ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~兵糧丸~

2013-10-30 | 散華の如く~天下出世の蝶~
ここの女たちは白米が食えるほど、豊かではなかった。
身に着けている物は、骨と皮を隠すための衣に過ぎず。
またここで戦が起きれば…、
帰蝶「信輝、すまぬが…」
池田「次は何です、がッ?」
私は信輝を人質に、ここに集った女たちと寺に立て籠もった。
帰蝶「塩川ッ」
侍女を呼び、兵糧米をくすねるよう命じた。
どっさり運ばれた米をごっそり竈に運んで、
白米を潰し、小さく丸めて、米粉を練った。
塩川「御屋形様の御咎めが下ります。そろそろお考えを直したら…」
帰蝶「塩川、そなた…」どうせクビの身である、
蔵から塩、豆、黒糖を盗って戻るように命じた。
塩川「…はぁ」
豆に塩と、どっさり高価な黒糖を入れて炊き、
池田「兵糧丸(ひょうろうがん)…ですか」
長期の籠城戦ともなれば、食糧が底を突き、
空腹でまともに戦えないという事態に陥る。
飢えは士気を下げ、兵を無にする。そこで、
栄養価が高く、保存の利く兵糧饅頭を作り、
飢えを凌ぐ。
私は、女らに米粉団子に豆を混ぜて、
真ん丸まる丸の兵糧饅頭を作らせた。
豆を炊く香りやら、饅頭を蒸す湯気が外に流れ、
寺を囲む男たちの空腹に苦しむ姿が目に浮かぶ。
帰蝶「殿も少しは女子たちの気持ちを考えるであろう」
そこへ、トン、トンと、
戸を叩く音が聞こえて、
帰蝶「何か?」と侍女に尋ねると、
塩川「御屋形様より、御使者にございます」


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