hiyamizu's blog

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東野圭吾『むかし僕が死んだ家』を読む

2019年01月06日 | 読書2

 

東野圭吾著『むかし僕が死んだ家』(講談社文庫ひ17-16、1997年5月15日講談社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

「あたしは幼い頃の思い出が全然ないの」。7年前に別れた恋人・沙也加の記憶を取り戻すため、私は彼女と「幻の家」を訪れた。それは、めったに人が来ることのない山の中にひっそりと立つ異国調の白い小さな家だった。そこで二人を待ちうける恐るべき真実とは……。超絶人気作家が放つ最新文庫長編ミステリ。

「最新」と書くべきではない。古くなることを想定していないのだろうか?

 

7年前に別れ、既に結婚しているという元カノ・倉橋沙也加から私に電話がかかってくる。彼女には幼い頃の記憶が全然なく、一緒に長野県にある古びた洋館「幻の家」に行って記憶を取り戻したいと頼まれる。その家には亡くなった彼女の父親が何年もこっそり行っていたという。

今は無人のその家は玄関がボルトで閉じられていて、地下からしか入れなくなっている不審な構造で、数年しか経過していない程度の汚れだが、家に残っていた日記には23年前と書かれていた、など不可思議いっぱいだった。

その家に残るかつての主人の遺品を頼りに、沙也加の記憶を探し始めるが、そこで待ち受けていたのは、‥‥。

 

不思議(伏線)は、数々ある。沙也加の父が残した真鍮の鍵、沙也加の幼児虐待、家に残されていたアルバム、冷蔵庫の缶詰、11時10分で止まっている複数の時計、佑介の日記、啓一郎の手紙、家に電気製品がない、などなど。

 

 

登場人物

私:理学部物理学科第七講座研究助手。30歳前後。養子。養父は町医者。

中野沙也加旧姓倉橋。「私」が高2から大学4年まで付き合っていた元彼女。専業主婦・夫は商社勤務で米国出張中。30歳前後。娘は美晴を虐待してしまい、夫の両親に取られている。

御厨(みくりや)佑介:松原湖畔にある家に住んでいた。小学六年のときの日記を書き残している

御厨啓一郎:松原湖畔の家の元住人

おかあさん(御厨藤子):御厨佑介の日記に登場を出産し、勤めを中断した。

あいつ(御厨雅和):御厨佑介の日記に登場。啓一郎の息子。教師になったが、身を持ち崩し、再婚も……。

運転手:家政婦と結婚。

チャーミー:御厨佑介の日記に登場

中野政嗣:御厨啓一郎の恩師

小倉荘八:神奈川県警の刑事

磯貝:実業家

  

本作品は1994年5月双葉社より単行本刊行された。

  

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

冒頭からそのまま引き込まれ、読み切ってしまう。

意外性は十分あり、実際に登場する人物は主人公と沙也加だけで、舞台も「幻の家」だけなのはすばらしい。とくに家そのものの建築目的にはなるほどと感心した。

しかし、人の入れ替わりは余計に話をややこしくする。どうしても必要だったとは思えないのだが。

 

 

東野圭吾の略歴と既読本リスト

 

コメント
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