hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

万城目学『偉大なるしゅららぼん』を読む

2012年08月06日 | 読書2

万城目学著『偉大なるしゅららぼん』2011年4月集英社発行、を読んだ。

日出涼介は、「湖の民」の「力」の修行のため、琵琶湖の湖東の石走の日出本家に行く。そこでは本丸御殿に住み、舟で高校に通う。同じクラスには、本家の跡継ぎ淡十郎、日出家と対立する棗(なつめ)家の棗広海、校長の娘速瀬がいる。両家はそれぞれ異なる「力」を持ち、1000年にもわたり戦ってきたのだ。淡十郎は速瀬に恋をし、破れ、棗家を石走から追い出そうと決意する。

初出:「小説すばる」2010年5月号空2011年4月号



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

高校生向けSFファンタジーあるいは漫画の原作と言いたくなる。そもそも、他人を自由に操る「力」なるものが出てくるだけで私には拒否反応がある。話の流れはまあまあ興味をつなぎ、楽に読めると言えば言えるのだが。
極端なキャラクター化による笑いはあるが、気の利いたセリフは少なく、『プリンセス・トヨトミ』に比べてかなり落ちる。

集英社の本書のスペシャルサイトで万城目さんはこう語っている。
最近は・・・自分では行儀のいいものを書き過ぎているんじゃないかという思いがありまして。・・・上手くなって行儀がよくなると、どうしても荒い演技、乱暴な側面がどんどん消えていってしまう。・・・今回は文章にしても構成にしてもちょっと荒っぽく、そんなにきちきち決めずにやってみようと思った。


万城目学(まきめ まなぶ)
1976年生まれ。大阪府出身。京都大学法学部卒。化学繊維会社に勤務しながら小説を書く。
2006年『鴨川ホルモー』でボイルドエッグズ賞受賞しデビュー、2009年映画化、舞台化
2007年『鹿男あをによし』で直木賞候補、2008年TVドラマ化
2009年『プリンセス・トヨトミ』で直木賞候補、2010年映画化
2010年『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』で直木賞候補




登場人物

日出家(ひのでけ)
石走城に現在も住居を構え、当主の日出淡九郎は莫大な富と権力で石走を支配している。相手の心に入り込み、その精神を自由自在に操れる「力」を持つ。

日出涼介(ひので りょうすけ)
主人公。「湖の民」の力を与えられた者として本家に下宿し、修行しながら高校へ通う。

日出淡十郎(ひので たんじゅうろう)
日出本家の跡継ぎで殿様のような性格。ぽっちゃりした体型。

日出清子(ひので きよこ)
淡十郎の姉。かなりの「力」の持ち主で「グレート清子」「清コング」。城内で白馬を乗り回すが、城外へ出ないひきこもり。

藤宮濤子(ふじみや とうこ)
先代の師匠に代わり、涼介の師範を務める。「パタ子」パティー」180cm近い長身。

源治郎(げんじろう)
通称「源爺」。日出家に50年間仕え、庭掃除や涼介たちを舟で送り迎えしている。

棗家(なつめけ)
相手の動きを自由自在に操るなどの「力」を持つ。当主は棗永海(なつめ ながみ)。

棗広海(なつめ ひろみ)
棗道場の長男。長身のイケメン

速瀬 義治(はやせ よしはる)
石走高校の新赴任校長。石走城藩主・速瀬家の末裔。先祖が日出家によって金にものを言わせ城を買い取られた。


コメント
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