ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~やっとこさえたのに…~

2013-07-31 | 岐阜城~刀剣美濃の道~
丁度、お医者様が着いた頃、
子供たちはサルと遊び疲れ、
ぐっすり眠る夜半のうちに、
“おんぎゃ~、おんぎゃ~”
大口開けて叫ぶ赤子が、
やっとこさ…生まれた。
帰蝶「良くやったな、塩川…」
塩川「…は」疲れたのであろう、
それ以上の言葉を発しなかった。
帰蝶「…」
私はサルの沸かした湯に手を入れて、
ちょろちょろ…水を足し産湯を作り、
ちゃぷちゃぷと赤子の垢を落として、
私の過去、この手に残るぐにゃりとした感覚を洗い落とした。
産湯では赤子がぎゅぅと握り拳、初めての世界に怯えていた。
産後の処置を終え、疲れて眠る熙子様の御傍に赤子を眠らせ、
「塩川、そなたも休め」
塩川「…すみません…」
起きていたも邪魔になると、
「お先、休ませて頂きます」
もぞ…もぞ…、
用意された床に潜り込み、
くぅ…、くぅ…、
規則的な寝息が聞こえた。
規則を打ち破り、んんと、
熙子様が、目を覚ました。
私は、さぞ嬉しかろうと、
帰蝶「女子であったぞ」
そう声を掛けた。しかし、彼女は、
それと聞いて、がっくり落胆した。


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