ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い~

2013-07-04 | 散華の如く~天下出世の蝶~
帰蝶「塩川…」
知らなかった。
あの事件は、侍女らにも波及していた。
侍女らは全ての経緯を、殿に暴露した。
殿に言うてはならぬと申し付けたのに、
「殿に言うたな、そなた…」
塩川「いいえ。我ら、パードレに褒美を、とお願いしたまでにございます」
肌の色を忌み嫌っていた者たちが掌を返し、宗旨替え。
黒に恩賞と恩寵の雨をもたらしたのは侍女らであった。
たった一人の坊主の所業が、そら恐ろしい…。
宗教観をひっくり返す結果を招いてしまった。
この時、パードレに洗礼を受ける侍女もいた。
「和尚様…腹を痛め苦しむ女性を、見殺しに致しますか?」
和尚「初めてで、何をすれば良いか…」
和尚が爺に戻った。
重い扉に手を置き、
バンッ
結界を打ち付けた。
塩川「初めてを経て、経験というのではないのですか?」
和尚「何をすれば…?」
塩川「まずは、熙子様の許に我らを案内し、」
ちらりと袈裟を見て、和尚様の身分を量る。
「その衣を、下さいませ」
和尚「相分かった。この爺のを、使ってくれ」
塩川「ありがとう存じます」
和尚「女子を苦しみから救わねば、」
帰蝶「はい」
自我に囚われ、他人様を見ない坊主がいる一方で、
心の痛みを理解して下さる方丈、和尚が居られた。
私が、改宗に踏み切れない理由は、これであった。


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