ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~似非坊主と、パードレ~

2013-01-15 | 散華の如く~天下出世の蝶~
火急、謁見したいと申す者は、御坊様であった。
比べては悪いが沢彦様とはかなり違う御坊様で、
にこやか朗らか、ぷくぷくしたお顔の高僧様で、
有り難いお経の一つでも読み上げて帰って頂けると思っていた。
殿の大戦で、高僧から御仏の御加護を戴けるものと信じていた。
私の、愚かな先入観と、御坊様であるという安心が仇と成った。
殿の間に入り、お顔が豹変。
坊主「ッ…」私の傍に仕えるヤスケを睨み、舌打ちをした。
ヤスケ「…」
坊主「困りまするな、斯様異人を入れては…」
帰蝶「あの、御坊様…?」
何が申したいか量りかねる。坊主風情で無礼な。
坊主「パードレ(伴天連)なんぞに誑かされて」
帰蝶「誑か…された…私が、か?」
うぁあと脂汗が出た。
怒りで呼吸が乱れた。
坊主…仏に仕える御身で、何を申すか?
坊主「よくお聞き成され、やれやれ…」ドカッと座り、
ここにも南蛮かぶれが居ったか、嘆かわしい。
一つ説教せねばならぬ、と話し始めた内容は、
天主の教え、キリシタン、伴天連への罵倒で、
「奥方、宜しいか?パードレは…」
南蛮人が街をうろうろ、宣教師が布教活動し、
宣教師に誑かされた我が信者がキリシタンへ。
寺では信者数が減り、布施が足りず、潰れた。
伴天連の布教活動を面白く思わぬ坊主がいる。
そう、殿から聞き及んでいた。
こやつが、その一人であった。
「日ノ本を喰らう魔物。直ちに排除し…」
帰蝶「黙れ…ッ」


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