河井夫妻逮捕 焦点は党の巨額資金だ (2020年6月19日 中日新聞)

2020-06-20 09:00:27 | 桜ヶ丘9条の会
河井夫妻逮捕 焦点は党の巨額資金だ
 
2020年6月19日 中日新聞
河井案里参院議員と夫の克行前法相が逮捕された公選法違反事件。参院選を前に広島の地元政界に配った金が買収にあたるとの容疑だ。自民党本部からの巨額資金との関連も徹底解明が必要だ。
 約百人もの広島の地元議員らに現金約二千六百万円が配られたという。昨年七月の参院選をめぐり、なぜ大規模な公選法違反事件が起きたのか。まず選挙戦の背景事情を知る必要があろう。
 もともと自民一、野党一で分け合っていた参院広島選挙区(二人区)に、もう一人自民党から出馬させることは、政権中枢で決めたことだ。県議だった案里容疑者に白羽の矢が立てられ、公認候補として正式に決まったのは昨年三月である。
 野党候補が一定の支持基盤を固めているとするならば、案里氏の当選のためには、現職だった溝手顕正氏の票を分け合う形にしなければならない。溝手氏は参院自民党議員会長もつとめた重鎮だ。
 従来の参院選なら溝手氏一本で支持に回った地元議員らも、溝手陣営と案里陣営に分かれて、票の調整と配分が必要だったはずだ。そのため一人あたり数万から数十万円というカネが必要だった−そんな筋書きが考えられる。
 現金を渡した相手が元県議会議長や市議会議長、首長らだったのは、調整のためではないか。党から支出された一億五千万円にのぼる巨額資金も、そんな背景事情を押さえると理解しやすい。
 何しろ溝手陣営には、その十分の一の資金しか提供されなかったのだから…。つまり事実上は溝手氏の票を奪い合う結果を招き、実際、溝手氏は落選した。
 検察当局は今後、現金供与が選挙戦での「当選目的」であることを立証せねばならない。授受は昨年三月から同八月だったとされるが、河井夫妻は買収の事実を否定している。
 立証に困難が伴うのは、政治家は常に地盤を培う政治活動を続けており、現金供与がそれと区別される必要があるためだ。選挙と月日が離れた場合はなおさらだ。徹底捜査で金権選挙の実態を暴き出してほしい。
 何より解明が求められるのは、党本部や政権中枢の具体的な関与である。克行容疑者は首相補佐官や法相を歴任した首相側近だ。「前法相逮捕」は前代未聞である。政権が関わる選挙だけに、党総裁たる安倍晋三首相には偽りのない説明とともに、任命責任の重さが突きつけられるはずである。

 

 
 
 
 
 

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