hiyamizu's blog

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キャサリン・ライアン・ハワード『遭難信号』を読む

2024年04月21日 | 読書2

 

キャサリン・ライアン・ハワード著、法村里絵訳『遭難信号』(創元推理文庫M-ハ25-1、2018年6月29日創元社発行)を読んだ。

裏表紙にはこうある。

ハリウッドの脚本家を目指すアダムのもとに、海外出張に出かけ、突然音信不通になった恋人サラのパスポートが郵送されてくる。それには「ごめんなさい──S」とサラの字で書かれた付箋が貼られていたが、封筒の文字は別人のものだった。アダムは恋人の足跡を追って、千以上の客室を持つ豪華客船に乗り込み真相を探る──。巧みな構成と謎解きの妙味を味わえる衝撃のサスペンス。解説=穂井田直美。

 

冒頭には、アダムが豪華客船から夜の海に飛び込む場面が描かれる。

アダム・ダンはアイルランドのコークで芽がでないまま脚本を書き続け、ようやくハリウッドの大手映画スタジオに作品が売れた。しかし、一緒に暮らし、8年も依存していたサラ・オコネルが突然出張先のバルセロナで消息を絶った。彼女の親友・ローズから新しい恋人がいて、出張は嘘だと知らされた。夢ばかり追って彼女の気持ちを思いやらなかったためか?

4日後、サラの筆跡で「ごめんなさい――S」と書かれたメモが貼られたパスポートが、別人の筆跡のあて名書き封筒で送られてきた。

アダムはひたすら彼女を探し、サラが乗船しニースで下船した地中海クルーズの豪華船セレブレイト号に乗りこむ。

話は、アダムのサラ探しを追うが、客室係りの中年女性コリーン・デュポンと、ゆがんだ育ちのロマンの視点での話がとことどころ挿入される。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

全体的に冗長。とくに前半部分は動きが少なく、もっと簡潔に描いて欲しい。アダムが決断できない軟弱男で、読んでいてイライラする。514頁を半分にして欲しい。

 

後半、アダムと同様に、妻・エステルが船で行方知れずになったと探索に来たピーターが登場するあたりから動き出すが、ミステリー性も、なんだかなあ~。

 

海洋法上、クルーズ船に対応する警察は、船籍登録国の警察であるが、税金対策で登録は弱小国になるため、船会社が望まなければ事件はうやむやになること、米国だけが米国人が巻き込まれた場合だけはFBIが乗り出すとなることや、船内の多くの乗員の仕事内容には興味が湧いた。

 

ロマンの前半生の話と客室乗務員のコリーンの話がどう本筋に絡むのか? そんなのあり?

 

 

キャサリン・ライアン・ハワード(Ryan Howard, Catherine)

1982年、アイルランド・コーク生れ。フランスやオランダで旅行関係の仕事をしたり、アメリカのディズニー・ワールドのホテルで働いたりしつつ、小説やノンフィクションを自費出版する。
2016年、初のミステリ作品にしてデビュー作でもある『遭難信号』は、英国推理作家協会新人賞(ジョン・クリーシー・ダガー賞)を受賞し、アイリッシュ・ブック・アワードの最優秀クライム・フィクション部門で最終候補となった。
2018年『The Liar's Girl』は、MWA最優秀長篇賞の最終候補に選ばれる。
2020年、『ナッシング・マン』は、CWA賞イアン・フレミング・スティール・ダガーの最終候補となった。2021年『56日間』

 

高山祥子(たかやま・しょうこ)

1960年、東京生れ。成城大学文芸学部卒業。バロン『世界一高価な切手の物語』、ドーソン『アメリカのシャーロック・ホームズ』、チャールズ『あの図書館の彼女たち』、ソログッド『マーロー殺人クラブ』、ハワード『56日間』『ナッシング・マン』など訳書多数。

 

 

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