ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~大物、小物~

2013-07-02 | 散華の如く~天下出世の蝶~
三度の流産と死産で、
我らは子を、諦めた。
腹に命を宿しては、目の前で流れた命。
耐えられなかった。耐えられないから、
ふるふる小刻みに、手が、足が震える。
すると、
侍女「陣痛…なら、」
サルに井戸で水を汲ませ、
竈で人肌産湯を申し付け、
「我らは、熙子様の許へ急ぎましょう」
和尚「おぉ何とも頼もし」
帰蝶「塩川…」
侍女塩川珠洲(すず)は冷静であった。
五兵衛「オぃだら?」
なにすりゃいいがよ?
どうすりゃいいがよ?
出産…やったことネェって。
おろおろ狼狽えてしまって、
流石の海賊も役に立たない。
塩川「お役目は、己で探すモノにございます」
ビシッと五兵衛に言い放ち、
指差したのは、私の名馬で、
五兵衛「…はい」馬番をさせて、
我らは境内に入る事に成功した。
なんとも頼もしい侍女で、
私の震えも止まっていた。
帰蝶「こそ…(助かる。そなた、取り上げた事があったとは…)」
塩川「いいえ、ございません」
帰蝶「…は?」
侍女塩川珠洲(すず)は大物であった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。