平成の時代が数時間で終わる。1917年に退位された119代の光格天皇以来202年ぶりに、天皇陛下が退位される。憲政史上初めて。明日から新しい時代が始まる。
平成の時代は明治以来初めて平和な時代だったが、阪神淡路大震災や東日本大震災と福島原子力発電所事故など災害の多い時代だった。多くの人々が犠牲になり、その犠牲の上に日本社会がつくりあげられてきた。
ことし2月24日の天皇陛下ご在位30周年式典で、天皇陛下はこう話された。「平成の30年間、日本は国民の平和を希求する強い意志に支えられ、近現代において初めて戦争を経験せぬ時代を持ちましたが、それはまた、決して平坦な時代ではなく、多くの予想せぬ困難に直面した時代でもありました。世界は気候変動の周期に入り、我が国も多くの自然災害に襲われ、また高齢化、少子化による人口構造の変化から、過去に経験のない多くの社会現象にも直面しました」
天皇陛下がおっしゃられたように、平成は近現代で初めて戦争を経験しなかった時代だ。われわれ「団塊の世代」が最も恩恵に与っている。父親の時代は戦争の時代であり、幾百万の人々が戦場の露と消えた。
天皇陛下は続けてこうおっしゃる。「天皇としてのこれまでの務めを、人々の助けを得て行うことができたことは幸せなことでした。これまでの私の全ての仕事は、国の組織の同意と支持のもと、初めて行い得たものであり、私がこれまで果たすべき務めを果たしてこられたのは、その統合の象徴であることに、誇りと喜びを持つことのできるこの国の人々の存在と、過去から今に至る長い年月に、日本人がつくり上げてきた、この国の持つ民度のお陰でした
天皇陛下が天皇統治の明治憲法に代わって発布された国民主権の現憲法に書かれている象徴天皇とは具体的に何なのかを追い求め、被災地に足を運び国民を励ました。そして象徴天皇の意味を国民に示した。この意味で、偉大な天皇だったと歴史は後生の人々に伝えるだろう。
天皇陛下は「民度」についても話されている。この国の人々の民度こそが明治時代以来、幾多の困難を乗り越えてきた原動力だったと思う。江戸時代以来、受け継がれてきた教育、道徳などの日本人の資質が民度を形づくってきた。これこそが今日の日本の繁栄の礎だ。
今日、日本人の民度が次第に色あせてきていると感じるのは私だけだろうか。政治家から一般庶民まで、半世紀前の人々と比べて民度が低くなっているようにみえる。
天皇陛下が指摘された日本人の民度がこれからも維持され、国難に立ち至ったとき、それが役に立つことを祈るばかりだ。
あすから令和の時代。その言葉通り、調和と法のなかで、平和な時代が続いて欲しいと願う。子どもや孫の時代が平和であってほしい。
天皇陛下と皇后さまが残りの人生を健やかに、そして好きなことをされてお過ごしになられることを、国民の一人として切望します。30年間の陛下の勤めに感謝し、お疲れ様と申し上げたい。
平成の時代は明治以来初めて平和な時代だったが、阪神淡路大震災や東日本大震災と福島原子力発電所事故など災害の多い時代だった。多くの人々が犠牲になり、その犠牲の上に日本社会がつくりあげられてきた。
ことし2月24日の天皇陛下ご在位30周年式典で、天皇陛下はこう話された。「平成の30年間、日本は国民の平和を希求する強い意志に支えられ、近現代において初めて戦争を経験せぬ時代を持ちましたが、それはまた、決して平坦な時代ではなく、多くの予想せぬ困難に直面した時代でもありました。世界は気候変動の周期に入り、我が国も多くの自然災害に襲われ、また高齢化、少子化による人口構造の変化から、過去に経験のない多くの社会現象にも直面しました」
天皇陛下がおっしゃられたように、平成は近現代で初めて戦争を経験しなかった時代だ。われわれ「団塊の世代」が最も恩恵に与っている。父親の時代は戦争の時代であり、幾百万の人々が戦場の露と消えた。
天皇陛下は続けてこうおっしゃる。「天皇としてのこれまでの務めを、人々の助けを得て行うことができたことは幸せなことでした。これまでの私の全ての仕事は、国の組織の同意と支持のもと、初めて行い得たものであり、私がこれまで果たすべき務めを果たしてこられたのは、その統合の象徴であることに、誇りと喜びを持つことのできるこの国の人々の存在と、過去から今に至る長い年月に、日本人がつくり上げてきた、この国の持つ民度のお陰でした
天皇陛下が天皇統治の明治憲法に代わって発布された国民主権の現憲法に書かれている象徴天皇とは具体的に何なのかを追い求め、被災地に足を運び国民を励ました。そして象徴天皇の意味を国民に示した。この意味で、偉大な天皇だったと歴史は後生の人々に伝えるだろう。
天皇陛下は「民度」についても話されている。この国の人々の民度こそが明治時代以来、幾多の困難を乗り越えてきた原動力だったと思う。江戸時代以来、受け継がれてきた教育、道徳などの日本人の資質が民度を形づくってきた。これこそが今日の日本の繁栄の礎だ。
今日、日本人の民度が次第に色あせてきていると感じるのは私だけだろうか。政治家から一般庶民まで、半世紀前の人々と比べて民度が低くなっているようにみえる。
天皇陛下が指摘された日本人の民度がこれからも維持され、国難に立ち至ったとき、それが役に立つことを祈るばかりだ。
あすから令和の時代。その言葉通り、調和と法のなかで、平和な時代が続いて欲しいと願う。子どもや孫の時代が平和であってほしい。
天皇陛下と皇后さまが残りの人生を健やかに、そして好きなことをされてお過ごしになられることを、国民の一人として切望します。30年間の陛下の勤めに感謝し、お疲れ様と申し上げたい。