ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~聡かった…~

2013-12-18 | 散華の如く~天下出世の蝶~
おやや?、うききっと、
勘の良いサルが目聡い。
近江の風を嗅ぎつけて、
藤吉郎「おぉ、小堀殿ではないかぁ、いやいや、よう来られたぁ」
まるで、自分の居城に客人を招くような言い方で…、
足軽隊から旗持ち、異例出世で天狗になっているか。
小堀「これはこれは、木下殿。清州では世話になり申した」
藤吉郎「またまた遥々、御屋形様の城見学に来られたか?」
小堀「まさか、清州を捨てられるとは…」
敵城、敵城内情視察を、やれやれ終えたと思ったら、
まさかの引っ越し。視察のやり直しである。しかも、
藤吉郎「ここ小牧も数年後には廃城。拠点を美濃に移され…、おっと、」
私の視線に気が付き、おしゃべりをやめた。
帰蝶「…。殿はただ…、山城に興味が湧いた、それだけである」
山一つを城に変えるという偉業を為し得たかっただけ、
美濃金華山を手にしたかっただけと最初は思っていた。
しかし、どうやら、殿の野望はそこで止まらなかった。
藤吉郎「いやいや、御屋形様は言うておられました。どできゃぁ城を、造る…と」
人様の閼伽が付いた城というのは、どうもお気に召さないらしく、
自分色の城を造る、そういう無謀で途方もない野心を持っていた。
小堀「ではいずれ、美濃も、移られる…と?」
この時代、一つの城を拠点に敵城を攻め、城を奪う。
城は国、国は人。これが一般的な、考え方であった。
それを、根本から覆し、新たな城を築くとなれば…、
帰蝶「私には、殿の御考え…解りかねまする」
我関せずが無難と判断し、明智様の密書を、
さ…、サルに覚られないよう、袂に隠した。
目賀田「…」
どうやら、賢いのはサルだけではなく、
この忍びたちも、主君選びに聡かった。