、親父たちの世代のように戦場に行かなかった。子どもの世代のように就職難や派遣社員を強いられて生活に困ることもなかった。経済は右肩上がり。まともに働こうとおもえば、大多数は報われた時代だった。その上、政治運動に頭を突っ込んで安保闘争や毛沢東に熱を上げる余裕もあった。子供や孫は親父たちと同じような境遇だなあ。もちろん境遇や環境の内容はまったく違うが・・・」と強調した。
 参加者全員があまり長生きしすぎて世間や子どもに迷惑をかけないことで意見が一致した。「80歳ぐらいまで生きれば十分だ」。さて残りの15-20年の人生をどうするか。「いままでやりたくても家族のため、会社のためにやれなかったこと。いままで自分の思想や考え、人生観などを言いたくても会社の同僚に遠慮して言えなかったこと。そんなことを人生の最後にやり遂げてこの世をおさらばするか」。この点で意見が集約されて別れた。「また来年の第1土曜日に新宿で会おう。それまで元気で」とMはニコニコ笑いながら、今晩1泊するJR新宿駅近くのホテルのほうへ消えていった。
 ちなみに孫もいるSは司法書士事務所に長年勤めながら、今も司法書士試験に挑戦している。司法試験に挑戦していたが、司法試験改革で回数制限が決められ、司法書士試験挑戦に舵をきったという。かなりの実務経験があるが「試験と実務は違う。まあ、金にも困らないし、今や趣味とかしたなあ」と話し、「合格して数年でもやれればよいと思っている」と挑戦への意欲は衰えないようだ。
 今回の会に欠席したHは弁護士。彼は昨年の会で「司法改革は失敗した。過疎地にも弁護士も、と法務省は考えて改革を実施したが、過疎地に弁護士が扱うような訴訟など起こるはずがない。それに日本人は争いごとを避けたがる国民性だ。米国人のようになんでも訴訟に持ち込む国民性ではない。いまや弁護士供給過剰時代だ。食えない弁護士は40年前に比べてたいへん多いし、合格者を40年前の500人から2000人にして弁護士の資質も低下した。この改革でなにもよいことはなかった」と切り捨てていた。
 歴史の原則でいえば、英国のバターフィールド教授が半世紀前に言ったように、歴史は人間の当初のもくろみを捻じ曲げる性質があるということに当てはまる。なにごとも人生は思うようにはいかない。

(写真)ドーバー海峡から見える英・白い壁。本文とは関係ありません。

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