英宰相ウィンストン・チャーチルからのメッセージ   

チャーチルの政治哲学や人生観を土台にし、幅広い分野の話を取り上げる。そして自説を述べる。

中国共産党は決して独裁権力を捨てない  区議選での香港・民主派の勝利に思う

2019年11月26日 20時11分12秒 | 中国政治
  香港民主派の選挙勝利は中国・共産党の圧政をさらに強める可能性を秘めている。香港の自治を認めた「一国二制度」はこれから、ますます形骸化するだろう。しかし香港の民主派の抵抗はやまず、彼らを引き裂いたとしても、そのブーメランは中国共産党を逆襲し、共産党はこの世から、いつの日か消えるだろう。
  中国共産党は官制メディアを総動員して「香港の混乱は海外勢力に操られた一部の過激派が起こした」といった宣伝工作を展開している。
  古希を過ぎた私には、この類いの「宣伝」は聞き飽きている。共産党の常套句だからだ。中国共産党だけでなく、1991年に地球上からいなくなった旧ソ連の指導者がよく使っていた。
  24日に投票が行われた香港の区議会(地方議会)議員選挙は、民主派候補の圧倒的勝利に終わり、数カ月前から続く民主化デモを香港の有権者が支持していることを証明した。中国政府寄りの香港政府の対応を拒否する民意を映した格好だ。
  公式結果によれば、民主派は452議席中85%の議席を獲得。前回2015年の選挙では、民主派の獲得議席は約4分の1だった。政府寄りの親中派陣営が獲得した議席の割合は4年前の65%から今回は約13%に低下した。投票者数は294万人余りと、有権者の約71%に上り、前回15年のほぼ2倍となった。
  中国共産党は今後、ますます香港の「一国二制度」を形骸化し、香港市民を中国国内並みの厳しい統制下に置くように画策するだろう。また、台湾を脅かし、形骸化した「一国二制度」を押しつけてくるだろう。
  香港と台湾の若者は中国共産党の真意を見抜いている。私は先日、台湾で働いている在日韓国人の医師に会い、台湾の若者の考えについて聴いた。
  台湾での国民党の蒋介石・独裁体制を知らずに民主主義社会に生きてきた台湾の若者は、反中国の蔡英文総統を支持するようになってきた。蔡英文総統は最近まで若者に不人気だったという。しかし台湾の若者の危機意識が高まりを見せ、来年の台湾総統選挙を見据えて民主主義擁護と反中国を鮮明に出してきている。在日韓国人の親友はこう語っている。
  中国共産党がマルクス・レーニン主義を掲げていた半世紀前には、それがいかに暴力的な理念であろうが、理想があった。中国共産党員はそれを正しいと信じて行動した。しかし、共産党が資本主義を経済理念とし、「中国に適合した社会主義」と唱え始めたとき、中国共産党は単なる独裁政権に墜落してしまった。自らの既得権を必死に守る政党にばけてしまった。
  中国共産党はチベットで、新疆ウィグル自治区で、香港で、自らの既得権を守るために圧政を強めてきたし、これからますます強めてくるだろう。台湾を”解放”するとの旗印を掲げて武力侵攻をする日が到来するかのしれない。
  共産主義者や独裁政権の最大の欠点は情報を遮断することだ。現在で言えば、インターネットやスマートフォンによる外国(民主主義国)からのショート・メッセージ・サービス(SMS)を遮断することだ。
  中国共産党は自らに不利な情報を国民に流さないことが政権の安泰につながると確信している。しかし、それはとんでもない勘違いだ。
  自由な情報の往来を許してこそ、国民の団結と共産党への信頼が深まる。戦国時代、徳川家康に最も恐れられた小藩の武将、立花宗茂はどんなことでも隠さず、足軽までの末端の部下にまで話した。そうすることで宗茂の考えを共有し、一致団結し、「殿様のためなら死をいとわない」という気持ちにさせたという。それが九州一の最強の軍団を築き上げた。
  明らかに、中国共産党は歴史の歯車を逆行した政策を実施している。だが、その末路は哀れになるにちがいない。時の流れは中国共産党に味方していない。
  習近平指導部と中国共産党に忠告する。民主主義は必ず勝利する。ドイツの哲学者ヘーゲルは大衆による政治が政治体制の最後の姿だと予言した。それをレーニンは利用して労働者階級の勝利こそヘーゲルの思想の具現化だと唱えた。しかしヘーゲルは民主主義制度の勝利を予言していたのは明らかだ。
   民主主義の危機が何度か訪れたが、その制度は生き延びた。圧倒的多数のドイツ人から支持されたアドルフ・ヒトラーとナチ党の独裁体制でさえ、民主主義の軍門に下った。それは歴史の流れに逆行したからだ。古希を迎えた私は中国共産党が滅びるまでは中国を訪れないと決めている。私の死までには滅びないかもしれないが、中国共産党はナチ党同様、必ず滅びると確信する。

(写真)香港の区議会選の勝利を喜ぶ民主派  
  

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