恐ろしく高い買い物(2014年12月3日 中日新聞)

2014-12-03 09:02:02 | 桜ヶ丘9条の会
                    
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恐ろしく高い買い物 

2014/12/3 中日新聞朝刊
 選択とひと口に言っても、いろいろあります。一番身近なのは、飲食店での注文やスーパーなどでの買い物でしょうか。要は、代価を払って何かを手に入れるわけですが、それが高ければ高いほど、どれに決めるかには慎重になるのが普通です。食堂で好物のカツ丼を食べるぐらいなら、深く考えず「いつもの!」と言ったりしますが、車とか家だと、当然、そう簡単にはいきません。

 総選挙が始まりました。選挙は、選択の結果によって、この国、私たちや子どもたちの行く末が左右されるのですから、買い物に例えるなら、それはもう、とてつもなく高い買い物といっていいでしょう。

 この選挙は、何よりもこの二年の与党であり、「一強多弱」の一強とされる存在なのですから、どうしたって安倍政権・自民党への評価が中心になります。

 大企業の株価は上がっても実質賃金は下がり、消費低迷が続くアベノミクスは失敗なのか、また、ただ未完なだけなのか。集団的自衛権の行使容認はこの国を守るのか、はた、戦争の厄災へと近づけていくものなのか。原発再稼働は冷静な現実主義なのか、さにあらず、福島第一原発の悲劇を忘れた愚行なのか。首相の言う通り、本当に「この道しかない」のか、別の道もあるのか…。見極めるべき課題は数多(あまた)あります。

 ちょっとした買い物でも、値段、形、色、機能性、手触りなどなど、ああでもないこうでもないと検討した上で、あれかこれかと比較するのが普通。総選挙はいわば、恐ろしく高い買い物なのですから「まあこれでいいか」→「買う」というような直線的な選択はあまりに剣呑(けんのん)です。確か、作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスは自作にこんな趣旨のことを書いています。最も複雑な迷路は直線である、と…。

 迷路は御免ですが、幸い選挙戦は幕を開けたばかり。折れたり曲がったりしながら、ああでもないこうでもないと政党や候補者の主張を吟味する時間はあります。今後もさらに二度の掲載を予定している小紙の中部九県小選挙区候補者アンケート「票ナビ」などが、そのよすがになればと思います。

(社会部長・島田佳幸)

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