ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~人たらし~

2013-07-27 | 散華の如く~天下出世の蝶~
和尚「蒲の穂…因幡の薬を持っているとは、」
水辺で自生する蒲の穂は、
農民たちの皮膚薬代わり。
帰蝶「あの者…元農夫にて…その、」
知らぬ智慧を数多有し、重宝している。
それにあの人たらしめ。
サルは殿の心に訴えるだけでなく、
上も下も、心を掴むに長けていた。
和尚「ほぉお、農夫が家臣とはまた、なんと寛大なご当代か…」
サルを囲っておくと、
殿の株もうなぎ上り。
帰蝶「…」
私は和尚に見つからぬように、
そそと高価な薬を袂に隠した。
治る治らないは別として、
どんな高価な薬より、
サルが勝るとは皮肉。
和尚「おっ、と。こうしちゃ居られん」と、
サルに頼まれた竈の火を見に竈へ向かった。
帰蝶「まんまとサルに呑まれおって…」
私も和尚も、サルの術中にハマっていた。
殿がサルサルサルと呼びつけては飛び級、
褒美出世賞与を与えて、他と差を付ける。
周りやっかみも煽り、家臣衆に火が付く。
“御屋形様ぁ、申し訳ごぜぇませんッッ”
殿を神に、手を合わせ拝み、
ペコペコ頭を下げるその姿、
「憎ったらしい…」
可愛く思えて、
あぁ仕方なし。


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