安保法案、97議会が意見書 中部6県 衆院通過後11件(2015年9月13日)

2015-09-13 08:04:00 | 桜ヶ丘9条の会
安保法案、97議会が意見書 中部6県、衆院通過後11件

 参院で審議中の安全保障関連法案をめぐり、反対や慎重審議を求める参院議長宛ての意見書を可決した地方議会が中部六県の自治体の約四割に当たる九十七議会に上っていることが分かった。法案は今週にも採決される見通しだが、「説明が足りない」との世論を意識して、七月十六日の衆院通過後に意見書を可決した議会が十一議会あった。

 愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀の六県の県議会を含む二百四十四の地方議会が、今年一月の今国会開会後に可決した意見書について、中日新聞が今月十一日現在で集計した。

 法案の撤回や廃案を明確に求める「反対」の意見書を可決したのは、愛知県扶桑町や三重県亀山市、福井県越前市など三十五議会。

 十日に法案の廃案を求める意見書を全会一致で可決した長野県阿智村議会は、昨年三、九月と今年三月にも集団的自衛権行使容認の閣議決定に反対する意見書を可決。高坂美和子議長は取材に「阿智村には『満蒙(まんもう)開拓団』の戦争の歴史がある。立憲主義の国として、歴代内閣と違う方向に(憲法の解釈を)変更するのはあるまじきことだ」と強調した。

 「慎重審議」「丁寧な説明」などを求めた六十二議会のうち、愛知県田原市、岐阜県美濃市など三十議会は全会一致で意見書を可決した。いずれの議会も国会では法案に賛成している与党系の議員も賛成した。二日に可決した美濃市議会の佐藤好夫議員(自民系会派会長)は「審議を急ぎすぎたため、国民に法案反対の声が大きくなった。参院での採決が迫っているが、今から意思表示しても無駄ではない」と話した。

 愛知県東浦町議会、長野県高森町議会では自民系議員が主導して「慎重審議」を求める意見書を提案した。全会一致した議会の意見書は「違憲」「撤回」という言葉を避ける傾向で、田原市議会の提案者の一人で非自民系の彦坂久伸議員は「『もっと国民に丁寧な説明をすべきだ』という点では自民系の議員も一致している。(全会一致を目指して)内容については互いに譲歩した」と述べた。

 県議会では長野と三重が「慎重審議」を求める意見書を可決した。自民議員が多数を占める岐阜、福井、滋賀は反対多数で否決した。愛知県議会は意見書案が提案されていない。

 <地方議会の意見書> 地方自治法99条に基づき、自治体の議会が公益にかかわる問題への意見を示す手段として、国会や政府に提出する。議員が提案し、本会議で可決した後、議長名で出す。法的拘束力はない。