値引き根拠揺らぐ 森友ごみ虚偽報告、業者「圧力感じた」

2018-03-17 08:56:17 | 桜ヶ丘9条の会
値引き根拠揺らぐ 森友ごみ虚偽報告、業者「圧力感じた」 

2018/3/17 中日新聞

 ごみの撤去費約八億円を値引きし、森友学園に売却された国有地の取引は正当だったのか。ごみの試掘に関わった業者が、財務省近畿財務局や学園側の意向を踏まえ、値引きの根拠となる数字を偽った新たな不正が判明した。財務省は決裁文書にあった価格交渉の記述を改ざんしており、そもそもの取引自体を疑問視する声が高まりつつある。

■つじつま

 「当初、ごみは地中三メートルまでとしていたが、近畿財務局や学園側に三・八メートルへの変更を迫られた」

 経緯に詳しい関係者によると、試掘を担った業者は、大阪地検特捜部の任意聴取にこう説明した。特捜部は数字の変更に関心を寄せ、業者らを問いただしたという。

 学園側は二〇一六年三月、大阪府豊中市の国有地で計画した小学校校舎のくい打ち工事中に、ごみが出たと申告。財務省は約三カ月後、地中三・八メートル(くい部分は九・九メートル)までの深さにごみがあるとして、約八億円を値引きして売却した。

 関係者は近畿財務局、学園側の要請について「どちらが主導というより両方から。(学園の)籠池泰典前理事長は何とかならないかと強く主張し、財務局の担当者は露骨な言い方はしないが、言外ににおわせたようだ」と語る。業者は交渉の場で圧力を感じたという。

 「国が想定する撤去費を算出するために、うまく当てはまる数字だったのではないか。つじつま合わせをしたのだろう」。関係者は、土地取引が不透明だったとの見方を示した。

■局長強弁

 学園は評価額のわずか14%、約一億三千四百万円で国有地を購入しており、野党は昨年から、学園との間で事前に価格交渉があったのではないかと国会で追及してきた。

 「先方にあらかじめ価格について申し上げることはない」。昨年五月、財務省理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官は強弁し、真っ向から否定した。

 ところが、財務省側が学園との交渉で「ゼロに近い金額まで努力する」と発言したとの音声データが明らかに。佐川氏の後任の太田充理財局長は「(国側の)考え方を申し上げた」などと釈明したが、決裁文書の改ざんが判明し、財務省の主張が大きく揺らぐことになった。

 決裁文書の削除部分には「学園の提案に応じて鑑定評価を行い、価格提示を行うこととした」という記述が含まれていた。売却前の定期借地契約の経緯でも「理財局長承認を得ている」との記述があったが、約一ページ分の項目が丸ごとなくなっていた。

■押しつけ

 麻生太郎副総理兼財務相は十二日、佐川氏の国会答弁との矛盾を避けるのが改ざんの目的で「理財局の一部の職員により行われた」と説明。最終的な責任者は佐川氏だとした。指示系統などは調査中としながら、責任を佐川氏に押しつけようとする政府の姿勢は、日に日に鮮明になりつつある。

 「国会で主として答弁をしていたのは佐川前理財局長。関与の度合いはかなり大きく、(改ざんを)知っていたと思っている」。太田理財局長は十六日の衆院財務金融委員会で、前任者の責任を明言。売却を担当した近畿財務局管財部に在籍し、七日に自殺した男性職員は、上からの指示で「書き換えをさせられた」とのメモを残していたことが判明している。

 誰がなぜ改ざんを命じたのか、政治の関与や忖度(そんたく)の有無は。多くの疑問は残されたままだ。

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