ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~観音寺山の、琵琶の風~

2013-12-14 | 散華の如く~天下出世の蝶~
目賀田「家臣の手違いも、手紙の行き違いも、よくよくある事にございます」
帰蝶「殿に読まれては困る、私には隠滅の証人に、という訳にございますね」
目賀田「さぁ」
紙切れを開くように促され、
ぱ…と、
飛び込んだ文字に、驚いた。
帰蝶「これ、」
目賀田「道三公も、義龍公も、恐ろしい方にございます」
帰蝶「明智様…」
目賀田…この者は元々、六角氏の家臣であった。
しかし、六角氏の勢力縮小と影響力衰退を期に、
懐かしい御従弟殿、明智様の家臣となっていた。
小堀「明智の兄貴が面倒をみようと言って下さり、こうして…」
帰蝶「そ、そうか…」
小堀は元々、父道三の家臣の倅(せがれ)。
今は浅井家に入り、明智様と通じていた。
だから、こうして二人、仲良く、
近江から遥々、殿を煽りに来た?
目賀田「尾張殿には一度、近江にお越し頂きとうございます」
帰蝶「…」
市の嫁ぎ先…近江を見たい、そういう思いもある。
私の思いを後押しするように、小堀も私を煽った。
小堀「目賀田の山からの琵琶の眺め。それはそれは、美しゅうございます」
帰蝶「目賀田の…山?」
目賀田「我ら一族の山、観音寺山にございます」
小堀「琵琶観音の奏でる、琵琶の音色…帰蝶様にも聞いて頂きたい」
帰蝶「琵琶観音…弁天様…」
明智様も、
“妻の礼に、琵琶の風を、お聞かせ致しましょう”
近江の風を、煽っていた。