感染、地球規模に 国際協調で封じ込めよ
2020年7月25日 中日新聞
米ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によると、世界の感染者最多は米国の約四百万人超。以下、ブラジル、インド、ロシアなどが続き、新興国、途上国へと拡大している。
感染者二百万人超のブラジルでは、新型コロナを「ただの風邪」と過小評価するボルソナロ大統領が、国としての外出規制などを実施することなく、貧困層を中心に感染を広げた。大統領自身も感染した。
感染者が百万人を超えたインドは経済再開を急ぐが、医療体制、検査態勢とも不十分なままだ。
世界的なコロナ封じ込めには国際協力が必要だ。しかし、その扇の要となるべき世界保健機関(WHO)が、初期対応の遅れなどで信頼を喪失。米中対立の舞台ともなり、実効性ある対策を打てていない。
国連安全保障理事会が新型コロナ対策で世界各地の停戦を求める決議をしたのも今月に入ってからで、やはり米中対立による動きの鈍さが目立つ。
新型コロナ対策は世界共通の優先課題であり、政治的な駆け引きから離れ、ワクチンや特効薬開発など、より科学的、現実的な対策が必要だ。
欧州連合(EU)やEU各国は途上国へのワクチン供給のため、国際的な共同調達を提唱し、資金提供を提唱している。日本も同様の目的で、ワクチン開発の特許権を国際的に共有する構想を打ち出した。先進七カ国(G7)をも巻き込んだ取り組みへと広げたい。
今後、さらなる感染拡大が心配なのは衛生インフラの弱いアフリカだ。全体の感染者数は今月、六十万人を超えた。WHOは今後一年間で最悪、二千九百万〜四千四百万人が感染、八万〜十九万人が死亡すると試算する。南アフリカの感染者数は十八日、ペルーを抜き、世界第五位となった。
日本が設立を支援したガーナの野口記念医学研究所は西アフリカの感染症対策の拠点だ。同国が実施してきたPCR検査約三十万件のうち八割を、同研究所が担ってきた。アフリカのコロナ対策を引き続き支えていきたい。
経済再建、東京五輪実現のためにも、途上国まで含めた世界的視野で対策を考えねばなるまい。
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