3次補正編成へ 便乗予算は許されない (

2020-11-11 17:24:40 | 桜ヶ丘9条の会

3次補正編成へ 便乗予算は許されない

2020年11月11日 中日新聞

 菅義偉首相がコロナ禍対応のための第三次補正予算案の編成を指示した。追加経済対策の裏付けとなる予算で十兆円を超える見通しだ。ただ野放図な編成は許されず便乗要求は厳しく査定すべきだ。
 三次補正は、観光や飲食産業を支援する「Go To」事業の延長や、従業員を解雇せず休業手当を払った企業を助ける「雇用調整助成金」の特例措置継続・拡大が柱となる。
 厚生労働省の集計によると、コロナ禍の影響による失職は今月六日時点で七万人(見込み含む)を超えた。半数近くは非正規労働者で、立場の弱い人たちが雇用の調整弁として使われている実態が一段と鮮明になっている。
 観光や飲食関連のほか製造業での解雇や雇い止めも激増している。求職者一人当たりの求人数を示す有効求人倍率も九カ月連続で下がっており、雇用支援は喫緊の課題だ。
 このためワクチンの開発促進も含め、コロナ禍で苦境に立つ産業や個別の企業、従業員の救済に直接効果のある予算であれば、巨額の支出も認めざるを得ない。
 本年度予算では、すでに二回の補正予算の編成を行い、歳出額の合計は過去最大の百六十兆円以上に達している。今回の三次補正でもこれまでと同様に財源は国債の追加発行が中心となる。
 政府部内では、防災対策を念頭に置いた国土強靱(きょうじん)化策や、デジタル化促進策なども三次補正の項目として検討課題に上っている。各省庁は大きなテーマに便乗する形で、実際には関係の薄い予算まで要求する傾向が極めて強い。さらに与党内からも大規模支出を求める声が相次いでいる。
 今年四月、日銀は国債保有残高の増加額の上限を撤廃した。国債増発に歯止めが利きにくい環境にある中、政府・与党からの強い歳出圧力が加われば、残高約七兆円の予備費を含め歳出総額が二百兆円近くまで膨張してしまう可能性さえある。
 これから冬にかけ景気の一層の冷え込みは現実味を帯びる。三次補正による支援は真に救済を求める人々へ確実に行き渡らせる必要がある。
 菅政権は省庁の縦割り行政打破を看板政策として掲げている。とりわけコロナ対策は省庁の枠を超えて全体を精査し実行すべきだ。そこに省益が入り込む余地はない。三次補正編成にあたっても便乗や無駄には躊躇(ちゅうちょ)なく切り込んでほしい。

 


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