舛添東京都知事 血税への乏しい感性(2016年5月4日中日新聞)

2016-05-04 13:28:17 | 桜ヶ丘9条の会
舛添東京都知事 血税への乏しい感性 

2016/5/4 中日新聞
 海外出張や公用車に、まるで湯水のごとく血税を費やすような振る舞いは、納税者の目にどう映るだろうか。舛添要一東京都知事のリーダーとしての資質も、都政への心構えも疑われてならない。

 一昨年秋、ベルリンとロンドンを訪れ、六千九百七十六万円。昨年秋、パリとロンドンを巡り、五千四十二万円。職員十九人を従えて、知事はファーストクラスに乗り、高級ホテルのスイートルームで過ごした。

 共産党都議団によれば、舛添氏の海外出張費は、知事に就任した二〇一四年二月からの八回で二億一千三百万円。航空運賃とホテル代で46%を占める“大名旅行”だ。

 石原慎太郎元知事の時代に無駄遣いと批判され、都は経費削減を約束した。にもかかわらず、舛添氏の一回あたりの経費は平均二千六百六十万円余り。石原氏の平均より一千万円も膨らんでいる。

 四月にも一週間、米国まで九回目の海外出張をした。知事はやはりファーストクラスを使い、航空費は二百二十五万円。スイートルームに滞在した宿泊費は七十四万円。本年度の海外出張のための予算は三億三千五百万円という。

 都条例は訪問都市に応じて、職員の一泊の宿泊費上限を定めている。知事は最高四万二百円。だが、要人との急な面会に備えるとか、保安対策を強めるといった理由で、簡単に増額できるらしい。形骸化しているというほかない。

 高額批判を浴び、舛添氏は経費の検証チームを設けた。それでも「少し経費をけちったためにまともな仕事ができなかったら、何のために行ったか分からない」と言う。節約志向は乏しいようだ。

 最近、世界の権力者や富豪、大企業がタックスヘイブン(租税回避地)を利用して、蓄財している実態が「パナマ文書」で暴露された。違法行為でなくとも、市民は怒り心頭だ。それがなぜなのか舛添氏には理解不能なのだろう。

 加えて、ほぼ毎週末、温泉地として知られる神奈川県湯河原町の別荘まで、公用車で送迎させてもいた。公私混同ぶりが目に余る。

 静養の場は都心に用意するべきだろう。税金の支出を抑えつつ、非常事態にも備える賢明なトップであってほしい。

 “世界一貧しい大統領”と呼ばれたウルグアイのホセ・ムヒカ氏の来日は、さわやかな印象を残した。報酬のほとんどを社会福祉に寄付し、愛車を自ら運転するリーダーだった。失礼ながら人間の厚みは雲泥の差に見えてしまう。

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