ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~輪廻転生~

2012-09-06 | 散華の如く~天下出世の蝶~
数か月前、
全ての責めは、私にある。
「どうか、どうか、ご離縁下さい」
私は、殿に離縁を願い出た。
美濃との和睦を解消して頂き、私は美濃に帰る。
そして、父と共に果てる、そう覚悟した。だが、
“成らん”
「では、私の首を晒し成され。それで、義兄様の気持ちも治まりましょう」
和睦の証である私の首を差し出せば…、
“我らの首で治まる戦ではない”
私の首…和睦の証など、何の役にも立たないと思い知らされた。
「何か、何か手立てを…、そうだ。私を美濃にお遣わし下さいませ」
父と兄の間を取り持って、
“少し、黙れ”
一言で、私を一蹴した。
混乱する私を抱き寄せ、私の覚悟を捻り潰した。
女とは、何と弱い生き物であろう。
離縁も許されず、和睦すら意味を成さず、
私は何のために、尾張に嫁いだのだろう。
…死…
それが許されたら、どんなに楽であろう。
しかし、その思いとは裏腹に、
…生…
触れ合えば愛おしく、
強く打つ鼓動はひしめき合い、
二人の“性”が一つに成って響き、宿ってしまった。
こんな時に…いや、こんな時だから命に火が灯される。
死を思えば、深く生を知らされ、生きるよう導かれる。
何という矛盾した輪廻か。
うねりながら、彷徨いながら、私のお腹に命が転生した。