ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~義母、強し~

2012-09-10 | 散華の如く~天下出世の蝶~
養徳院「我らを差し置いての振舞は、御控え下さい」
帰蝶「はぁ…」
養徳院「女中の仕事を取ってしまう、当主の妻がありますか」
と叱られて、掃除用具と襷を取り上げられ、
「今やるべき事は、別にございましょう。さぁ、こちらへ」
帰蝶「…い」
義母様に首根っこ掴まれ…連行された。
お御堂で、念仏、写経でございますかぁ。
お御堂に続く渡り廊下を、そそっと歩いて、
「あ…」ハッとした。
女中たちが掃除を始めていた。
先ほどまで、皆がお御堂に集まって、神仏に泣き寝入り。
負け戦に、おいおい泣き崩れていたのが、どうした事か、
平時と変わらぬよう、掃除、洗濯、水汲み、井戸端会議。
「皆…、気は確かか?」と、義母様を見たら、
養徳院「ふふ…」と笑った。
帰蝶「殿が戦に行かれたというのに…何を、」
養徳院「殿方が戦に行かれて、我ら…何を成すべきか、忘れておりました」
帰蝶「は?」
養徳院「殿が、きれい好きである事も、すっかり、忘れておりました」
帰蝶「義母様…」
養徳院「貴女が、身を以て教えたのです。我らの務めを、」
帰蝶「務め…?」
そう言われて、案内された部屋は裏の道場だった。
重臣家臣、その他下働きの子供たちも集められていた。
その中には、ヤスケも含まれていた。
「あの…、ここで何を?」
養徳院様に答えを求めたら、笑って返された。
分からぬ。ここで、薙刀の稽古?籠城の備え?一体、何を始めようというのか?
義母様のお考えが、全く読めぬッ。