ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~動なる教育者 沢彦宗恩~

2012-07-21 | 散華の如く~天下出世の蝶~
なんと、役に立たぬ女中かッ。
姫から目を離すとは何事ぞッ。
心の中で女中を叱付けても、聞こえぬから「だ、誰か…誰かおらぬか?」声を掛けたが、
うぇ~ん。誰もおらぬ。
はて?何処かから、ふんわり甘く香ばしい香りが漏れて、
くんくんと香りを辿って、そっと襖を開けて、
こっそり部屋に忍び入ると、
「ひゃッ!」と、びっくり。
ペタ…ン、みみみ見事な絨毯に腰を抜かしてしまった。
はははは初めて見た。そして、触った。
「なんと美しい…これが唐草、ペルシャ文様アラベスク…」
床に敷いてあるペルシャ絨毯を手でなぞり、手触りを確認した。
や~らかぁ~い♪
這いつくばって、ペタン…と、
夢にまで見たアラベスクの真ん中に座った。
そこへ、
「これはこれは、鼻(花)の利いたお客様ですな」と背後から声を掛けられ、
帰蝶「で!?」でででで出たッ。ぼぼぼぼ…坊主ぅ。
沢彦「若も永遠(アラベスク)の中で、よう寝そべっておりまする」
帰蝶「だだだだ誰じゃ?ひひひひ人を呼ぶぞッ」
沢彦「人を海坊主の様に仰いますな。それに、ここは若の部屋にございますぞ」
帰蝶「信長の?」
沢彦「左様。若の勉強部屋にございます」
帰蝶「勉強部屋?…して、そなたは?」
沢彦「申し遅れました。私、家庭教師役の、沢彦(たくげん)…」
帰蝶「たたたた沢彦…宗恩(そうおん)様?」
沢彦「御父上からお聞きでしたか…。さぁ、こちらに来て」
私の手を、ガッシッと握り、
帰蝶「え?」ごごごご強引に、僧職系肉食坊主に隣の部屋に連れて行かれた。
沢彦「お茶にしましょう♪」