ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

ビンゴッ!

2011-06-02 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
鹿角君の歩を緩め、俺の隣について歩き始めた志津「アンタ、父親だろ?なんで子供に遠慮してんの?」と義隆の背を目で追いながら訊ねた。
義経「各家庭、それぞれ深刻な悩みがあるだッ。それに、あいつ、俺の子になったばかりに、こうなった…俺の責任だ」
志津「責任?アンタ、親を、選んで生まれてきたかい?」
義経「あん?」
志津「選んでないだろ。子は、親を、選ばない」
義経「アイツは、俺の選択で、俺の子にした」
志津「…養子…か」
義経「あいつは、俺を、親父と思ってねぇよ」
スッと手をあげ、志津「逆、よ」クルッと180度反転させた。
義経「逆?」“父上みたいに、なりたくない”と吐き捨てた声なき言葉が、頭に響いた。
志津「小さいうちに反抗期が来てよかったね」ニヤッと笑い「厄介なのは、いつも親の方さ」
義経「俺…?」
志津「子は親の鏡。自分が子供だった頃、父親に対して、どう思っていたか思い出してご覧」
義経「俺に、父親は、いねぇ」
志津「そう思い込んでるから厄介なのさ。アンタにも憧れの親父ってもんがいるんだろ?」
義経「あ…」斯波を我が子のように思う居酒屋の親父と“親父が早く逝っちまってから…何かと、お節介な親父になった”と顎を上げた斯波の顔が思い浮かんだ。そして、見えない親父の背を“誰か”と重ねて見上げたガキの頃の自分を思い出し「憧れた…」大きすぎる存在と、その背中の「親父…」清盛が浮かんだ。
志津「ビンゴッ!!」と右手で俺を指差した。心を見透かされたようで、悔しかったから、
義経「ヒトを指で刺すなッ」と注意してやったら、
志津「ふん」と鼻で笑って「ヒトってのは、図星食らった時、反抗したくなるもんさ」
義経「ヒトに説教すンなッ」
志津「ヒトが説教しても、アンタたち効かないだろ!」
義経「え?」
志津「だから…」スッと月山の頂を指し「御神(おかみ)が説教すンだよ」と鹿角君を走らせ、
義隆を追ってくれた。志津が指差したその頂を見上げると、
“ヒトには”兎角厳しい表情を見せる霊峰がそびえ立っていた。


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