ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~躾け縫い~

2013-02-25 | 散華の如く~天下出世の蝶~
寧々は、じ…と、布を見つめ、
夫婦の会話に耳を傾けていた。
信長「分からぬ話で、すまなんだな」
一人取り残された寧々を気遣うと、
寧々「私…」ぽそ…、本音を言う。
帰蝶「え?」
小さく、私の耳には届かず。
今なんと?と、殿を見ると、
殿、寧々に笑ってこう返す。
信長「左様か、よう習って嫁(ゆ)くが良い」
寧々「はい」
ぷくりと赤い頬を膨らませ、寧々も笑う。
帰蝶「…」
何を伝え合ったか?この二人、まるで、
父娘のやり取りのようで、微笑ましい。
尾張暴君の脅威威厳、そうかと思えば、
可愛い可愛いと溺愛子煩悩ぶりを発揮。
とりわけ寧々可愛い、殿のお気に入り。
しかし、
「お寧々、そろそろ…」
時間。お気に入りを返さねばならない。
寧々「…はい」
帰蝶「並べた布、躾け(仮縫いし)ておこう、そのままに、」
残りの端切れを箱に片して持たせ、
母の許へ、暗くなる前に送り出す。
すると、寧々の顔に変化が現れた。
寧々「…しつけ…とうございます。教えて下さいますか?」
帰蝶「分かった、このまま当たらぬぞ。明日も来るが良い」
寧々「はい」変化した顔が、ほ…と弛み、
「御屋形様、御方様、失礼致しまする」母の許へと戻って行った。


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