ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~信心、感応~

2012-07-24 | 散華の如く~天下出世の蝶~
沢彦「若も同じく思い、西洋を真似たいと申されました」
帰蝶「…でも、一国の主があのような振舞であれば、家臣がついて来まい」
沢彦「どんな振舞であっても、謀反を起こす(反発する)者はおりまする」
帰蝶「…謀反の“原因”を作らなくても、良かったのではないですか?」
沢彦「はて、何の事にございましょう」
帰蝶「なぜ、私を嫁がせた?平手様の意向か?それとも、そなたか?」
斎藤家からスパイを嫁がせるなど…、当然、異を唱える家臣が多いだろう。
「別の姫を貰い受けたら、無難に過ごせたはず…」
沢彦「さぁ、どうしてか…。若が、欲しいと申されました故に、平手が尽力致しました」
帰蝶「信長が?」
沢彦「我らは、若が紅茶を飲みたいと申された故に、紅茶を飲ませた。それだけにございます。家臣であっても同じく。ここに、異人が居りまするが、ご覧に成れましたか?」
帰蝶「…黒人に、ございました」
沢彦「左様。宣教師の連れて来た奴隷にございます」
帰蝶「奴隷…?」
沢彦「貧しき国(アフリカ)で売られていた子供で、」
帰蝶「売られる?異国では、子を売買するのか?親は何をしている?」
沢彦「異国に限らず我が国においても、貧しさ故に、子を売りまする」
帰蝶「そんな…。子供を売るなんて…」
沢彦「貧富の差とは子に現れるものにて、若には、それが辛かったのでございましょう。あのものを、遠くから来た男…弥介(ヤスケ)と名付けて、いずれは家臣にと育てております」
※信長は、このような貧富に対する思いから楽市・楽座(自由市場)を作ります。
帰蝶「…ごめんなさい」
沢彦「なぜ、謝られるのですか?」
帰蝶「私が嫁ぎたくなかったのは、信長がうつけだと聞いたから…。私が、悪いの」
沢彦「噂は、よくよく独りで冒険をする。行った事の無い場所まで行ったとされる始末…」
帰蝶「独り歩きする噂が、怖い…私は、何を、誰を、信じればいいのか分からない」
沢彦「若を見たそのままを、心を、信じ成され」
帰蝶「心…」
沢彦「貴女には、美しいと感じる心がございます」