東海環状自動車道トンネル掘削残土による久々利川流域水質汚染事件について⑴

2013-12-13 01:02:04 | 桜ヶ丘9条の会
リニア問題に関連して、2003年4月ごろ、国土交通省が引き起こした「東海環状道トンネル掘削残土による水質汚染事件について、順次掲載する。



<東海環状自動車道トンネル掘削残土による久々利川流域水質汚染事件について> ⑴

本資料は、可児市久々利地区住民から岐阜県宛に提出された公害調停申請書に添付されたものである。


1. 事件の発端

 2003年4月26日、久々利川水系新滝が洞池に放流されたマス・アマゴ約1000匹の斃死事件が発生した。同時にこの時、池の水は透明度の比較的高い異様な青白色を呈していた。翌々日、岐阜県環境課および可児市環境課などによる現地調査の結果、上流に設置された東海環状自動車道路建設残土ストックヤードから強度に酸性をおびた浸出水が久々利川に流出していることが判明した。さらに、その後の調査で、この酸性浸出水は硫酸酸性であること、カドミウムなどの有害重金属が含まれていることなどが明らかになった。
 当該ストックヤードとは、国土交通省直轄事業である東海環状自動車道路建設で発生した残土を受けいれるために、可児市が富士カントリーから借地して建設した施設である。2000年9月に搬入が開始され、2003年4月までに88.7万立方メートルの残土が搬入されていた。

2. 汚染原因と国土交通省の責任

 犬山市から可児市、御嵩町にかけた地域には、砂岩やチャートを主とした美濃帯と呼ばれる地層が分布している。この地層には黄鉄鉱などの硫化鉱物が含まれており、これらが掘り起こされると酸素を含んだ雨水や地下水と接触し、硫酸が生成して溶け出す。


 生成した硫酸はカドミウムや亜鉛などの重金属類を溶かしだす。この化学反応が起きて、ストックヤードから新滝が洞池へ流入した硫酸酸性で重金属類を含んだ浸出水は、ため池の水を酸性にし、まるで入浴剤のような青白色に変えたのである。
 美濃帯を掘り起こして汚染が起きたのは今回が初めてではない。今から30年も前、1973年に愛知県犬山市池野地区、楽田地区、羽黒地区でイネが黄色くなる現象が起きたことで発覚した大規模な汚染事件が起きている。原因は砕石場であった。美濃帯を掘り崩して、細かく砕いてビルなどを造る骨材として売られていた。砕石場内には細かく粉砕された岩屑が散らばって堆積し、それに雨が降ると先に述べたような化学反応が起きて、硫酸酸性で重金属を含んだ水が農業用水や入鹿池に流れ込み、やがて水田へと流入していたのである。水田土壌は銅やカドミウムで汚染され、産米からはカドミウムが基準値を超えて検出されることとなった。1978年、土壌汚染防止法に基づく汚染地域指定を受け、約10億円の国費をかけて38ヘクタールの除染対策(作土の入れ替え)が実施された。1992年に指定地域は解除されたが、原因者である砕石場の営業が続き、排水対策も不十分であるところから、行政による監視調査が今なお続けられている。 第2次世界大戦中は、美濃帯で銅やマンガンを掘るための鉱山もあったくらいである。こうした問題のある地域を、こともあろうに国土交通省が直営で行った道路建設工事で安易に掘削し、何の対策もとらずに残土を谷間に埋め立てた罪は大きい。近年重要視されている地理学情報システム(GIS)を主管しているのは国土交通省自身ではなかったのか。

3.可児市などの責任

 可児市は、国土交通省のトンネル工事に地元自治体として便宜を図ったということなのであろうが、富士可児カントリーと交渉して谷を借り受け、残土受け入れのための造成土木工事を行っている。国土交通省多治見工事事務所長との間に交わされた覚え書きによれば、残土1トンあたり1170円が可児市に支払われることになっている。これではまるで産業廃棄物処理業者と同じである。予定通り95万トンが搬入されれば、11億1150万円となる。何事もなければおいしい話だったのかもしれない。

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1 コメント

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トンネル掘削残土は誰のもの? (都 鹿斎)
2013-12-15 18:55:17
JRは住宅団地は避けるとリニア計画で公言してきた。しかし、わが団地は一部未開発の部分がリニアの走る候補地となった。今、公開されている、意見書には住民が反対にもかかわらずそのことに一言も触れていない。当該市の市長もいつの間にか変心したのか住民より文化財を重点に意見を述べている。勿論文化財とか遺跡は大切なものだ。
それよりも訳が分からないことに団地の地下を掘ったトンネルから出た残土は誰のものなのか?JRに尋ねても明確な回答はない。責任をもって処理をする、と言うだけだ。そんなことは当たり前だ。人の地下を掘って勝手に捨てたら法律違反となろう。尖閣諸島は国が2億とかで買った。しかしわが家の地下は勝手に掘られ残土は市町村に相談して処理をすると意見書にはあるだけだ。
 一番腹の立つのは、リニアが走る土地に公園墓地を造って欲しいと住民は希望している。もし、これが実現すると、永遠のやすらぎ墓地は、永遠にリニアの騒音と電磁波と振動で墓地に眠る仏様も、やすらぎが永遠になくなることだ。
JR・市・県は生きている住民本位を尊重して欲しい。
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